退職時に
退職する社員に「競業避止義務」の
誓約書を書くように頼みますが
社員は拒否。
会社は
「それならもう、退職金は支払わないぞ!」
などと言えるのでしょうか?
(今日の「棒人間」 サインを拒否する人)
<毎日更新1247日目>
この書類にサインすることはできません。
そうか。この「競業避止義務」の誓約書にサインできないならば、退職金は支払わないよ。
昨日のブログでは
社員の「競業避止義務」を
テーマにしました。
「競業避止義務」というのは
簡単に言えば
自社の業務と競業する
会社に転職したり
競業する企業を新たに
設立したりしてはならない
義務のことです。
社員にこの義務を課すには
まず
会社は就業規則で社員の
競業避止義務を定めておきます。
さらに
個別に社員から
入社時や退職時に
競業避止義務の
誓約書を書いてもらう
という方法がとられることが
多いです。
ところが
最近では
社員の退職時に「競業避止義務」の
誓約書を書くように頼んでも
それを拒否される
というケースがあります。
その場合
会社は
その社員の退職金を支払わない
ということはできるのでしょうか?
この点
社員の退職金を「条件付き」で
支払うことは
一定の場合には可能
であるとされています。
ただ
その前提として
まず社員に課している
「競業避止義務」の内容が
有効なものでなければなりません。
昨日のブログでもお話ししたとおり
社員にも憲法で保障された
「職業選択の自由」があります。
ですから
あまり広範囲で制限の強い
「競業避止義務」は
公序良俗違反で無効
となってしまいます。
具体的には
退職後の競業避止義務の期間や場所を
一定の合理的範囲内に
限定しているものであれば
有効とされる余地はあるでしょう。
それでは
社員に課する「競業避止義務」が
有効であるとして
退職時にその「競業避止義務」の
誓約書を書くことを
退職金支給の条件とする
ことはできるでしょうか?
この辺は
かなりケースによって微妙な
部分がありますが
まずその社員に「競業避止義務」が
あることを早い段階から
認識させることが必要です。
具体的には
雇用契約書や就業規則で
きちんと「競業避止義務」
に関する規定があり
それがその社員に明示されているか?
できれば
その社員の入社時にも同様の
「競業避止義務」の誓約書を
書いてもらう方がよいでしょう。
入社時から在職期間を通じて
その社員に対して「競業避止義務」が
明示されていれば
退職時に「競業避止義務」の
誓約書を書くことを
退職金支給の条件とすることも
許されるのではないかと考えます。
こういうケースでよくありがちなのが
就業規則や雇用契約書で
「競業避止義務」についての
規定は存在せず
退職時にいきなり「競業避止義務」の
「誓約書」を書かせようとするケースです。
すなわち
社員が「競業避止義務」の存在や
具体的内容を知らず
退職間際になって初めて
知らされるようなケースです。
このような場合には
「誓約書」を書くこと
という退職金支給の条件は無効
と考えられますので
退職金支給を「条件付き」
とすることは許されないことになります。
また
「競業避止義務」の具体的内容は
事前に明らかになっている必要があります。
明らかに以前のものより
加重された「競業避止義務」の
誓約書を退職時に突然書かせる
などというのNGですので
注意が必要です。
中小零細企業にとって
社員の退職は大きな痛手です。
しかもそれが
同業他社への転職となれば
社長もなかなか心穏やかでは
いられないでしょう。
同業他社への転職に一定の
範囲で制限をかける方法が
「競業避止義務」を定める
というものです。
しかし
この「競業避止義務」にも
それなりに厳しい要件がありますので
注意が必要ですね。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。