社員が同業他社に転職するのを
阻止する1つの方法として
「競業避止義務」を定める
という方法があります。
しかし
あまり広すぎる「競業避止義務」を課すと
法的に無効とされるおそれがありますので
注意が必要です。
(今日の「棒人間」 競業避止義務に阻まれる??)
<毎日更新1246日目>
この手のトラブルを最近よく耳にします。
社長にしてば
天塩にかけて育てた
社員に裏切られた
という気持ちで
怒り心頭になる
場合も多いでしょう。
社員1人を一人前に
なるまで育て上げるには
それなりの時間と
コストがかかります。
私も経営者の端くれとして
この社長の気持ちはよくわかります。
はっきり言って
人手不足のこのご時世
辞められるだけでも痛いのに
よりによって同業のライバル会社に
転職してしまった。
しかも
昨今は会社の営業秘密や
企業ノウハウなどの重要な情報が
同業他社に流出するのではないか
との観点からも
この手のトラブルは増えています。
そこで
会社としては
やはり社員に対して
何らかの「転職制限」を課したい。
この場合
その社員に「転職制限」として
使われるのが
社員に「競業避止義務」を課す
という方法です。
「競業避止義務」というのは
簡単に言えば
自社の業務と競業する
会社に転職したり
競業する企業を新たに
設立したりしてはならない
義務のことです。
競業避止義務が定められた
場合には
社員は
その会社を辞めても
競業会社に転職したり
競業する会社を設立したり
することができなくなります。
社員が競業避止義務に
違反した場合には
会社は,
その競業行為の差し止めを
請求したり
損害賠償を請求することが
できるとされています。
具体的には
就業規則で競業避止義務
を定めるという方法があります。
さらに
個別に社員から
入社時や退職時に
競業避止義務の
誓約書を書いてもらう
という方法がとられることが
多いです。
社員にこの「競業避止義務」
を課すことで
社員が競業他社に転職したり
競業する会社を設立したり
することを防止する
対策になるわけです。
ただし
この「競業避止義務」は
無制限に社員の競業を禁止できる
というものではありません。
というのは
社員にも
憲法で保障された「職業選択の自由」
というものがあります。
ですから
この社員の「職業選択の自由」
を侵害するような
「競業避止義務」の合意は
公序良俗に違反するということで
法律上無効とされてしまうのです。
たとえば
一生涯
日本国内で競業することを
禁止するような競業避止義務。
このような無制限の
「競業避止義務」は
たとえ就業規則や誓約書に
根拠があっても
法的に無効とされてしまうでしょう。
ですから
社員の「競業避止義務」
を定めるとしても
一定の制限を加える
ことが不可欠です。
特に
「時間」と「場所」には
限定を加え必要があります。
具体的には
たとえば退職後2年間
会社の本店支店のある市区町村
において競業を禁止する
といったような定めに
しておくことです。
この
競業を禁止する期間ですが
当然期間が長くなるにつれて
無効とされるリスクは高くなります。
実は
この期間は
かつては2年程度であれば
概ね有効とされていました。
ところが
最近の裁判例ではこの期間が
短くなる傾向にあるようです。
企業秘密の漏洩という観点からいうと
事業ノウハウや営業秘密が
陳腐化するのが早いので
今では1年を越す制限は
認められにくい
という指摘もあります。
ここで
重要なポイントは
会社側に
社員の競業を禁止する
正当な理由があるかどうか。
さらに
その社員が
営業秘密や事業ノウハウに
触れる地位にあったかどうか
などの要素も重視されるようです。
会社の立場からすれば
上記のとおり
社員の競業避止義務の範囲を
広げたいところではあるでしょう。
しかし
最近の傾向からしますと
競業避止義務が無効とされる
リスクは高まっているので
その辺はきちんと注意した上で
対応すべきでしょうね。
もし不安な場合は
弁護士に御社の就業規則
誓約書等における「競業避止義務」
の定めについて
リーガルチェックを受けた方が
良い場合もあるかも知れませんね。
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それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
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