「自分は正しい」
そう思っている時ほど
人はブレーキが効かなくなる
ことがあります。
宇奈月温泉の「権利ノ濫用除」
お守りの話から
「正論」が暴走する怖さについて
考えてみました。

(今日の「棒人間」 正論で斬る人??)
<毎日更新1844日目>
富山県黒部市の宇奈月温泉で
「権利ノ濫用除」お守りというものが
人気を呼んでいるという話を聞きました。
宇奈月温泉、開湯100周年を記念して「権利ノ濫用除お守り」を制作!
「宇奈月温泉」というのは
行ったことはありませんが
その固有名詞には聞き覚えがあります。
大学の法学部に入ると
すぐに「民法」という法律の授業があります。
そして
その「民法」の授業の割と最初に出てくるのが
「宇奈月温泉事件」という
有名な(?)事件です。
これは何かと言うと
実は昭和の初期の頃に出された
とある民事裁判の事件なのです。
具体的には
富山県にある宇奈月温泉は
別の土地の離れた引湯管からお湯を
引いていました。
その温泉にお湯を引く引湯管のほんの一部が
他人の土地にはみ出して通っていました。
そのはみ出して引湯管が通っている
土地を購入した所有者が
宇奈月温泉に対して
と主張しました。
土地の不法占拠を理由に
裁判を起こしてこの温泉の引湯管の撤去を
迫ったという事件です。

確かに
土地の所有者は
自分の土地に他人の引湯管が
通っている場合には
理屈上は土地の所有権という権利に
基づいて、引湯管の撤去を請求できる
ことになります。
専門的には
「所有権に基づく妨害排除請求権」
と言います。
これは
形式的には「自分の権利」を
行使しているわけです。
ところが
裁判所の判決は
この土地の所有者の請求は
「権利の濫用」だといって
引湯管の撤去の請求を
認めませんでした。
権利の濫用とは
たとえ自分の権利だったとしても
社会的に妥当と考えられる範囲を越えて
権利者が個人的・利己的な立場から
強引に権利の主張ををすることは
許されないというものです。
民法の第1条の3項で
権利の濫用は、これを許さない。
と定められています。
この事件で
引湯管がはみ出している
土地の所有者の請求が
「権利の濫用」とされた理由として
・宇奈月温泉側が引湯管を迂回させることが費用や日数から事実上不可能
・引湯管が中断され温泉経営が破壊されると、その集落の衰退を招く
・引湯管がはみ出している土地の価値が非常に低かったこと
・所有者が、引湯管がはみ出している事実を十分知った上で土地を購入していること
などが考慮
されたようです。
あくまで例外的な事例ではありますが
自分の権利であっても
その行使が「権利濫用」とされて
許されない場合があるということです。
つまり
法律の世界は昔から
「権利がある」から「何をしても良い」
とは考えていないわけです。
「権利濫用」の法理は
まさしくそうした「正論」で突っ走った時に
現実で起きる不具合を「調整」する
ためのものなのです。
実は
現代においても
この「権利濫用」に近いトラブルの
構図を非常によく見かけます。
たとえば「カスハラ」
お客様には
ある意味クレームを言う権利はあります。
しかしそれが
何時間も怒鳴り続けるとか
人格を否定する
土下座を強要する
SNSでさらすと脅す
といったことになれば
それは単なる「権利行使」とは
言えなくなります。
怖いのは
多くの場合こういった
「カスハラ」行為をしている本人は
と思っている点です。
だからこそ
暴走してブレーキが効かなくなって
しまう部分があります。
もちろん
「権利」を守ることは大切です。
しかし同時に
という視点も忘れてはなりません。
宇奈月温泉の「権利ノ濫用除」という
お守りが人気を集めているのも
だからこそ
多くの人の心に刺さっている
のかも知れませんね。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
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私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。