会社を売却しようと考えたとき、
多くの経営者が「株価」や
「買い手」ばかりに目が行きがちです。
しかし実は
すでに結んでいる契約書の中に
M&Aを止めてしまう条項が
潜んでいることがあります。
それが「COC条項」です。

(今日の「棒人間」 足かせをはめられる??)
<毎日更新1737日目>
日本企業のM&Aの件数は
ここ数年過去最高で推移しているようです。
M&Aの件数が増加している背景には
後継者がいない中小企業の事業譲渡が
進んでいるのも一因とされています。
このM&Aや事業譲渡を行う場合
気をつけなければならないのは
「COC条項」と言われるものです。
COC条項とは
「Change of Control」の略で
会社の支配権の変更条項
のことを意味します。
簡単にいえば
「会社のオーナーが変わるなら
今の契約を白紙に戻す
(または事前に相談する)
権利を相手に与える」
という合意のことです。
契約書でこうした条項を設ける理由ですが
通常
契約は「会社対会社」で結ばれるため
社長や株主が変わっても契約は
継続するのが原則です。
ところが
「会社という箱」は同じでも
中身(支配株主や経営陣)が変われば
実質的には別の会社と取引
するような状態になり得ます。
具体例で説明すると
長年取引をしていたA社が
自社のライバル会社である
C社の傘下に入ってしまった。
A社の株主や社長は
C社からの出向者で占められます。
そうなると
自社の企業秘密など機密情報が
A社を通じてライバル会社である
C社に流出することになってしまい
多大な被害を被ることになります。
そこで
そのような事態を防止するために
取引先の会社の組織構成が
変わった場合には
契約を解除することができる
とするCOC条項を結んでおく
意味があるわけです。
ところが
このCOC条項が
会社のM&Aや事業譲渡の大きな
足かせになることがあります。
というのは
M&Aや事業譲渡というのは
まさに会社の組織構成が大きく
変わる場面に他ならないからです。
そこで
このCOC条項の典型的な
内容を見てみましょう。
まず
COC条項が発動する場面としては
があります。
そして
一般的なCOC条項では
こうした組織変更がある場合には
事前の通知義務が課される
場合が多いでしょう。
要するに
買収される前にその情報を開示しなさい
ということです。
さらに
こうした組織再編について
事前に取引先の承諾を得る必要が
あると取り決める場合もあります。
これは
買収されるならこちらの許可を得て下さい
それが嫌なら契約解除してもらいます
ということを意味します。
そして
実際に組織変更などが行われた場合
取引先に契約を解除できる権利を
与える場合が一般的です。
こうした条項があると
スムーズなM&Aや事業譲渡ができない
あるいは買収した後で思わぬ
不利益を受けることがあります。
たとえば
取引銀行との金銭消費貸借契約には
このCOC条項が入っている
ことが多いです。
そして
組織変更などがあった場合
銀行の承諾が得られないと
期限の利益の喪失といって
借入金の全額の返済を
求められる可能性があります。
そうなると
買収ができたとしても
会社の資金繰りが急激に悪化し
倒産のリスクに直面
することになります。
さらに
IT業界や製造業などでは
ソフトウエアや特許のライセンス
契約を結んでいることが多い。
このライセンス契約でも
やはりCOC条項が入っている
ケースがあります。
会社の組織変更などがあった場合に
このCOC条項によって
ライセンス契約を解除されると
事業に必要なツールや技術が
突然使えなくなってしまい
事業運営に重大な支障が生じます。
さらに
複数の会社でお金を出し合って
合弁事業(ジョイントベンチャー)
を行う場合にも
COC条項の取り決めがある
場合があります。
要するに
パートナー企業のどちらかの
支配権が変われば
残された方のパートナーは
「知らない企業と一緒にビジネスはできない」
ということになります。
そうなると
合弁契約のCOC条項に基づき
強制的に株式をパートナーに安値で
売り渡さなければならなくなったり
事業を解散させられたりする
リスクもあります。
このように
COC条項の存在が
M&Aや事業譲渡にとって思わぬ
足かせとなる場合があります。
ですから
M&Aや事業譲渡などを行う場合には
この辺の契約関係の調査を事前に
しっかり行なっておくことが重要です。
その上で
取引先の承諾を得る必要の有無など
必要な手続を抜かりなく
行なっておくことが大切です。
M&Aや事業譲渡は
単なる企業の売買ではなく
経営資源の最適化や成長を加速させる
「前向きな戦略的手段」として
広く活用されているという
側面があります。
円滑なM&Aや事業譲渡を行うためにも
COC条項の存在には気をつけて
おきたいものです。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。