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渋谷の弁護士吉田悌一郎

「取締役」にも残業代が発生??「名ばかり取締役」の落とし穴

会社法関係

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残業代を払いたくない

必要がなくなればいつでも

辞めてもらいたい。

 

 

そんな理由で

社員を「取締役」に就任させる

「名ばかり取締役」が問題となっています。

 

 

結論的には

 

 

こうした脱法的な行為は法律上

許されませんので

注意が必要です。

 

 

(今日の「棒人間」 取締役なのに何故か縛られる??)

 

<毎日更新1620日目>

「取締役」が残業代請求??

都内で会社を経営する

A社長より緊急のご相談が。

 

先日、うちの会社を退任した元取締役がいるんですが、その者からうち宛に内容証明郵便が届きまして・・・。

元取締役の方から内容証明ですか。いったいどうされたんですか?

その内容がなんと、未払いの残業代を3年分払えって言うんですよ。

未払い残業代ですか〜。

そうなんです。でも、おかしいじゃありませんか?彼は「取締役」で会社の役員ですよ。一般の社員じゃあるまいし、残業代なんてあるんですか?

A社長、実は、その方の働き方の実態によっては、「取締役」ではなく、社員とみなされて、残業代の支払いが必要となる場合もあり得ます。

そんな・・・、いったいどういうことですか?

形式的に「取締役」とされていても、たとえば、一般の社員と変わらないような働き方をしているケースでは、社員だと判断されてしまう場合があるんです。

「取締役」なのに、社員と判断されるんですか?

そうなんです。実は、労働法が適用される社員に当たるかどうかは、形式的な契約や肩書きで決まるのではありません。あくまで働き方の実態を見て判断される、ということなんです。

そ、そうだったんですか・・・。「取締役」なんで、残業代は払わなくて良いと思って安心していたんですが・・・。

 

 

 

 

「取締役」と「社員」の違い

 

会社の「取締役」というのは

会社との間で委任契約を結び

 

 

会社の所有者である株主から

経営を任されている立場にあります。

 

 

広い意味では「経営者」

と言っても良いでしょう。

 

 

「委任契約」というのは

会社(株主)から経営を

任されているわけですが

 

 

比較的自由な裁量があり

会社から細かい勤怠管理を

受けることは基本的にありません。

 

 

他方で

一般の社員(従業員)は

会社との間で雇用契約を結び

 

 

会社に労務を提供する代わりに

その対価として賃金をもらう

という関係になります。

 

 

社員は

取締役のような自由な裁量を

持つ立場ではなく

 

 

ある意味雇い主である会社に

従属した立場で

 

 

会社から具体的な業務上の

指揮命令を受けて働きます。

 

 

当然

会社から勤怠管理を受ける

ことになりますので

 

 

勤務時間や勤務場所

業務の内容や方法などについて

 

 

会社の指示やルールに従う

必要があります。

 

 

このように

会社に従属した立場にある社員ですが

 

 

その分労働基準法という

法律によって守られています。

 

 

すなわち

1日の労働時間が法律で

決められており

 

 

 

それを超える場合には

法律が要求する割増賃金

(残業代)を支払う必要が出てきます。

 

 

また

会社が社員を辞めさせたいと思っても

 

 

労働契約法という法律で厳しく

解雇が制限されていますので

簡単に解雇はできません。

 

 

他方で、取締役は

原則として労働基準法の

適用がありませんので

 

 

そもそも「労働時間」という概念がなく

残業代も請求できません。

 

 

また、

取締役は

会社の株主総会によって選任され

 

 

同じく

 

 

株主総会でいつでも

解任することができる、

とされています。

 

 

ただ

取締役にとって不利な時期に

解任した場合には

 

 

損害を賠償する義務が

会社に課せられます。

 

 

とは言え

従業員のように厳しい解雇の

制限があるわけではありません。

 

 

以上の取締役と社員との

違いを表にまとめると

以下のようになります。

 

取締役 社員(従業員)
会社との間の契約 委任契約 雇用契約
雇用保険、労災保険 適用なし 適用あり
残業代請求の可否 請求不可 請求可
解雇(解任)の規制 緩い 厳しい

 

 

 

 

 

 

いわゆる「名ばかり取締役」問題

 

さて

最近では

 

 

社員に適用される労働法の規制

(残業や解雇)を免れるために

 

 

あえて社員を「取締役」に就任させるという

「名ばかり取締役」が問題となっています。

 

 

「名ばかり取締役」は

形式上は会社との間で「委任契約」を結んで、

「取締役」として登記をされながら

 

 

実態は従業員と変わらない

働き方をしているケースが

大半です。

 

 

すなわち

たとえば

 

 

「取締役」でありながら

経営に関する決定権限はほとんどなく

 

 

逆に出勤時間や勤務時間の勤怠管理や

業務命令を受けているような場合です。

 

 

しかしながら

このような

「名ばかり取締役」のケースは

 

 

実態として「雇用契約」が

成立していると判断される

可能性があります。

 

 

すなわち

契約というものは

 

 

原則として形式的な「契約書」の形が

どうなっているのか

決められるものではありません。

 

 

契約書の名前が

どうなっていようが

 

 

あくまでその実態を

見て判断される部分が

あります。

 

 

もしその「取締役」と

トラブルが起こり

 

 

その「取締役」との契約が

実は雇用契約であって

 

 

社員であると判断

されたらどうなるか?

 

 

この場合

会社は

 

 未払い残業代請求の裁判

 

 不当解雇の裁判

などを起こされる

リスクがあります。

 

 

こうしたトラブルや

「裁判沙汰」を避けるためには

 

 

くれぐれも「名ばかり取締役」などに

就任させることのないようにすべきです。

 

 

雇用契約にまつわる

いろいろな規制を

脱法するために

 

 

形だけ「取締役」に就任

させるなどという甘いことは、

法律の世界では通用しません。

 

 

この点は

気をつけておきたいものですね。

 

 

それでは

また。

 

 

 

 

 

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午前中はかかりつけの内科医へ。その後は息子の小学校の学校公開に参加。国語の授業を見学しました。
その後は事務所へにて仕事。遠方のお客様とのオンラインでの尋問の打ち合わせが1件、リアルでのお客様との面談が1件、担当している案件の裁判関係書面の作成などでした。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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