
昨年フリーランス保護法が
制定されて間もなく1年になります。
フリーランス保護法に違反すると
公正取引委員会から違反行為
是正の勧告を受けたり
社名を公表されたりする
リスクがあります。
法律の内容を理解し
違反しないよう注意が必要です。
(今日の「棒人間」 30日ルール??)
<毎日更新1606日目>
都内で建設会社を営む
A社長からご相談を受けました。
A社長の会社では
大手のゼネコンから
ビルなどの建物の検査業務を請け負いました。
割と規模の大きな仕事なので
A社長の会社のみで対応することは難しい。
そこで
A社長としては
外部の建築士(フリーランス)にこの
業務を再委託したいと考えています。
この外部の建築士との再委託の契約で、1つ困った問題がありましてね。
どんな問題でしょうか?
実は、業務はすぐに始めてもらいたいのですが、この建築士への報酬の支払いについてです。
なるほど、報酬の支払いですね。
はい。実は、元請けの大手ゼネコンからうちに報酬が支払われるのが、3ヶ月ほど先になりそうなんですよ。
それは結構先な話ですね。
そうなんです。ただ、昨年できたフリーランス保護法で、建築士に払う報酬は、たしか業務終了から60日以内に支払わなければならなかったと思うのですが。
よくご存知ですね。確かに原則はそうですよ。
ただ、うちとしても、元請けから報酬が入る前に建築士に報酬を払うのは、正直財務上キツいんですよ。何か良い方法はありませんか?
この点、上記の60日ルールの例外として、ほかの事業者から受けた業務をフリーランスに再委託する場合には、例外が定められています。
なるほど、それはどんな例外ですか?
御社が元請けから支払いを受ける支払期日を起算日として、そこから30日以内のできる限り短い期間内に支払えば良いとされています。
そうなんですね!それなら何とかなりそうです。少し安心しました。
昨年制定されたフリーランス保護法。
フリーランスというのは
あくまで独立事業者ではありますが
企業間取引ということになると
どうしても力の弱い立場に置かれがちです。
具体的には
企業間の力関係から
何かと不公平・不合理な内容の取引を
強いられてしまうことが少なくない。
そこで
そうしたフリーランスを保護し
公正な取引を確保するために作られたのが
フリーランス保護法です。
そして
この法律では
フリーランスに対して支払う報酬の
支払期日に関して規制があります。
具体的には
フリーランスに業務を発注する事業者は
その報酬の支払期日を具体的に
特定できる形で定めなければならない。
その上で
その支払期日は
原則としてフリーランスからの仕事の成果を
受け取った日から60日以内のできる限り
短い期間内で定めなければならないとされています。
そして
60日を超えて支払期日を定めた場合には
受領日から起算して60日目が
支払期日とされます。
これがいわゆる「60日ルール」
と言われるものです。
ただし
この「60日ルール」には例外があります。
すなわち
上記の例のように
事業者が
他の事業者から受けた業務の一部または全部を
他のフリーランスに再委託する場合です。
この場合
上記のA社の立場からしてみれば
元の委託者から報酬が支払われていないのに
60日以内に必ずフリーランスに報酬を
支払わなければならないのは
ときに酷な結果となります。
そこで
こうした場合は
元の委託者から支払われる
支払期日を起算日として
それから30日以内のできるだけ短い期間内を
フリーランスに対する報酬の支払期日
とすればよいとされています。
そこで
冒頭の事例でも
再委託する建築士が特に社員などを
雇っていないフリーランスである場合には
このフリーランス保護法が適用されます。
その場合
原則として
建築士に対する報酬は
再委託した建築士の検査業務が
終了してから60日以内に支払期日を
定めなければなりません。
ただ
冒頭の事例では
元の委託者である大手のゼネコン
からA社に対する支払期日は
3ヶ月後になるということで
そのままでは60日を過ぎてしまいます。
そこで
この場合には
大手のゼネコンからの支払期日から起算して
30日以内の日を
その建築士への報酬の支払期日
とすることができるわけです。
なお
このフリーランス保護法に違反した場合
公正取引委員会より
違反行為の是正を求める勧告を
受けることがあります。
そうすると
社名が公表されて
会社のイメージが大きく
傷つくリスクもあります。
しかも
昨年のフリーランス保護法の制定以来
最近では勧告を受ける事例も
増えていると言われています。
そのため
フリーランスに業務を委託する会社では
この法律に違反しないように
気をつける必要があります。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。