お客様からのクレーム
どこまでが正当な要求で
どこからが「カスハラ」になるのか?
実は
この線引きが難しいことが
企業のカスハラ対策が進まない
大きな理由の1つになっています。
今回は
正当なクレームとカスハラを見分けるための
「2つの判断基準」について考えてみます。

(今日の「棒人間」 線引きは難しい??)
<毎日更新1988日目>
このブログでの何度か取り上げていますが
今年の10月から
中小企業も含めてすべての企業に対して
カスハラ対策が義務化されました。
広く顧客による嫌がらせを意味する
カスタマーハラスメント(カスハラ)。
具体的に
今年の10月から義務化された対策として
主に
などが求められています。
ところが
東京都が3月に公表した実態調査報告書で
カスハラ防止対策に取り組んでいると
答えた企業は回答企業(約4700社)の
4割に満たなかったそうです。
そして
取り組んでいない理由(複数回答)としては
が29.6%で最高だったとか。
カスハラの無茶な要求には
応じるべきではありませんが
他方で
お客様の正当なクレーム
というものも存在します。
お客様のクレームが
もっともな言い分であれば
それは企業としてはきちんと誠実に
対処すべきことは言うまでもありません。
正当なクレームを言う
お客様をないがしろにし
不誠実な対応をしていると
企業にとっては信用を失うなど
大きなマイナスとなります。
また
「クレームは宝の山」という言葉があるとおり
お客様からの正当なクレームは
自社の商品やサービスを改善し
より質の高いものに向上させるための
大きなチャンスでもあります。
だからこそ
お客様の正当なクレームと
カスハラとをきちんと区別し
その対応を変えるということが
企業には必要となります。
ところが
このカスハラと正当なクレームとの
線引きというものは
現場ではそれほど簡単ではなく
悩みが大きいようですね。
ここで
法的なカスハラとは何かと言えば
の3つの要素をいずれも
満たすものとされています。
ここで
正当なクレームとの線引きの関係で
特に問題となるのが
「② 言動が社会通念上許容される
限度を超える」の要件です。
そして
正当なクレームとカスハラの違いは
どこにあるのかを考える上で重要なのは
相手の言動の内容の妥当性と
その要求を実現するための手段の妥当性
という2つの視点にわけて考えることです。
まず要求内容が不当な場合。
さらに
要求内容が正当であっても
その要求を実現するための
手段・態様が不当な場合。
これらの場合が
正当なクレームではなく
いわゆる「カスハラ」行為
であると判断される
ということになります。
この2つの分類という視点から見た
カスハラ行為の具体例としては
厚生労働省が出している
が参考になります。
それによると
まず
要求内容の不当性
すなわち言動の内容が社会通念上
許容される範囲を超えるものとして
(そもそも要求に理由がない又は商品・サービス等と全く関係のない要求)
・ 性的な要求や、労働者のプライバシーに関わる要求をすること。
(契約等により想定しているサービスを著しく超える要求)
・ 契約内容を著しく超えたサービスの提供を要求すること。
(対応が著しく困難な又は対応が不可能な要求)
・ 契約金額の著しい減額の要求をすること。
(不当な損害賠償要求)
・ 商品やサービス等の内容と無関係である不当な損害賠償要求をすること。
があげられています。
次に
その要求を実現するための
手段・態様が不当な場合として
(身体的な攻撃(暴行、傷害等))
・ 殴る、蹴る、叩く等の暴行を行うこと。
・ 物を投げつけること。
・ わざとぶつかること。
・ つばを吐きかけること。
(精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉毀損、侮辱、暴言、土下座の強要等))
・ 店舗の物を壊すことをほのめかす発言やSNSへ悪評を投稿することをほのめ かす発言によって労働者を脅すこと。
・ インターネット上へ労働者のプライバシーに係る情報の投稿をすること。
・ 労働者の人格を否定するような言動を行うこと。相手の性的指向・ジェンダー アイデンティティに関する侮辱的な言動を行うことを含む。
・ 土下座を強要すること。
・ 盗撮や無断での撮影をすること。
・ 労働者の性的指向・ジェンダーアイデンティティ等の機微な個人情報について、 当該労働者の了解を得ずに他の者に暴露すること又は当該労働者が開示すること を強要する若しくは禁止すること。
(威圧的な言動)
・ 大きな声をあげて労働者や周囲を威圧すること。
・ 反社会的な言動を行うこと。 (継続的、執拗な言動)
・ 不必要な質問を執拗に繰り返すこと。
・ 当初の話からのすり替え、揚げ足取り、執拗な責め立てをすること。
・ 電子メール等を不必要に繰り返し送りつけること。 (拘束的な言動(不退去、居座り、監禁))
・ 長時間に渡る居座りや電話で労働者を拘束すること。
などがあげられています。
そして
実際には
何が自社にとってのカスハラ
なのかをある程度明確にした上で
実際にカスハラ被害が
発生した場合を想定して
カスハラ対応マニュアルを
作成しておくことが効果的です。

また
このマニュアルは
当然作るだけでは不十分で
作ったマニュアルはきちんと社内で周知し
現場ではカスハラ被害の発生を
予期して対応のシミュレーションなどを
行っておくと万全でしょう。
カスハラと正当なクレームとの線引き
これは確かに難しい面があるでしょう。
しかし
上記の視点を理解していただいた上
対応マニュアルを作成・整備することで
現場でカスハラに対処しやすくなる
という面は確実にあると思われます。
現場での線引きがなかなか難しいからこそ
事前にしっかりと準備を
しておきたいものです。
それでは
また。
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Profile
中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。