
火災保険は火事になったときしか使えない
という誤解があります。
しかし
実は火災保険は結構幅広く生じ得る
日常の被害をカバーしています。
一度
加入している火災保険の「約款」を
見てみることをお勧めします。
(今日の「棒人間」 使えるのは火事だけじゃない??)
<毎日更新1504日目>
建設会社を経営しているA社長。
ある日
A社長の会社の建物に
その前の公道を走っていた自動車が衝突する
という事故が発生しました。
幸い
休日だったため
会社の建物には人がおらず
会社側の怪我人はいませんでした。
車の運転者も軽傷で済んだようですが
会社の建物には大きな被害が。
建物の修理工事だけで
数百万円かかりそうです。
そこで
A社長はこの自動車の運転者に連絡を取ります。
通常
こうした場合は一種の交通事故ですから
加害者である運転者の保険会社が
被害者であるA社長の会社との
示談の代行を行うことが多い。
そして
最終的には保険会社からA社長の会社に
賠償金が支払われるわけです。
ところが
なんとこの運転者
自動車の任意保険に入っていなかった。
そんな場合でも
自動車には「自賠責保険」という法律で
加入が義務づけられている保険があります。
しかしながら
この自賠責保険は
交通事故によって人が怪我をしたなどの
「人身損害」にしか使えないのです。
今回のA社長の会社の被害は
建物が壊されたという「物的損害」。
これを物損事故と言いますが
自賠責保険は物損事故には使えないのです。
さてさて
困ったのはA社長。
もちろん
保険に入っていなくても
A社長としては
加害者である運転者に損害賠償を
請求することは可能です。
しかし
この運転者
まだ若くてとても数百万円の
賠償金を支払うことができません。
こんなとき
A社長としてはどうしたら
良いのでしょうか?
こんなとき
チェックすべきなのは
被害に遭ったA社長の会社の建物に
付けられている火災保険。
火災保険といえば
建物が火事で焼けるなど被害に
遭ったときにしか使えない保険
というイメージがあります。
しかし
この火災保険
実はよく調べてみると
火災だけではなく
実にいろいろな損害をカバーしているのです。
直接の火事の被害しか
カバーしない火災保険のことを
「ストレートファイヤー」というそうですが
今はこうした保険は稀で
もっといろいろな損害をカバーする
火災総合保険が主流となっています。
この火災総合保険では
火災の被害だけではなく
落雷や爆発などのほか
台風などの自然災害まで
カバーされるものがあります。
それだけではなく
といった損害もカバーされます。
したがって
加害者の自動車保険が使えなかったとしても
この火災保険によってA社長の
会社の建物被害がカバーされる
という結論になります。
このように
実はあまり知られていないのですが
火災保険というのは意外に日常生活の
かなりの範囲をカバーしていることがあります。
具体的には
契約している火災保険の「約款」
というものに細かく書いてあります。
多くの人は
契約している火災保険の
「約款」など読まないと思います。
しかし
一度目を通してみると
意外な損害をカバーしていて
おもしろいです。
たとえば
火災や自然災害だけではなく
自宅が盗難被害に遭った場合
給排水設備事故の水漏れ
車両や航空機の衝突
建物外部からの物体の衝突などなど。
それから
保険商品によっては
自転車事故の賠償責任保険が
ついているものもあります。
自転車は
まだまだ無保険で乗っている人は多く
事故が起きると結構大変だったのですが
場合によってはこの火災保険で
カバーできるものがあります。
あと
私が見たのでおもしろかったのは
火災保険にストーカー保険がついていて
ストーカー被害にあった場合の賠償
などもカバーしているものがありました。
こんな風に
あまり知られてはいませんが
結構幅広い損害をカバーしている
ことがあります。
面倒ではありますが
一度火災保険の「約款」をチェック
してみることをお勧めします。
それでは、また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
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中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。