たかが契約書
されど契約書。
契約書のチェックを怠ったために
会社が倒産してしまうという
怖〜い話です。
(今日の「棒人間」 契約書で会社が倒産??)
<毎日更新1184日目>
経営者の皆さん
取引先との間で
きちんと契約書を作っていますか?
あるいは
契約を結ぶ際に
契約書の中身をきちんと
チェックしていますか?
と言って
契約書を作っていなかったり
という場合もあるかも知れません。
しかし
契約書というものは
時に会社の命運を
左右することもあるのです。
システム開発を行うA社は
大手企業であるX社のWEBサイト
における商品受注システムの設計
保守の仕事を請け負うことになりました。
A社にとってみれば
これだけ大きな案件は
初めての経験でした。
契約書(業務委託契約書)は
X社の方で作成し
一応A社にその確認が求められました。
A社の社長は
その契約書を眺めてみましたが
特に問題はなさそうに見えました。
まぁ
大手企業であるX社が
持ってきた契約書なので
特に問題はなかろうということで
A社は契約書に調印しました。
その後
A社が設計したシステムの
セキュリティに不備があったため
このシステムを利用したX社の顧客の
クレジットカード情報が漏えいしてしまう
という事故が発生しました。
X社の顧客の個人情報の流出は
他にも多数発生したため
その対応などでX社には
多額の損害が発生しました。
そこで
システム設計に不備があったということで
A社はX社から
債務不履行ということで多額の
損害賠償請求を受けました。
結局、A社は
この賠償金を支払うことができず
倒産してしまいました。
実は
X社から多額の賠償請求を受けたとき
A社の社長は慌てて弁護士に相談に行きました。
X社とA社が締結した
上記の業務委託契約書を見た弁護士は
と一言。
どういうことかというと
このような場合
システム開発を行う側の
リスクヘッジとして
損害賠償額を一定額に制限する
契約書の定めをするのが一般的です。
そうでないと
システム開発を行う側としては
万が一不備があったときに
損害が大きく拡大してしまう
リスクがあるからです。
例えば
というような定めです。
ところが
今回の契約書には
このような賠償の上限額の
定めがありませんでした。
それゆえ
賠償額が非常に大きくなってしまい
結局A社は倒産することに
なってしまったのです。
A社の最大のミスは
取引を開始するにあたり
X社が用意した契約書を信用して
そのままサインしてしまったということ。
実は
大手企業が作る契約書だから安心
などという保証はどこにもありません。
なぜなら
大手企業にはきちんと顧問弁護士がいて
自社に有利な内容の契約書を
作り込んでいるからです。
上記の
賠償額に上限を設けるというのは
あくまでシステム開発を
受注する側に有利な内容なので
X社としては
あえて契約書に入れる必要はない
との判断です。
ですから
A社としても
X社から契約書を見せられた段階で
その契約書をきちんと
弁護士にチェックを依頼し
自社にとってリスクはないかどうか
確認しておくべきだったと言えます。
もしその段階で弁護士に
契約書チェックを依頼していれば
上記の賠償額の上限を設ける
規定がないことの指摘を
受けることができたでしょう。
その上で
X社に対して
賠償額の上限を設けるように
契約書を修正してもらう
という交渉ができることになります。
交渉の結果
X社からそれを拒否された場合には
「危ない橋は渡らない」ということで
そもそもX社とは契約しないというのも
立派な経営判断だと思います。
いずれにしても
契約の段階で
契約書をきちんと確認して
自社にとっての取引上のリスクを
きちんと確認しておく
ということは非常に重要です。
このように
たかが契約書
されど契約書。
滅多にないこととはいえ
契約書のチェックを怠ったことで
会社倒産という重大な結果に
陥ることがありますので
注意が必要です。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。