「リンゴ泥棒で1億円超の賠償命令」
という衝撃的なニュースが。
社員が会社に損害を与えた場合
社員への損害賠償がどこまで
認められるのか?
その基本ルールと例外について
考えてみましょう。

(今日の「棒人間」 りんご泥棒??)
<毎日更新1808日目>
リンゴといえば??
青森県。

その青森県のつがる弘前農協で
りんご施設で発生した大規模な
りんご盗難事件に
元従業員らが関わって
いたとのことです。
そこで
農協がこの元従業員ら7名に対して
約2億3000万円の損害賠償を
求めて裁判を起こしました。
この裁判の判決が先日あり
裁判所は
この7名のうちの4名と仲介役1名に対し
約1億円超の賠償を命じた
との報道がありました。
被告5人に1億9000万円の賠償命令/つがる弘前農協リンゴ盗難事件
この件では
農協が被った損害額のうち
一定程度は保険金で支払われたようで
残りの損害について元従業員らに
賠償するように命じられたものです。
この件は内部通報に
よって発覚したそうで
元従業員のうち5名は
刑事裁判でも窃盗罪で
有罪判決を受けているそうです。
さてさて
たとえば会社の社員が
会社に損害を与えた場合
会社はその社員に対して
損害賠償を請求することができます。
問題は
どの程度まで社員に対して
賠償請求できるか
という点です。
この点に関しては
実は最高裁の判例が
判断基準を示しています。
それによると
使用者(会社)は,その事業の性格,規模,施設の状況,被用者(社員)の業務内容,労働条件,勤務態度,加害行為の予防又は損失の分担についての使用者の配慮の程度その他諸般の事情に照らし,損害の公平な分担という見知から信義則上相当と認められる限度において,被用者(社員)に請求することができる
とされています。
ゴチャゴチャわかりにくいですが
要するに
上記のようないろいろな要素を考慮して
事例ごとにケースバイケースで
金額は決まってくる
ということです。
ただ
一般的に認められている数字としては
だいたい
会社が受けた損害の2割から3割程度
が限度とされることが多いようです。
これはなぜかというと、
会社というものは
社員を雇うことによって
利益を得ています。
ですから
仮に社員が原因で会社に
損害が発生したとしても
その損害をすべて社員に
負担させるのは公平ではない
という考え方が背景にあります。
この考え方のことを
専門的に
報償責任(ほうしょうせきにん)
の原理と言います。
しかし
冒頭のりんご泥棒の事案は
かなり高額で
保険金を除くほぼすべての損害
について賠償が認められています。
上記の理屈からしたら
それはちょっとおかしい
のではないか
と思われるかも
知れません。
しかし
上記の「報償責任の原理」の理屈は
あくまで社員がそれなりにきちんと
働いている中で
起きてしまったミス(過失)
といったようなものを
前提にしています。
たとえば
工場で働いている社員が
機械の操作を誤って
その機械を壊してしまったような
場合がその典型例と言えるでしょう。
こうした場合に
壊れた機械の損害全額ついて
その社員に賠償させるのは
それはあんまりだよね
という価値判断が背景にあります。
ところが
今回のりんご泥棒は「ミス(過失)」と
呼べるようなものではなく
元従業員らは当然「故意」に犯罪を行い
それによって使用者に損害を
与えているケースです。
いわば
確信的に会社に損害を与えることが
わかっていてやった悪質な犯罪。
しかも
その金額が2億円を超えるということで
発生した結果も重大です。
そうしたケースでは
いかに上記の最高裁の基準である
「損害の公平な分担という見知から
信義則上相当と認められる限度」
を考慮しても
元従業員らに配慮すべき事情は
一切ないと言えるでしょう。
そんなわけで
今回非常に高額の賠償が認められたのは
極めて例外的なケースと言えるでしょう。
社員に対して賠償請求できるか
というのは
割とよく経営者の方から
ご質問をいただくテーマです。
今回のケースはあくまで例外で
基本的には全額の賠償請求は難しい
ということは理解しておかれた方が
良いでしょうね。
とは言え
やはり実際には
ケースバイケースですので
現場で判断に迷った場合は
弁護士にご相談されることを
お勧めします。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
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私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。