残業代さえ払っていれば、
社員に残業させても構わない、
そんな誤解がいまだにあります。
会社経営にあたって、
基本的な法律を知らないと、
足元をすくわれることがあるので、
注意が必要です。
(駐車禁止の標識、「知らなかった」ではすまされない?)
<毎日更新654日目>
全国の企業のうち、
7割以上の会社には
顧問弁護士がいない、
と言われています。
その割合は、
中小零細企業ではさらに
高まるでしょう。
だいたい、
中小零細企業の経営者の方と
お話をしていてよくおっしゃる
セリフが、
うちは、弁護士に相談するようなことは何もありません。
というもの。
でも、
それ本当ですかね?
私の印象では、
私がお付き合いしている
経営者の方は、
みな真面目でポテンシャルの
高い方が多い。
なので、
ビジネスで成果を上げられる
方も多いです。
しかし、
そんな能力の高い経営者の方でも、
驚くほどに会社経営に関する
基本的な法律をご存知なかったり、
そのために時にムチャをやってしまう
ケースがあります。
そんなことを思わせるような
報道がありました。
神奈川県の桐蔭学園といえば、
有数の進学校でもあり、
またスポーツでも全国大会出場校
だったりして、文武両道として
有名な学校です。
そんな学校で、
職員の違法残業があり、
なんと労働基準監督署が書類送検
をしたというのです。
職員に残業をさせるためには、
いわゆる時間外労働に関する
36(サブロク)協定というものを
締結して届け出る必要があります。
しかし、
なんと桐蔭学園はこれをせずに
職員を残業させてしまった、
というものです。
最近、高校や大学などの学校で、
ブラック企業並みの違法な残業が
行われていた、というケースが
増えていますが、まさか桐蔭学園が
そんなことをやっているとは。。。
しかし、学校だけではなく、
民間企業でもこうした問題は
よく起きています。
このブログでも何度か
取り上げていますが、
社員の残業に関する36協定
について、
もう一度おさらいしますね。
そもそも、
法律で定められた残業代
さえ払っていれば、
社員を残業させることができる、
と思っている経営者がおられますが、
これ、よくある誤解です。
労働基準法上の大原則としては,
1日8時間,
1週間で40時間を超えて
働かせてはならないと
規定されています。
その上で、
36(サブロク)協定
がある場合に、
例外的に残業をさせる
ことができる、
という建て付けに
なっています。
これはまず、
残業や休日労働については、
あらかじめ会社は労働者の
過半数代表者と
書面による労使協定を締結することが必要
とされています。
このことは、
労働基準法36条に
定められているので、
この労使協定のことを、
呼ばれているのです。
さらに、
36協定は締結する
だけではダメで、これを
所轄の労働基準監督署長に
届け出ることも必要
とされます。
世の中では会社が命じれば
残業するのは当たり前といった,
上記の原則と例外が逆転している
誤解があります。
しかし、
法律上の建前は違いますので
注意が必要です。
これに違反して、
36協定がないのに
残業をさせた場合には、
労働基準法違反として、
6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金という罰則
罰則も定められています。
また、
悪質な違反事例(送検事例)
などは、
企業名が公表される
こともあります。
こんな風に、
桐蔭学園の例のように、
この36協定についての法律を
知らないと、時に大ごとに
なってしまう可能性があります。
ところが、
私の肌感覚としても、
意外にこの36協定の手続きを
ちゃんとやっていない
経営者の方がおられます。
ありがちなのは、
就業規則には36協定の届出を
したことになっているのに、
実際にはやっていない、
というケース。
たぶん、
就業規則はその辺のひな形なんかを
見て適当に作ったけど、
社員の残業に関する36協定に
ついてよくご存知なかったのでしょうね。
しかし、
法律をよく知らなかった、
あまり理解が不十分だった、
という言い訳は一切通用しないのです。
よくある駐車禁止のマーク。
というわけで、
今日のポイントは
ということです。
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今回は、裁判所の判決もAIで出せるのか?法律知識があれば簡単に答えが出るのか、そんなテーマでお話しています。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。