「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

社員に対する賠償請求、給料から「天引き」で支払わせる、はアリか?

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社員のミスで

会社の高価な機械を壊された。

 

 

社員に一定の賠償金を払わせるとして

毎月の給料から賠償金を「天引き」

することは許されるのでしょうか?

 

(今日の「棒人間」 給料から「天引き」される??)

 

<毎日更新1319日目>

分割払いなら給料から「天引き」が確実??

昨日のブログでは

社員のミスで

会社の高価な機械が破損。

 

 

機械の買い替えを余儀なくされた会社は

社員に機械の買い替え

代金の賠償請求ができるのか

 

 

というテーマでお話ししました。

 

社員のミスで機械が壊れた!社員への賠償請求はできるか?

 

 

いずれにしても

社員から賠償してもらうといっても

ある程度まとまった金額になるので

 

 

一括で払ってもらうのは

難しい場合も多いでしょう。

 

 

そうであれば

毎月いくらづつと決めて

 

 

分割で支払って

もらうしかありません。

 

 

この分割払いをして

もらうときに有効なのが

 

 

会社が毎月支払う給料から

月々の分割金を

「天引き」させてもらう

 

 

という方法です。

 

 

会社にとっても社員にとっても

その方が処理が楽だし

 

 

できるならばそのような

方法をとりたい。

 

 

しかし

法律上はそう簡単ではない

問題があります。

 

 

 

 

給料からの「天引き」ができるための要件

実は

法律の立場は

 

 

原則として給料からの

「天引き」はNG

とされています。

 

 

具体的には

労働基準法24条1項で

賃金は,通貨で,直接労働者に,その全額を支払わなければならない。

とされています。

 

 

給料というものは

社員(やその家族)の生活を

支えるものであり

 

 

給料が全額きちんと

支払われるかどうかは

社員にとっては死活問題です。

 

 

そこで

社員に対する損害賠償金などを

 

 

社員の給料から天引きして

支払わせることは

 

 

原則として

禁止されているのです。

 

 

この点

 

 

その社員が給料からの天引き

に同意しているときは

どうでしょうか?

 

 

これについては

最高裁の判例があり

その同意が労働者の自由な意思に基づいて
なされたものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するとき

には

例外的に「天引き」することも許される

としています。

 

 

 

 

 

 

具体的にどうやって払ってもらうか?

さて

それでは

 

 

社員に具体的にどのようにして

支払ってもらったら良いでしょうか?

 

 

この場合

まずは

 

 

当の社員と話をして

具体的に総額としていくら

賠償してもらうかを決めます。

 

 

昨日のブログにも書きましたとおり

 

 

一般的には会社が被った損害の

2〜3割程度が限度となることが

多いようです。

 

 

その上で

その総額を毎月いくらずつ

分割して支払ってもらうかを決めます。

 

 

さらに

その時点で

 

 

その毎月の分割金額を給料から

天引きさせてもらう合意も

 

 

社員から取り付けて

おかなければなりません。

 

 

上記の最高裁判例のとおり

この場合は

社員の「自由な意思に基づいて

なされたものであると認めるに足りる合理的な理由」

というものが

必要とされます。

 

 

そこで

このような場合には

社員との間で

 

 

賠償金の支払いに

関するきちんとした「合意書」を

作成しておくべきです。

 

 

そして

この合意書には

 

 

社員が賠償する金額の総額

支払い方法(分割払いの金額や方法)

などを定めます。

 

 

さらに

上記のとおり

毎月の支払いについて

 

 

社員が給料からの「天引き」に

同意しているということも

きちんと明記すべきです。

 

 

いずれにしても

上記のとおり

このようなケースでは

 

 

会社が一方的に給料から天引き

することはできないこと

なっています。

 

 

重要なことは

会社と社員が

お互いに感情的になることなく

 

 

冷静かつ誠実に話し合って

妥当な解決策を考えるという

姿勢だと思いますね。

 

 

合意書の作成など

よくわからない部分があれば

弁護士に相談することをお勧めします。

 

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それでは

また。

 

 

 

 

 

 

 

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最新動画 

今回は、「元社員からのYouTube動画削除請求?肖像権・プライバシー権侵害のリスクと対策」というテーマでお話ししています。

 

 

 

 

活動ダイジェスト

昨日は、1日事務所で仕事。顧問先のお客様とのオンラインでの打ち合わせなどでした。夕方いったん自宅に戻り、旅支度を整え、夜に浜松町の竹芝桟橋へ。22時発の船で三宅島に向かいました。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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