建設現場で社員が転落してケガをした、という場合、
会社が安全配慮義務違反で民事上の損害賠償責任
を負う場合があります。
しかし、それだけではなく、場合によっては社長個人
が刑事責任を負う場合もあります。
(お台場の観覧車の解体工事)
<毎日更新546日目>
最近、各地で重大な死傷事故が発生しています。
お隣の韓国では、ハロウィーンを前に混雑するソウル市竜山区の
繁華街・梨泰院で雑踏事故が発生し、150人以上が犠牲に
なりました。
また、インド西部のグジャラート州では、500人近い人が
通行していたつり橋が崩落し、120人が死亡したとの報道が
ありました。
建設現場でも事故はつきものです。
高所に上がって作業をしていた社員が、誤って転落し、
重傷を負うというケースがあります。
このような場合、会社は安全配慮義務違反ということで、
その社員に対して民事上の損賠賠償責任を負うことが
あります。
このブログでも何度かお話していますが、会社は労働環境
の整備にあたって、社員の生命・身体等を危険から保護するよう
配慮するという安全配慮義務を負っています。
社員が建設現場で高所から転落してケガをした、という場合、
会社は安全配慮義務違反に問われる可能性があります。
その場合、労災保険が適用されますが、労災ではカバーできない部分
については、会社に賠償責任が残ることになります。
このように、会社が民事上の賠償責任を負うのは
ある意味当然としても、それに止まらない場合が
あります。
労働安全衛生法という法律があり、その21条2項では、
と定めています。
そして、これに違反した事業者は、
という刑事罰も定められています。
もしこの労働安全衛生法違反で送検されると、厚生労働省の
ホームページに事業者名等が公表され、場合によっては
公共工事の指名停止処分を受ける可能性も出てきます。
さらに、場合によっては、
ということで、刑法上の業務上過失致死傷罪に
問われる可能性もあります。
この業務上過失致死傷罪でも、
という刑事罰が定められています。
つまり、建設現場で社員の転落事故が発生した場合には、
会社の民事責任だけではなく、社長個人が刑事責任を
負うという可能性が出てくるわけです。
ですから、たとえば次のような場合には、社長個人の刑事責任
が発生する可能性が高いと言えるでしょう。
私の弁護士としての使命は、中小零細企業のトラブルを
民事でも刑事でも、「裁判沙汰」を避けるためにも、
危険な建設現場で働く従業員の安全対策はしっかりと
行いたいものですね!
というわけで、
今日のポイントは
ということです。
ところで、韓国のハロウィンの事故、
やはり雑踏とか人混みというのは
思わぬリスクがあるものですね。
私の事務所がある東京の渋谷も、まさに
雑踏・人混みの街なので、注意したい
ものです。
最新動画
今回は、中小企業の事業承継に関連して、社長が認知症になってしまった場合の備えとしての民事信託という制度について、お話しています。
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Profile
中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。