他社から出資を受けることは
大変ありがたい。
しかし
それはヘタをすると社長自身の
会社支配権が危うくなり
会社を乗っ取られる
危険もあります。
そうならないために
「属人的株式」という
手法があります。
(今日の「棒人間」 3人で多数決??)
<毎日更新1358日目>
A社長は
もともと脱サラをして
奥さんと一緒に資金を出し合って
資本金200万円で
株式会社を設立しました。
株式は
1株5万円で40株発行し
A社長が30株
奥さんが10株を
保有していました。
A社長の会社の事業の業績は
順調に伸びていきました。
そんなタイミングで
A社長がもともと
勤めていた会社(C社)から
A社長の会社に500万円を出資しよう
という話がありました。
A社長にとって
元勤務先会社からのこのような提案は
大変にありがたいのですが
1つ悩みがあります。
C社から出資を受けるとすると
新たに500万円分の株式100株
(1株5万円として)を発行
しなければなりません。
そうすると
C社は100株を取得し
一気にA社長の会社の大株主
となってしまいます。
A社長らは
奥さんと合わせても持ち株は
上記のとおり40株ですから
100株を持つC社がいわば
支配株主となってしまうわけです。
そうなると
ヘタをすると
将来せっかく作った会社を
C社に乗っ取られてしまう
危険性があります。
A社長としては
なんとかC社から出資は受けたいものの
やはり自分の会社に対する支配権は維持したい。
どうにかならないか?
悩ましいところです。
この場合の1つの方法として
「属人的株式」の定めを定款に置く
というものがあります。
これは何かということですが
基本原則は
会社の基本的事項に
関する意思決定権は
株主総会の決議で決まります。
そして
株主総会における
各株主の議決権は
持ち株に応じて
1株1議決権
というのが原則です。
会社法では
株主平等原則という考え方がありまして
会社は
株主について
その持ち株に応じて平等に
取り扱わなければならない
とされています。
ただし
これには例外があり
公開会社でない株式会社
(中小企業はほぼこれにあたるでしょう)は
株主総会の議決権などに関して
株主ごとに異なる取り扱いを
することもできる
と定められています。
そこで
たとえば
株主総会における議決権を
1株1議決権という上記の原則を修正し
株主1人につきそれぞれ議決権は1個
とすることも可能です。
これを
専門的には「属人的株式」
と言います。
この方法によれば
C社に500万円を出資してもらい
株主になってもらったとしても
株主は
A社長と奥さん
そしてC社の3人になります。
そこで
上記の属人的株式を用いれば
C社の出資比率に関係なく
A社長と奥さんで
会社の株式の3分の2を
押さえることができる
というわけです。
ただし
この「属人的株式」のシステムを
導入するためには
会社の定款を変更し
定款にその旨を
定めなければなりません。
株主数が多い会社になると
この定款変更が容易では
なくなります。
なぜなら
この定款変更を行うためには
総株主の半数以上であって
総株主の議決権の4分の3以上
にあたる多数が必要となるからです。
ただ
上記のA社長の例では
C社が入る前は
株主はA社長と奥さんだけですので
問題なく定款変更をクリア
することができるでしょう。
すなわち
あらかじめ「属人的株式」を
導入する定款変更を行なっておき
その後にC社から出資を受けて
C社に株主になってもらえば
将来C社に会社を乗っ取られる
心配はなくなる
というわけです。
そんなわけで
他社から出資を受けることは
ありがたいですが
そのために社長が会社支配権を失い
乗っ取られてしまっては本末転倒です。
ですから
他社から出資を受ける際には
自社の組織構成(株主構成と支配関係)を
きちんと考慮に入れる必要がありますね。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
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中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。