
ある程度その業界で名の通った
会社の名前と類似した社名をつけたい。
ところがそれは
不正競争防止法の「不正競争」に
当たる可能性があります。
安易に他社のに類似した社名を使うのは
リスクがあると言わざるを得ません。
(今日の「棒人間」 似てる?似てない?)
<毎日更新1505日目>
Aさんは
学生時代のBさんと一緒に企業。
「マルエ株式会社」という会社を設立
会社の業績は順調に伸びていきました。
ところが
途中でAさんはBさんと
経営方針をめぐり対立。
Aさんが会社を出て独立起業する形で
共同経営者Bさんと袂を
わかつことになったのです。
しかし
Aさんは
この「マルエ株式会社」という
会社名に非常に愛着を持っていた。
なにしろ
この会社名を考えたのはAさんだし
Aさんが自分の営業努力で
この会社の業績を伸ばしてきた
という自負があります。
そこで
Aさんは
独立起業するにあたり
なんとかこの会社名を
利用できないかと考えます。
さすがに同じ会社名にするのは憚られたので
「株式会社マルエ興行」という
会社名にして独立しました。
それに対して
怒ったのは「マルエ株式会社」
に残ったBさん。
Bさんとしては
訴訟も辞さない構えのようです。
Aさんは
もともとビジネスパートナーと
一緒にやっていた「マルエ株式会社」を出て
新たに「株式会社マルエ興行」を設立
起業しました。
法律的には
これは何が問題となるのでしょうか?
実は
不正競争防止法という法律があり
一定の類型の行為を「不正競争」
として禁止しているのです。
その「不正競争」の1つとして
他社の商号(会社名)など、需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商号(会社名)などを使用することにより、他人の営業と混同を生じさせる行為
を禁止しています。
まず
他社の会社名
すなわち上記の例で言えば
「マルエ株式会社」が
「需要者の間に広く認識されているもの」
と言えるかどうかです。
この点
社名が全国的に広く
知られていなければならない
ということではなく
一地方や特定の業界で広く認識
されていれば足りるとされています。
そして、次に
「マルエ株式会社」と
Aさんが新たに設立した
「株式会社マルエ興行」が類似の
商号(会社名)と言えるかどうかです。
この点
「類似」かどうかの判断基準として
裁判例では
取引の実情のもとにおいて、取引者または需要者が、両表示の外観、呼称または観念に基づく印象、記憶、連想等から両者を全体的に類似のものと受け取る恐れがあるか否か
を基準に判断すべきとされています。
ちょっとこの基準では
抽象的すぎてよくわかりませんね。
こんなときのために
チャットGPTにこれを小学生でも
わかるように説明して
とお願いしました。
そうすると
ある会社名について、
「ふつうの人が取引をするにあたり、それを見たり聞いたりしたときに、前に見たことがある別のものと、まちがえてしまいそうかどうか」
ということを考えます。
たとえば、
見た目(デザイン)がにている
よび方(名前)がにている
その名前から思い出すイメージ(たとえば、「さくら」と聞いて春の花を思い出す)がにている
こうしたことで、「あれ?これ、前に見たあの会社と同じかな?」とまちがえて取引をしてしまうかもしれない、という心配があるかどうかを判断する、という意味です。
ということになるのだそうです。
具体的な例で考えますと
裁判例で「類似」の商号(会社名)と
判断されたものとしては
・「株式会社河原コンクリート工業所 」と「有限会社カワコン」
・「日本ゼオン株式会社」と「株式会社アーゼオン
・「万屋食品株式会社」と「株式会社万屋薬」
・「ゲラン・ソシエテ・アノニム」と「株式会社ゲラン」
などがあります。
これらに照らすと
微妙なところはありますが
やはり上記の「マルエ株式会社」と
「株式会社マルエ興行」は
中核となる「マルエ」という
用語が共通しており
類似の商号(会社名)と判断される
可能性が高いでしょね。
ちなみに
この不正競争防止法に違反すると
民事上、その商号(会社名)の使用の
差し止め請求や損害賠償請求の裁
判を起こされるおそれがあります。
それだけではなく
不正競争防止法には刑事罰も
規定されています。
すなわち
不正の目的をもって他社と類似の
商号(会社名)を使用した場合には
という罰則も定められています。
このように
安易に他社と類似した
商号(会社名)を使用すると
その会社から訴えられて
「裁判沙汰」になったり
最悪は刑事事件として立件される
おそれも出てきます。
そんなわけで
やはり会社名として
それなりにその業界で名の知れた
会社名に類似した社名をつけることは
法的に見ると大きなリスクが
あると言わざるを得ません。
自社の社名を考える際には
その辺の注意も必要ですね。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。