「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

【個人情報保護法】社員の履歴書を警察に渡してよいのか、という問題

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警察から突然

自社の社員が犯罪に関わっている

疑いがあるとの連絡。

 

 

社員の個人情報の提供を

警察から要請されたが

どうしたらよいのでしょうか?

 

 

個人情報保護法上

何か問題はないのでしょうか?

 

 

(今日の「棒人間」 個人情報の取り扱いをどうする??)

 

<毎日更新1422日目>

警察からの突然の協力要請

実は、オタクの社員が闇バイトで犯罪に関与した疑いがあるのです。

ええ〜、そんな!

そこで、その社員の履歴書などを警察に提供して欲しいのですが、協力してもらえますか?

・・・・・・。

 

建設業の会社を営むA社長。

 

 

ある日突然

警察署から電話がかかってきました。

 

 

なんでも

A社長の会社の若手社員であるCが

 

 

闇バイトで犯罪に関与した

疑いがあるとのこと。

 

 

そこで

警察から

 

 

Cに関する履歴書などの

個人情報を提供してほしい

と協力を要請されました。

 

 

こんな時

A社長としては

どうすれば良いのでしょうか?

 

 

ここではまず

A社長が

 

 

法律上この警察の要請に

応じなければならない義務が

あるかどうかという問題が1つ。

 

 

そして

もう1つは

 

 

履歴書という社員の個人情報を

警察に提供することは

 

 

個人情報保護法上問題はないか

ということです。

 

 

気になりますか?

 

 

それでは

順番に見ていきましょう。

 

 

 

 

 

警察に協力を拒否できるか?

まず

今回の警察からA社長に対する協力要請は

いわゆる「任意捜査」と呼ばれるものです。

 

 

あまりなじみがない言葉ですが

警察の行う捜査には

 

 

「任意捜査」と「強制捜査」

の2種類があります。

 

 

「強制捜査」というのは

たとえば逮捕や捜索差押えなど

 

 

基本的に裁判官が事前に発行する令状

(たとえば、「逮捕状」など)に

基づいて行われる捜査です。

 

 

強制捜査ですから

 

 

たとえばA社長の会社に警察の

捜索・差押え(俗にいう「ガサ入れ」)

が入った場合

 

 

A社長としてはこれを

拒否することはできません。

 

 

これに対して

「任意捜査」というのは

 

 

警察がこうした裁判官が発行する

令状に基づかないで行う捜査です。

 

 

基本的に

「任意捜査」には強制力がありません。

 

 

冒頭の事例は

まさに警察が任意に協力を

要請する「任意捜査」です。

 

 

ですから

法律上A社長は

 

 

特に警察の捜査に協力して

社員の履歴書を提出する義務はない

ということになります。

 

 

A社長としては

警察の捜査に協力することもできるし

 

 

逆に協力を拒否することもできる

というわけです。

 

 

 

 

 

 

 

個人情報保護法との関係

次に

個人情報保護法との関係です。

 

 

まず

事業のために個人情報を

取り扱うという場合

 

 

個人情報保護法によって

 

 

あらかじめ本人の同意を得ないで

個人情報を第三者に提供しては

ならないとされています。

 

 

ただし

これには例外があります。

 

 

その例外は

個人情報保護法の27条1項4号

に定められていて

国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき

 

 

この場合には

例外的に

 

 

本人の同意を得ることなく

個人情報を第三者に提供することができる

とされています。

 

 

そして

 

 

事業者が警察や税務署の任意の求めに

応じて個人情報を提出する場合が

まさにこれに当たるとされています。

 

 

ですから

冒頭の事例では

結果的には

 

 

A社長が警察の捜査に協力して

Cの履歴書などを提出することができる

ということになります。

 

 

社長さんであれば

 

 

まさかうちの社員に限って

犯罪に関わるなどあり得ない

と思いたいでしょう。

 

 

その気持ちはよくわかります。

 

 

しかし

社長といえども

そしていくら自社の社員であっても

 

 

その社員のプライベートなどを

逐一監視しているわけではありません。

 

 

残念ですが

場合によってはこういう事態も

起こりうるのが現実です。

 

 

警察からこうした協力を求められた場合

どうしたらよいのか

 

 

法的なことも一応知って

おかれた方が良いかと思います。

 

 

 

 

 

それでは

今日のダジャレを1つ。

私のまわりの個人情報、おまわりさんに提供したらどうなる?

 

 

それでは

また。

 

 

 

 

 

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昨日は、息子の3学期の修了式。午前授業で給食がないので、久しぶりに父ちゃん弁当の出番でした。これからしばし、弁当作りの日々再開です。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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