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渋谷の弁護士吉田悌一郎

自宅での「持ち帰り残業」も残業代の対象?明示の指示がなくても「残業」になる?

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自宅で仕事をする「持ち帰り残業」。

 


会社が指示していなくても

残業代の支払い義務が生じることがあります。

 

 

その境界線はどこにあるのでしょうか。

 

 

 

(今日の「棒人間」 持ち帰り残業??)

 

<毎日更新1653日目>

持ち帰り残業が月200時間超??

半導体検査機器大手のアドバンテス

という会社に務める40代の男性社員。

 

 

自宅で長時間の「持ち帰り残業」

を強いられたとして

 

 

同社に残業代の支払いを

求める裁判を起こしました。

 

 

この裁判について

 

 

会社側がこの社員に解決金400万円を

支払う内容で和解が成立したとの

報道がありました。

 

「持ち帰り残業」巡り、半導体検査機器大手と40歳代社員が和解…多い月は自宅で200時間超

 

 

報道によれば

この男性は

 

 

2016年から光超音波顕微鏡の開発事業で

システム開発の全体管理を任されていました。

 

 

その際

会社から

 

 

残業時間を月に9時間以内とするように

指示されていたとのことです。

 

 

ところが

男性は

 

 

業務用のパソコンを自宅に持ち帰って

残業するのが常態化しており

 

 

残業時間が多い月で月に200時間を

超えていたと言います。

 

 

こういった自宅に仕事を持ち帰る

「持ち帰り残業」ですが

 

 

この場合も会社には残業代の支払い

義務が生じるのでしょうか?

 

 

 

 

 

持ち帰り残業は「労働時間」か?

 

たとえば

午前9時から午後6時までが労働時間

 

 

途中お昼休憩が1時間と定められていた

としましょう。

 

 

その場合に

社員が自宅に帰り

 

 

午後9時から12時まで

3時間自宅で仕事をしたとします。

 

 

このとき

この自宅で仕事をした3時間は

「労働時間」に当たるのでしょうか?

 

 

もし当たるとすれば

1日8時間の法定労働時間を

超えていますので

 

 

その部分は割増賃金(残業代)の支払いが

必要ということになります。

 

 

この点

法的に「労働時間」にあたるか

どうかは

「労働者の行為が、会社の指揮命令下に置かれたものと、客観的に評価できる時間」

かどうか、

で判断されます。

 

 

ですから

当たり前ですが

 

 

会社が社員に対し

自宅に帰ってからも3時間残業を

するように命じたのであれば

 

 

もちろんこれは残業時間と

なります。

 

 

ところが

現実問題として

 

 

会社が社員に

自宅で「持ち帰り残業」を明示的に

指示することなどは稀でしょう。

 

 

そこで、

明示的な持ち帰り残業の

指示はなかったが

 

 

社員が自宅で持ち帰り

残業したという場合は

どうなのでしょうか?

 

 

 

 

明示的な指示がなくても「労働時間」となる場合

この点

「持ち帰り残業」というのは

あくまで自宅で仕事をしているわけです。

 

 

そうなると

会社内で残業する場合と比較して

 

 

場所的な拘束性や規律的な

拘束性は弱いということが言えます。

 

 

極端な話

自宅でテレビを見ながら

音楽を聴きながら

 

 

仕事をすることも

社員の自由にできます。

 

 

ですから

このような場合は

 

 

原則として

使用者の指揮命令下の時間とはいえず

労働時間にはあたらないと考えられます。

 

 

ただし

次のような場合は

 

 

例外的に使用者の指揮命令下の時間

と評価される可能性が高くなります。

 

 

すなわち

一定期間内に業務を処理しなければ

社内での評価が下がるとか

 

 

会社から不利益を受ける

ような場合。

 

 

さらに

その業務量からいって

 

 

業務時間内で処理することが不可能であり

持ち帰り残業をせざるを得ないとか

持ち帰り残業が常態化していたような場合。

 

 

こうした場合は

会社からの明示の指示は

なかったとしても

 

 

いわば「黙示の指示」があるものと

判断される可能性が高いでしょう。

 

 

冒頭の裁判の事例でも

業務用のパソコンを自宅に持ち帰って

残業するのが常態化しており

 

 

残業時間が多い月で月に200時間を

超えていたというものです。

 

 

そうなると

やはり会社の「黙示の指示」はあったと

判断される事例かと思われます。

 

 

そんなわけで

「労働時間」に当たるか否かは

 

 

会社で働くか

自宅で働くかに関わりなく

その実態で判断されます。

 

 

社員による「持ち帰り残業」が

常態化している会社は

要注意だと思いますね。

 

 

それでは

また。

 

 

 

 

 

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活動ダイジェスト

早朝に6キロほど、まだ薄暗い中の地元の公園をランニング。
午前中は自宅から自転車で中目黒の裁判所まで行って仕事。
いったん自宅に戻って、午後は霞ヶ関の裁判所へ行くという珍しく裁判所めぐりの日。
その後は事務所に戻って仕事。事務所の所内会議などでした。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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