
社員が気軽な気持ちで会社の秘密情報を漏らしてしまい
大ごとになるケースがあります。
こうした社員による情報漏洩トラブルを予防するためには
どうしたら良いのでしょうか?
(今日の「棒人間」 ここだけの話??)
<毎日更新1612日目>
ここだけの話、あなたに転勤の内示が出てますよ。
ええ! 本当ですか!
高松高等裁判所で
男性の事務官が
裁判所職員1人の人事に関する情報を
本人に知らせる予定ではない内容にもかかわらず
その職員に漏らしてしまった
という報道がありました。
報道によれば
この裁判所の人事の情報は
本来この男性事務官がアクセスできない
システムになっていたそうです。
しかし
この男性事務官は何らかの方法で
閲覧していたとのこと。
この男性事務官は
戒告の懲戒処分を受けたそうです。
男性事務官は
情報の漏洩を認め
深く反省しているということです。
おそらく想像ですが
これほど大事になるとは思わず
軽い気持ちで情報を漏らして
しまったんでしょうね。
実は
民間企業でも
こうした社員による秘密情報の漏洩が
問題となることがあります。
社員が会社の秘密情報を投影した場合に
まず不正競争防止法違反が問題となります。
すなわちそれが「営業秘密」に該当する場合には
社員の行為は不正競争防止法違反となります。
不正競争防止法については
以前ブログに書きましたので
この記事を参考にしてください。
その場合
会社はその社員に対して
漏洩した情報の使用停止等の差し止め請求
また損害賠償の請求ができるとされています。
さらに
社員が不正の利益を図る目的や
会社に損害を与える目的で
「営業秘密」を運営した場合には
刑事罰の対象にもなります。
具体的には
という重い罰則が定められています。
また
不正競争防止法上の「営業秘密」
といえない場合でも
社員は
雇用契約に付随する信義則上の義務として
会社の秘密を守る義務を負うとされています。
ですから
もし社員による企業秘密の
漏洩等があった場合には
雇用契約の債務不履行として
損害賠償請求をすることが考えられます。
さらに
会社は
企業秘密を漏洩した社員に対して
就業規則に基づいて懲戒処分を
行うことが考えられます。
具体的な懲戒処分の種類としては
戒告、減給、出勤停止、諭旨解雇
懲戒解雇などがあります。
実際に懲戒処分を行う際には
その社員が漏洩した情報の重要性や
防衛の動機、目的、会社の管理体制
会社が受けた損害の程度などを考慮し
処分が多すぎないかを慎重に
判断する必要があります。
冒頭の事例でもそうですが
意外にこうした情報の漏洩は
社員が軽い気持ちで行っている
ということも少なくありません。
しかし
軽い気持ちで行ったことでも
企業秘密の漏洩は
上記のように大事になってしまう
ことも少なくありません。
そこで
こうした企業秘密の漏洩トラブルを防止するために
社員にこの問題を周知徹底することが重要です。
具体的には、まず
就業規則を整備し
その中で秘密を守る義務を明記します。
そして
違反した場合の懲戒事由と懲戒処分の
基準を明確に定める必要があります。
また
社員の入社時に
秘密保持誓約書を書いて
もらうことも有効です。
これは
単に誓約させるというだけではなく
その社員に秘密を守る義務があることを
自覚させると言う効果もあります。
さらに
定期的に社員研修を行い
秘密を守ることの重要性
具体的な社内ルールの内容
情報漏洩をしたときのリスク等について
学ぶ機会を与えることが重要だと考えます。
私も先月
ある企業から依頼を受けて
社員研修の講師をしてきました。
その時も
軽い気持ちで企業秘密を漏洩してしまう
ことのリスクについてお話ししてきました。
インターネットの発達によって
企業の秘密情報の漏洩のリスクは
非常に高まっています。
気持ちで情報を漏洩してしまい
重大な結果を招くことのないように
自覚を持ってもらいたいものですね。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。