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渋谷の弁護士吉田悌一郎

退職前の「有給消化」拒めるか?「有給買い取るから働いて」はOK?

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今年いっぱいで会社を

辞めたいとの社員の申し出。

 

 

しかも

未消化の有給を消化して辞めたいと。

 

 

繁忙期の会社としては困るので

せめてこの社員の有給を会社が買い取って

 

 

退職日まで働いてもらうことは

できるのでしょうか?

 

 

(今日の「棒人間」 有給の強制的買い上げ??)

 

<毎日更新1648日目>

その有給休暇、買い取るから働いて?

社長、すみませんが、年内で会社を辞めさせてもらいたいんです。

ゲゲ!マジか??

それで、言いにくんですが、私の有給、まだだいぶ残ってますよね。あれを消化して辞めたいんです。

いや〜、でも年末はうちの会社は超繁忙期だよ。せめて辞めるまできちんと働いてもらわないと困るんだよ。

社長、それでは、私の残った有給休暇はどうなるんです?

う〜ん、じゃあさ、君の有給は会社で買い取るから、なんとか辞めるまで働いてくれよ。

う〜ん。。。

年内で会社を辞めたい社員。

 

 

しかし

この会社は年末は超繁忙期。

 

 

社員は

今まで溜まっている有給を

消化して辞めたい。

 

 

でも

会社としてはそれは困るので

 

 

それならばせめて社員の有給を

会社が買い取りたい。

 

 

そろそろ年末が近づく今の時期

こんな話は結構現実にありそうですよね。

 

 

このような場合

果たして

 

 

社員の有給休暇を会社が買い取る

ことはできるのでしょうか?

 

 

 

 

 

社員の「有給」を会社が買い取るのは原則違法

 

この点、「有給休暇」というのは

 

一定期間勤続した社員に対して、心身の疲労を回復し、ゆとりある生活を保障するために付与される休暇 

のことを意味します。

 

 

これは要するに

「有給」で休むことができる

 

 

すなわち取得しても賃金が

減額されない休暇のことです。

 

 

有給休暇の日数などは

法律で決まっており

まず

 

①雇い入れ(入社)の日から6ヶ月経過しており、
②その期間の全労働日(全出勤日)の8割以上出勤した社員

 

10日与えられます。

 

 

そして

その後も1年ごとに要件を

満たすことにより

 

 

順次取得できる有給休暇の

日数が増えていきます。

 

 

そして

この有給休暇を会社が

社員から買い上げることは

 

 

原則として

違法とされています。

 

 

これは

有給休暇というのは

そもそも社員を労働から解放する日を設けて

 

 

リフレッシュさせるという

ところに目的があるからです。

 

 

会社がお金さえ払えば

社員に有給休暇を取得させなくても良い

ということになると

 

 

この有給休暇制度の目的を

果たすことができなくなります。

 

 

この点

お金で社員の有給を強制的に買い取る

ことができると勘違いしている

 

 

経営者の方がおられますが

注意が必要ですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

例外的に有給の買取りができる場合

しかし

仮に社員の有給休暇の買取りを行なっても

こうした有給休暇制度の目的と矛盾しない

 

 

という場合には

例外的に買い取りが

許されることがあります。

 

 

具体的には

会社で上記の法律で定められた日数よりも

多い日数の有給休暇を与えている場合。

 

 

この場合には

上記の法律で定める日数を

上回る日数部分については

 

 

会社が買い取ることは

許されるとされています。

 

 

なぜなら

この場合は法律で定めた日数の

有給休暇はきちんと確保されている

 

 

という前提だからです。

 

 

そしてもう1つが

社員が退職する際に

 

 

未消化の有給休暇が

残っているという場合です。

 

 

社員の退職時に残っている

有給休暇を会社が買い上げることも

適法とされています。

 

 

もし社員が退職してしまえば

未消化の年次有給休暇は

すべて消滅してしまいます。

 

 

そうであれば

 

 

未消化の有給休暇を会社が

買い取った方が

社員にとってメリットになるからです。

 

 

 

 

 

退職日まで強制的に働かせるのはダメ

 

 

なお

これはあくまで

 

 

社員が退職時にまだ未消化の

有給休暇が残っている場合の話です。

 

 

そうではなく

社員が退職日まで未消化の有給休暇を

使って休むという場合

 

 

会社がその有給休暇を買い取って

 

 

退職日まで働いてもらう

ことができるかどうかは

また一応別問題です。

 

 

この場合

あくまで上記で述べた有給休暇制度の

趣旨がそのまま当てはまります。

 

 

すなわち

有給休暇を取得するか否かは

社員の権利であり

 

 

会社が強制的にお金で有給を

奪うことはできないわけです。

 

 

ですから

もし社員の合意があれば別ですが

合意がない場合には

 

 

冒頭のように会社が残りの有給を

強制的に買い取って

 

 

退職日まで働かせることはできない

という結論になります。

 

 

これから年末に向けて

こうした退職時の有給休暇の買取の

トラブルも増えることが予想されます。

 

 

トラブルを予防するためには

経営者としては

 

 

正しい知識を持って対応

したいものですね。

 

 

それでは

また。

 

 

 

 

 

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早朝から5キロほどランニング。雨だったので、近所の商店街のアーケードの中を。
午前中は、自宅から「実務で役立つ専門書を読む会」という勉強会にオンライン参加。企業法務に関する勉強会でした。
午後は事務所で仕事。お客様から依頼された案件の書面作成などが中心でした。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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