使っていないのに毎年固定資産税や
管理費がかかる土地。
手放したいけど
誰も買ってくれない。
そんな方に朗報、
今年の4月に、
相続土地の国庫帰属制度
というものがスタートしました。
(今日の「棒人間」 いらない土地?)
<毎日更新799日目>
先日、
知人のA社長から、
ご実家の土地の問題について
ご相談を受けました。
実は、10年前に、亡くなった父親から、新潟県の田舎の山林を相続しまして。
新潟の山林ですか。
何か利用されていたのですか?
いや、まったく何もせずに放置していたのです。
ところが最近、近所の人から、山火事になったら困るから、きちんと手入れをしてほしいと言われまして。
なるほど、山林も維持するのが大変ですね。
そうなんです。
でも、管理すると言っても、遠くの土地なので現地に行くこともできません。
それはそうですよね〜。
しかも、毎年固定資産税がかかってまして、何も使っていない土地に結構コストがかかりそうなのです。
それは困りましたね。
まぁ、割とよくある話ではありますが。
正直、もうこの山林は手放したいと思っているのですが、誰もこんな田舎の山林を買ってくれる人がいなくて、とても困っているのです。
なるほど。
実は、今年の4月からスタートした、「相続土地の国庫帰属制度」というものがあります。
それは、どんな制度ですか?
相続した土地などで、使わない土地がある場合に、一定の負担金を支払って、国にその土地を引き取ってもらう制度です。
なるほど、正直、多少お金を払ってでも、引き取ってもらいたいというのが本音です。
ただ、今年の4月からスタートした制度ということですが、私のように10年も前に相続した土地でも大丈夫なんでしょうか?
それは大丈夫です。
この制度は、スタートした今年の4月よりも前に相続した土地でも対象になります。
この手の話は、
最近非常によく耳にします。
実家の親から、
山林や畑などを相続した。
しかし、
少子高齢化と地方の
過疎化の影響で、
そうした土地の市場価値は
ほとんどなくなっています。
ところが、
そうした土地でも
毎年固定資産税がかかり、
さらに管理の費用も
かかったりします。
まったく使えない土地について
コストをかけるのは馬鹿馬鹿しい
と思うでしょう。
そこで、
いっそのことそんな土地は誰かに
売るなりして手放したい
と考えるのですが、
悲しいかなそうした土地は
買い手がつかないことが
ほとんどです。
持ち主としては、
売るに売れないし、
さりとて持っているだけで
コストがかかるしで、
踏んだり蹴ったりな状態
なわけです。
そこで、
このような場合の救済策として、
今年の4月から、
「相続土地の国庫帰属制度」という
制度がスタートしました。
この制度では、
相続した土地などについて、
国に引き取ってもらいたいという
申請をまず行います。
そして、
法務局で、
承認するかどうかの
調査などを行います。
その上で、
承認がなされると、
所有者は一定額の負担金
(10年分の土地の管理費相当額)
を納付します。
そうした手続きが
有効に行われると、
最終的にその土地は
国の所有物になる、
ということになります。
ちなみに、
負担金は、
山林などの場合は、
土地の面積に応じて
決められています。
たとえば、
面積が750m2の場合は25万4000円、
1500m2の場合は27万3000円、
3000m2の場合は29万9000円、
6000m2の場合は33万5000円
などと決まっています。
この負担金は、
負担金の通知が到達した翌日から
30日以内に納付しなければならず、
期限内に納付しないと、
国庫帰属の承認が
失効してしまいます。
なお、
この制度がスタートした
今年の4月よりも前に
相続した土地であっても、
対象になります。
このように、
相続土地の国庫帰属制度は、
便利な制度ではありますが、
いろいろと要件があります。
具体的には、
国に引き取ってもらえない土地、
というものが決まっています。
それはどんな土地かというと、
まず建物が建っている土地です。
建物は、
一般に管理コストが土地以上に
高額であること、
また、
古くなると管理費用が増加したり、
最終的には取り壊し等が
必要となります。
そこで、
建物が建っている土地は、
この制度の対象には
ならないのです。
さらに、
抵当権とか、
地役権など、
担保や法律上の負担が
ついている土地も対象外です。
これらは、
もし抵当権などの担保権が
実行されると、
せっかく引き取っても、
国は所有権を失ってしまう
ことになるからです。
その他、
通路その他の他人による使用が
予定される土地が
含まれている土地や、
土壌汚染対策法上の特定有害物質に
汚染されている土地、
境界が明らかでない土地なども、
この制度の対象にはならず、
国は引き取ってくれません。
要するに、
国としても、
引き取った後で、
ややこしいことになる
可能性のある土地は、
引き取りませんよ、
ということになっています。
詳しくは、
法務省のサイトをご覧ください。
いずれにしても、
誰も引き取りたがらない
山林などを放置していると、
孫子の代まで悪影響が
及んでしまいます。
代が変われば、
余計に土地を整理するのは
難しくなります。
ヘタをすると、
親族どうしでいらない土地を
巡ってトラブルや「裁判沙汰」に
なる可能性もあります。
この点、
私のミッションは、
ということです。
将来の「裁判沙汰」を避けるためにも、
相続土地の国庫帰属制度の利用を
検討してみるのも1つだと思います。
それでは、
また。
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今回は、地主から借地の更新料を請求された場合に、支払う前にここをチェックして、というテーマでお話しています。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。