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渋谷の弁護士吉田悌一郎

社員が退職後の秘密保持義務は認められるか?

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会社の顧客名簿を社員に持ち出されたとか

企業秘密を漏らされた

 

 

などという秘密保持をめぐる社員との

トラブルはよく耳にする問題です。

 

 

社員の退職後に

秘密保持の義務を課することは

できるのでしょうか?

 

 

また

実際の会社の実務では

 

 

具体的にどのように対応したら

良いのでしょうか?

 

 

(今日の「棒人間」 秘密を守らせる??)

 

<毎日更新1380日目>

営業秘密をめぐる社員とのトラブル

会社と社員との間でよくあるトラブル

 会社の顧客名簿を勝手に持ち出された!

 うちの企業秘密を他社にバラされた!

などというものがあります。

 

 

先日

社員の競業避止義務の

記事を書きました。

 

社員が退職して独立起業、「競業避止義務違反」に問えないのか?

 

 

そうしたところ

あるブログ仲間から

 社員が会社を辞めてからの秘密を守る義務はどうなの?

というご質問をいただきました。

 

 

一般に

秘密を守る義務のことを

 

 

守秘義務とか

秘密保持義務などと

言ったりします。

 

 

社員が会社の顧客名簿や

企業秘密などを漏らすことは

 

 

この秘密保持義務に

違反するのではないか?

 

 

社員の秘密保持義務は

競業避止義務と同様に

 

 

実務で問題になることの

多い論点なので

今回取り上げてみたいと思います。

 

 

そもそも

在職中の社員は

会社と雇用契約を結んでいます。

 

 

そして

この雇用契約の存続中は

 

 

社員は信義則に基づく付随義務として

会社の営業秘密の保持義務を負う

とされています。

 

 

ですから

本来

 

 

会社の就業規則や誓約書といった

明文の規定がなくても

 

 

会社は社員に対して営業秘密を

守るよう求めることができます。

 

 

ただ

実務上は

確実を期すためにも

 

 

就業規則上の「服務規律」で

社員の秘密保持義務を定め

 

 

違反した場合の懲戒処分なども

定められることが一般的です。

 

 

 

 

 

退職後も社員は秘密保持義務を負うのか?

 

それでは

社員の退職後には

 

 

社員は会社の営業秘密を漏らさない

という秘密保持義務は負って

いるのでしょうか?

 

 

この点は

実は

 

 

会社と社員との間の雇用契約が終了したら

秘密保持の義務も終了するのか否か

見解がわかれています。

 

 

ですから

実務上は

 

 

当然に退職後も秘密保義務がある前提で

対応するのは少しリスクがあるでしょう。

 

 

具体的な対応策としては

個別に社員に対して

 

 

退職後の秘密保持義務についての

合意書や誓約書を書いてもらう

という方法があります。

 

 

つまり

 

 

雇用契約から当然に退職後の

秘密保持義務まで導かれる

ものではないとしても

 

 

個別の合意によって

退職後の秘密保持義務を課す

ということです。

 

 

ただし

退職後の秘密保持義務は

 

 

憲法で保障された社員の職業選択の自由や

営業の自由を侵害するという

側面も出てきます。

 

 

すなわち

秘密保持義務を負うその「秘密」の内容が

あいまいで具体的に特定されていなかったり

 

 

およそ会社の業務で得た情報すべてが

秘密保持義務の対象とされたような場合。

 

 

このような場合には

 

 

社員のその後の転職や起業そのものが

過度に制限されるおそれがある

というわけです。

 

 

よって

秘密保持義務の内容等によっては

 

 

公序良俗違反で無効とされる

おそれもでてきます。

 

 

ですから

合意によって退職後の社員に

秘密保持義務を課す場合には

 

 

秘密保持義務を課す必要性と

それによって社員が受ける制約の相当性の

バランスを考える必要があるとされています。

 

 

 

 

 

 

 

 

社員の退職後の秘密保持義務が肯定された裁判例

ここで

社員の退職後の秘密保持義務の合意が

有効とされた裁判例を

 

 

参考までにあげておきます

(東京地裁平成14年8月30日判決)

 

 

この裁判例では

社員の退職後の秘密保持義務について

労働契約関係にある当事者において、労働契約終了後も一定の範囲で秘密保持義務を負担させる旨の合意は、その秘密の性質・範囲、価値、労働者の退職前の地位に照らし、合理性が認められるときは、公序良俗に反せず無効とはいえないと解するのが相当である。

と判断しています。

 

 

その上で

具体的に

「業務に関わる重要な機密事項、特に『顧客の名簿及び取引内容に関わる事項』並びに『製品の製造過程、価格等に関わる事項』については一切他に漏らさない」

という内容の社員の退職後の

秘密保持義務を定める誓約書について

 

 

公序良俗に反せず有効であると

判断しています。

 

 

いずれにしても

会社側にとって重要なことは

 

 

こうした秘密保持義務にまつわる

「書面」を整備しておくということ。

 

 

社員の在職中であれば

上記のように就業規則の「服務規律」

の規定の整備が必要です。

 

 

また

社員の退職後の秘密保持義務については

 

 

やはり社員の在職中にきちんと

合意書や誓約書を作成しておくことです。

 

 

この合意書や誓約書も

社員の退職が決まってから

こうした書面を要求すると

 

 

たいてい社員とのトラブルの

元になります。

 

 

ですから

こうした書面も

 

 

社員の入社時や昇進時

異動時など

 

 

社員が新たな営業秘密に触れる場合に

その都度取得しておくことが

望ましいでしょう。

 

 

こうした社内の法的書面が不備である

という場合は

 

 

弁護士に書面のチェックや作成を

依頼した方がよい場合もあるでしょう。

 

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また

こうした書面のチェックや作成が

一定量あるという場合には

 

 

弁護士と顧問契約を結ぶ

という方法もあります。

 

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さて

退職後の社員がこうした有効な

秘密保持義務に違反した場合には

 

 

それによって会社に損害が発生すれば

会社はその社員に対して損害賠償請求が

できることになります。

 

 

ところで

退職後の社員の秘密保持義務で

多く問題となるパターンは

 

 

転職先の会社が絡んで

いたりするケースです。

 

 

すなわち

社員が会社を退職し

ライバル会社に転職して

 

 

前の会社の営業秘密を

持ち込むような場合。

 

 

この場合

要件を満たせば

転職先の会社も損害賠償請求されたり

 

 

不正競争防止法違反に

問われたりすることがあります。

 

 

この点については

長くなりましたので

また明日お話ししたいと思います。

 

 

それでは

また。

 

 

 

 

 

 

 

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今回は、「工事遅延の責任はどちら?トラブル回避のための契約書ポイント」というテーマでお話ししています。

 

 

 

 

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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