「何度も注意したのに、
もう我慢の限界。
なんとかこの問題社員を
解雇したい」
しかし、
解雇はそう簡単にはできません。
しかも、
「何度も注意したのに」
が口頭で、
証拠に残っていないと会社に
決定的に不利になってしまいます。
(今日の「棒人間」 「何度も注意した」証拠を残すことは重要)
<毎日更新875日目>
今まで何度も注意したよな!
もう我慢も限界だ!
お前はクビだ!
もう明日から来なくていい!
時折、
社長さんから、
自社の問題社員を辞めさせたい、
というご相談を受ける
ことがあります。
どんな風に問題なのかは、
いろいろなパターンがあります。
何度注意しても遅刻が治らない、
同僚とトラブルを起こす、
嘘をついて客先に迷惑をかける、
その他社内ルールの違反を
繰り返すなどなど。
そんなとき、
社長さんはよくこうおっしゃいます。
この社員は、前々から〇〇とか、●●とか、××などいろいろと問題を繰り返してきて、一向に改善しないんです。
なんとか解雇にできませんかね?
う〜ん、解雇というのはやはり難しいですよね。
その社員に、これまで指導というか、注意はしてきたのですか?
もちろんですとも!
口頭ですが、これまで何度も注意してきました。
私も、根気強く注意していれば、そのうち改善すると思って、ずっと我慢してきたのです。
なるほど、ご苦労様です。
社長のお気持ちはお察しします。
ただ、口頭での注意のみだと、やはり解雇の根拠という点で不十分と言わざるを得ません。
根拠、ですか?
その社員が数々の問題行動をしてきたという事実が、客観的な記録に残っていないので、不当解雇を争われると、やはり会社側は不利になってしまいます。
そ、そうなんですか・・・。
今後、もしその社員の問題行動があった場合には、口頭の注意だけではなく、きちんと「指導書」などの文書を作成して、記録を残しておくことが大切です。
このブログでもなんどか
お伝えしていますが、
そもそも社員を「解雇」する
ことは、日本の法律上は
かなりハードルが高いのです。
すなわち、
社員を「解雇」
するためには、
という2つの要件を
満たす必要があります。
もちろん、
社員の問題行動など
理由とする「解雇」の場合も、
この2つの要件を満たしているのか、
が問われます。
この点、
社員の問題行動を
理由とする「解雇」が法的に有効
とされるためには、
その不良の程度が著しい場合に
限られる、
とされています(上記①の要件)。
さらに、
社員の問題行動の程度が
仮に「著しい」としても、
それだけでいきなり「解雇」
とすると、やはり無効とされます。
すなわち、
「解雇」というのは、
労働者である社員の生活の糧を
奪う行為でもあるので、
会社としてもなるべく「解雇」を
避ける努力をすることが
求められます(上記②の要件)。
具体的には、
会社がその社員に対して
粘り強く指導・教育を行なったか
どうかとか、本人の能力や適正に
見合った配置転換を検討したか
どうか、などが求められます。
中小零細企業の社長さんと
話していて、
よく出てくるのが、
上記のように
というもの。
しかし、
その「なんども注意した」
というのが、
口頭によるもので、
証拠が残っていない場合が
あります。
結局、
後で社員の側から否定されると、
「言った言わない」の水かけ論
になってしまいます。
このようなケースでは、
指導をしたという実績についての
証拠を残すために、
「指導書」という書類に
残しておくべきです。
いずれにしても、
社員から裁判などを起こされて、
「不当解雇」で争われると、
時間もお金もかかってしまって
会社側には非常に負担が
重くなります。
この点、私のミッションは、
ということ。
社員との過酷な「裁判沙汰」
を避けるためにも、
くれぐれも安易な「解雇」は
行わないこと。
そして、
万が一後で争われた場合に備えて、
きちんと証拠を残しておくことが
大切ですね。
裁判しないで解決するノーリスクプロモーター・弁護士 吉田悌一郎のプロフィール
最新動画
今回は、書類だけの株主総会ってあり?そのリスクとは?というテーマでお話しています。
活動ダイジェスト
住所 | 150-0031 東京都渋谷区桜丘町4番23号渋谷桜丘ビル8階 マップを見る |
---|---|
受付時間 | 【平日】9:30〜18:00 【土曜日】9:30〜12:00 |
Profile
中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。