賃貸オフィスの大家が、
勝手に我が社の看板を撤去!
これは民事上の不法行為や、
刑法上の器物損壊罪という
犯罪になり得る行為です。
ただ、
そもそもこういうトラブルを
予防するには、
どうしたら良いのでしょうか?
(今日の「棒人間」 勝手に剥がすと犯罪??)
<毎日更新836日目>
会社の看板というものは、
営業にとってはとても
大事なものです。
その会社がそこに存在する
ということを外部に
知らしめるものですし、
営業している、
ということをお客様に
知らせる意味もあります。
この看板を、
ある日突然、
勝手に撤去されたら
たまりません。
先日、
建設会社を営むA社長から
ご相談を受けました。
この会社は、
オフィスビルの2階に
あるのですが、
ビルの1階の壁に会社の
看板を出していました。
ところが、
先日、このビルのオーナーが突然連絡してきて、1階のうちの会社の看板は、許可していないものだから、すぐに撤去しろと言うのです。
なるほど。
その1階の看板というのは、大家さんに無許可で出していたのですか?
とんでもないです。
3年前に、管理会社を通じて、看板を壁に貼らせてもらうということで、了解を得ています。口頭ではありますが・・・。
まあ、口頭でも許可を得ていれば良いとは思いますが。
そこで、うちはきちんと許可を得ていますよ、と大家に言ったのですが、大家は許可なんかしていない、すぐに撤去しろの一点張りだったのです。
なるほど。
それでどうなりました?
うちは、口頭とはいえきちんと許可を受けていますし、会社の大事な看板を撤去するわけには行きませんので、そのままにしていました。
ところが、その後、なんと大家が勝手に1階のうちの会社の看板を撤去したのです。
それはひどいですね!
そうなんです。
大家になにか抗議できないでしょうか?
まず、許可した、していないで問題になっているようですが、仮に明確な許可がなかったとしても、3年も前から御社が看板を出していて、それに対して大家さんが今までまったく異議を述べていないのであれば、黙示の許可があったものと評価できます。
なるほど。
さらに、大家さんであっても、借主の会社の看板を勝手に撤去する行為は、業務妨害であり、民事上の不法行為となります。
また、刑法上の器物損壊罪にも当たりうる行為です。
大家さんには厳重に抗議すべきですね。
借りている会社のオフィスビルで、
看板を出す、
出さないは結構多い
揉めごとの1つです。
このとき、
上記のように、
まず大家の側の許可を
得て出したのか、
それとも許可を得て
いないのかが問題とは
なります。
もし、
大家の許可もなく勝手に
看板を出したのだとすれば、
それは借主の方の契約違反、
ということになります。
ただ、
仮に許可を得ていなくても、
長期間看板を設置していて、
それに対して大家が異議を
述べなかったような場合です。
この場合は、
いわば大家も黙認しており、
黙示の許可があったと
評価することができます。
さらに、
大家が勝手に借主が設置した
看板を撤去しても良いのか、
という問題があります。
いくら大家であっても、
借主が設置した看板を
勝手に撤去した場合は、
一種の業務妨害となり、
民事上の不法行為となる
可能性があります。
この場合、
借主に損害が発生すれば、
大家に対して不法行為に
基づく損害賠償請求を
行うことができます。
さらに、
勝手に看板を撤去する行為は、
刑法上の器物損壊罪という
犯罪になる可能性もあります。
器物損壊罪を定めた刑法261条は、
次のように定めています。
他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
ここでいう
「他人の物を損壊」の
「損壊(そんかい)」とは、
その物本来の効用を
失わせる行為を言います。
ですから、
看板自体を物理的に
壊さなくても、
設置してある看板を
撤去する行為自体が、
看板としての本来の効用、
すなわち宣伝物としての
効用を失わせる行為に
あたります。
ですから、
看板を勝手に撤去する行為は、
この器物損壊罪になりうる
というわけです。
この場合、
なるべく早く大家側に
抗議をした方がよいでしょう。
こういうことを平気で
やってしまう大家は、
法を守るという意識が
希薄というか、
自分の所有物件なのだから、
何をしても許される、
とタカを括っている
フシがあります。
ですから、
速やかに大家に対し、
ということ。
トラブルを予防するためには、
やはり重要な節目では
書面を作っておく、
という習慣を身につけた方が
良いでしょうね。
それでは、
また。
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今回は、社員の留学費用と、未払い賃金との相殺ができるか?こんなテーマでお話しています。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。