
社員が職場でスマートフォンや
バッテリーなどの私物を充電。
もちろん会社が承諾していれば問題はありませんが
勝手にやると窃盗罪という犯罪になり得るのです。
(今日の「棒人間」 電気を窃盗する人??)
<毎日更新1518日目>
仙台家庭裁判所の50代の男性事務官が
約27万円の通勤手当を不正に
受給していたなどとして
停職3ヶ月の懲戒処分を受けた
というニュースがありました。
「電気代を節約したかった」 職場でバッテリー充電 家裁事務官処分
報道によれば
この男性事務官は一昨年5月から今年3月までの
間に届け出ていた通勤方法とは
異なる方法で通勤し
合計27万4872円分の通勤手当を不正に
受給していたことがわかったそうです。
さらに
この男性事務官は
今年3月
勤務時間中に事務処理の中で知った
事件関係者の携帯電話番号に
仕事とは関係ない電話をしたとか。
また
昨年9月には仙台市内で乗用車を運転中
転回禁止の場所で転回し
県警に交通反則切符を交付されたのに
報告していなかったこともわかったそうです。
結構いろいろやらかしているようですが
その中で私が興味深かったのは
この男性事務官が実は職場の
コンセントを無断で使用し
自宅の掃除機の充電式バッテリーや
スマートフォンなどの私物を
充電していたことが判明したという点です。
男性事務官は電気代を
節約したかったと話しているそう。
なお
この男性事務官は
退職届を提出していて
依願退職になったそうです。
社員が職場でバッテリーやスマートフォン
などの私物を充電するということは
一体何が問題なのでしょうか。
実は刑法という法律で
「電気は財物とみなす」
という規定があります。
そして刑法235条では
と規定されています。
これがいわゆる窃盗罪という犯罪です。
つまり
社員が職場で勝手に私物を充電するということは
会社の支配にある財物である電気を
窃盗したことになるのです。
もちろん
会社の承諾があれば問題ありませんが
承諾なく勝手に社員が私物を職場で充電する
ということは犯罪になり得る行為だ
ということなのです。
それでは
例えば
職場で勝手に私物の充電をしていた社員に対し
犯罪行為を犯したということで
会社が解雇することはできるのでしょうか。
この点
このブログでもよくお伝えしているとおり
社員を解雇するためには
という2つの要件を満たす必要があります。
この要件を満たさない解雇は
解雇権の濫用として無効とされます。
ですから
実際に社員が何らかの犯罪行為を行えば
常に解雇が有効になるかといえば
そうとも限らないのです。
この点は
上記の②解雇の社会通念上の相当性
の要件が関係してきます
すなわち
いくら犯罪行為を行ったからといって
社員のやったことと比較して
解雇が重すぎるという場合には
この相当性の要件を満たさない
ということになります。
ですから
確かに社員が職場で勝手に私物の充電をすることは
窃盗罪という犯罪行為になり得ることです。
ただし
解雇が有効となるためにはやはり相当悪質な
事例である必要があると考えます。
どの程度の量の電気の窃盗があったのか
被害金額がどのぐらいになるのか
そういったことが関係してくるでしょう。
被害金額がわずかという場合には
やはりこの解雇の社会通念上の相当性
の要件を満たさず
解雇はできないという
結論になると考えます。
職場で社員が私物の充電をするということは
割とよくありそうな事案ではあります。
この点
会社としても
社員との余計なトラブルを予防するためには
こうした充電などの問題についてもきちんと
ルール化しておくことが
必要ではないかと考えます。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
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私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。