
大手の企業が
その力関係を利用して
取引先の中小企業に経済的な
利益を提供させる。
これは
独占禁止法が禁止する
「優越的地位の濫用」に
当たる可能性があります。
(今日の「棒人間」 協賛金をタカる人??)
<毎日更新1609日目>
弊社感謝セールです!協賛金をよろしく!
は〜・・・。
埼玉県のさいたま市にある
電気設備資材卸大手の
「新明電材」という会社。
「感謝セール協賛」などの名目で
納入業者から納入業者から
金銭を徴収したことが
独占禁止法の「優越的地位の濫用」
に当たるとして
公正取引委員会が警告を
発したとの報道がありました。
報道によれば
この会社では
2022年4月〜25年7月まで
「感謝セール協賛」や
「協力会費」の名目で
取引額の1%を支払うよう
納入業者に要請。
ところが
こうして集めたお金の
算出根拠は明確にせず
顧客に還元することもなく
自社の利益としていたとか。
公正取引委員会は
同社に対して
今後同様の行為をしないように警告し
同委員会のホームページにも
掲載されています。
独占禁止法が規制する
「優越的地位の濫用」とは
要するに企業間の力関係を
利用したアンフェアな行為を禁止し
公正な競争を維持するための制度です。
よくあるのが
力のある大手企業が
中小零細企業などに対して
不当に不利益を与えるような
要求を行うことがあります。
しかし
企業間の力関係から
中小零細の立場からすると
不当な要求と分かっていても
事実上断れないということがあります。
そこで
こうした大手企業の行為を
「優越的地位の濫用」として
規制しているわけです。
そして
「優越的地位」にあるかどうかは
次の4つの要素で判断されます。
1つ目は
取引依存度。
例えば
大手企業のA社と中小企業の
B社が取引をする場合
B社の売上における
A社との取引の割合です。
これが大きければ依存度が大きく
A社はB社に対して
「優越的地位」にあると
判断されやすくなります。
2つ目は
A社の市場における地位や
市場におけるシェアの大きさです。
これが大きければ
やはり「優越的地位」にあると
判断されやすくなります。
3つ目は
B社がA社以外の他の事業者と
取引を開始できる可能性です。
これが低ければ
やはりA社は「優越的地位」に
あると判断されやすくなります。
そして
4つ目の要素は
その他、A社と取引をすることの
B社における必要性を示す事実です。
例えば
B社が大手で有名なA社と
取引をすることで
自社の信用度が高まる
関係にある場合。
この場合には
B社はA社との取引を
継続せざるを得なくなり
やはりA社が「優越的地位」に
あると判断されやすくなります。
そして
禁止される行為は
今回の「感謝セール協賛金」という
名目でお金を徴収することは
まさにこれに当たるでしょう。
違反企業に対して
公正取引委員会は
上記のような「警告」のみならず
そうした違反行為をやめさせるための
「排除措置命令」という行政処分を
行うことができます。
さらに
違反事業者には「課徴金」という
ペナルティーが課されることもあります。
今回
冒頭で取り上げた「新明電材」は
公正取引委員会の調査を受け
自主的に金銭の徴収を取りやめ
さらに
再発防止措置を講じたとのこと。
そこで
「排除措置命令」や「課徴金」といった
より重い処分を避けることができた
のではないかとされています。
「新明電材」は
今回の件を受けて
とコメントしているそうです。
具体的には
再発防止策として
コンプライアンス部門を新設し
定期的な研修を実施する
としているそうです。
今の時代は
企業に対する法令遵守の
要求が厳しくなっており
コンプライアンスリスクが
高まっています。
違反企業には
上位のようなペナルティーだけではなく
そもそも企業名が公表されて
信用に傷がつくという
レピテーションリスクもあります。
知らず知らずのうちに
法律違反を犯していないか
注意が必要ですね。
そもそも「協賛金」というのは
一定の事業やイベントの趣旨に賛同して
支援するために自主的に支払うものです。
「協賛金」が事実上の「強制」になっては
シャレにならないですね!
それでは
また。
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Profile
中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。