
出前でお寿司を100人前で注文。
あとから「これはエイプリルフール」
こういうことは法律的に通用するのでしょうか?
(今日の「棒人間」 エイプリルフールでウソをついている人?)
<毎日更新1428日目>
お寿司を100人前、今から出前でお願いします。
はいよ!
お寿司100人前、出前に伺いました!
あ、それはエイプリルフール!
そんな!!
今日4月1日はエイプリルフール。
ウソをついても良い日
ということになっています。
とは言え
世の中には
ついても良いウソと
ついてはいけないウソ
というものがあります。
お寿司を100人前も出前で注文。
実際にお寿司屋さんが
100人前を持って届けると
なんと「エイプリルフール」
こういうことは
法的に許されるのでしょうか?
少し詳しく見て行きましょう。
「エイプリルフール」ということは
注文する方は
本当はその気がないのに
お寿司100人前を注文しています。
お寿司の注文は
一種の売買契約の申込みの意思表示。
「エイプリルフール」ということで
本当はその気がないのに
売買契約の申込みの意思表示をしているわけですが
この意思表示は法的に有効なのでしょうか?
これについては
民法93条というところに規定があります。
民法93条の前段では
意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。
と規定されています。
少しわかりにくいですが
簡単に言えば
いくら真意でなかったとしても
「お寿司100人前注文します」という
申込みの意思表示をしている以上
その意思表示は有効だということです。
ですから
その申込みの意思表示に対して
お寿司屋さんが承諾すれば
それは立派に売買契約が成立
しているということになります。
法的に一度契約が成立している以上
注文者の側で後になって
あれはエイプリルフールだよ。
と言っても通用しません。
つまり
注文者はお寿司100人前の代金を支払う
義務が生じているということになります。
まぁ
常識的というか
当たり前の結論ですけどね(笑)
ただ
お寿司屋さんの方で
今日は4月1日でエイプリルフールだと
気づいていたような場合はどうでしょう。
たとえば
冒頭の注文者がこのお寿司屋さんの常連客で
以前にもこんなイタズラを
やったことがあるようなケース。
お寿司屋さんの方でも
また今回もエイプリルフールで
ウソの注文だとわかっていた場合です。
あまり想定できませんが
お寿司屋さんがうすうす
ウソだとわかっていながら
あえて100人前のお寿司を作って
持って行った場合は
どうなるのでしょうか?
この点
上記の民法93条には
「ただし書き」があり
ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。
と規定されています。
つまり
お寿司屋さんの側で
注文者の注文が真意ではない
つまりエイプリルフールで
ウソであることを知っていた
あるいは少し注意すれば
知ることができた場合。
この場合には
注文者が行った「お寿司100人前の注文」
という申込みの意思表示は
無効ということになります。
ですから
この場合
いくらお寿司屋さんがそれを承諾したとしても
売買契約は成立していない
ということになるわけです。
したがって
この場合には
お寿司屋さんは100人前握っても
その代金は請求できない
という結論になります。
そんなわけで
やはりエイプリルフールのウソは
みんなが楽しめるものに限るべきですね。
悪質なウソをつけば
もちろんトラブルの原因になりますので
注意が必要です。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
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私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。