
社員が自社の顧客名簿を他社に漏洩。
これは実は
不正競争防止法違反という立派な
犯罪になり得る行為なのです。
(今日の「棒人間」 捕まった??)
<毎日更新1478日目>
昨日のブログでは
社員が会社の顧客名簿を
他社に漏洩した場合に
この社員を解雇できるか
どうかというお話を書きました。
実は
社員が会社の顧客名簿を漏洩することは
解雇云々の問題にとどまらず
不正競争防止法という法律に
違反するという問題があります。
不正競争防止法というのは
企業間の公正な競争を守り
営業上の利益を不当に侵害する
行為を防止するための法律です。
そして
この不正競争防止法では
不正な手段で営業秘密を取得する行為や
その取得した営業秘密を
使用する行為を禁止しています。
それでは
会社の「顧客名簿」は
この不正競争防止法でいうところの
「秘密情報」にあたるのでしょうか?
不正競争防止法上
「秘密情報」にあたるためには
① 秘密として管理されていること(秘密管理性)
② 事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であること(有用性)
③ 公然と知られていないものであること(非公知性)
の3つの要件を満たす必要があります。
このうち
顧客名簿ということに関していうと
①の秘密管理性が特に問題となります。
要は
社内でこの「顧客名簿」というものが
どのように扱われ
管理されていたか。
例えば
顧客名簿にきちんと
パスワードがかけられていて
特定の社員にのみアクセスの
権限を付与していた場合。
あるいは
紙のファイルなどであれば
「社外秘」などの表示をして
やはり特定の社員のみしか閲覧
できない状態になっていたかどうか。
さらに
それに加えて
ここの社員から「秘密保持の誓約書」
を徴収していれば
「秘密管理性」の要件を
強める方向に働きます。
逆に
顧客名簿が
社内の誰でもアクセス可能な状態に
置かれていたような場合は
この「秘密管理性」の要件が
否定される可能性が高いと考えます。
また
②の有用性の要件に関して言えば
顧客名簿などはその事業活動にとって
有用であることは明らかですから
特に問題はないでしょう。
そして
この不正競争防止法に違反して
顧客名簿を他社に
漏洩したような場合には
罰則規定が設けられています。
すなわち
違反者には
というかなり重い刑罰が規定されています。
実際の裁判例でも
自社の顧客情報の一部を名簿業者に
販売したという社員が
「懲役2年6月及び罰金300万円」の
実刑判決を受けているものがあります。
ですから
顧客名簿が漏洩されたという場合
それなりに証拠がそろっているのであれば
不正競争防止法違反で刑事告訴を
行うというのも1つの方法でしょう。
ただ
刑事事件ともなれば
それなりに大ごとではあります。
その行為を行った社員だけではなく
会社の社長や他の社員なども警察の
事情聴取を受けることがあります。
なるべくなら
こうした顧客名簿の漏洩トラブルを
予防できた方が良いでしょう。
予防の第一は
上記の「秘密管理性」の要件の
ところでも述べましたが
まず会社がきちんと「秘密情報」として
顧客名簿を厳重に管理する態勢を作ること。
その上で
やはり自社の社員への
研修・教育も欠かせないでしょう。
安易に顧客名簿を他社に流すことは
立派な犯罪行為なのだという自覚を
持ってもらう必要がありますね。
その上で
やはりここの社員に「秘密保持」の
誓約書をきちんと書いてもらう。
これも
ここの社員に自覚を持ってもらうという
意味でもとても重要だと考えます。
会社の事業にとって非常に
重要な顧客名簿やその他の営業秘密。
それにまつわるトラブルを予防するための態勢を
社内できちんと作っておきたいものですね。
それでは
久しぶりに今日のダジャレを1つ。
顧客名簿の流出、それ、涙を流しても後の祭り??
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。