アメリカは「訴訟社会」
日本は「裁判沙汰を嫌う社会」。
同じ法治国家でありながら
「裁判」に対する向き合い方は
日米で驚くほど異なります。
なぜ日本人は
できるだけ裁判を避けようと
するのでしょうか。

<毎日更新1698日目>
アメリカでは
日本の14倍の数の弁護士がいると聞くと
驚かれるでしょうか?
アメリカの人口は日本の3倍くらいですが
弁護士は桁違いに多いのがわかります。
まさに「訴訟社会」のアメリカ。
言葉は悪いですが
「裁判」というものが
それだけのビジネスとしての市場規模を
持っているということでもあります。
それに比べて
日本はどうでしょうか?
私の学生の頃は
日本人というのは
欧米に比べて法意識が低い。
封建時代が長かった影響か
庶民はお上意識が強く
欧米人に比べて権利意識が低いと
学者が批判していたのを覚えています。
30年前の日本はまだ
欧米の背中を追いかけて
欧米人の意識は進んでいて
日本人の意識は遅れているという
観念が残っていたように思います。
だから
日本も司法制度を改革し
事後規制社会を作り
弁護士をはじめとした
法曹人口も増やそう。
その結果
この20年で弁護士の数は倍以上に増えました
(それでも
アメリカに比べれば微々たるものですが)。
そして
日本もアメリカのような「訴訟社会」に
近づいたかと言えば
そうはなっていません。
確かに
この30年で日本人の権利意識は
かなり進んだと思います。
しかし
実際の裁判
訴訟の件数は全然増えていないんですね。
これは
私たち日本人の「裁判」
というものに対する捉え方が
アメリカとは全く異なっている
ことがあります。
アメリカはご承知のとおり
多民族国家であり
とにかく多様性社会。
だから
「権利」や「法律」といった共通のルール
というものがとても重要になってきます。
もしトラブルが起きれば
きっちり「法」にしたがって
白黒をつける。
曖昧にしないで「裁判」で徹底的に
争って自分の権利を主張する
文化があります。
ところが
日本では「裁判沙汰」という言葉があるように
一般の人はあまり好き好んで「裁判」を
利用しようとはしません。
万が一訴訟など起こされたら
「訴えられました!」と言って
青い顔をして私たちの前にいらっしゃいます。
もちろん
日本においても法律はとても重要です。
中にはきちんと「裁判」で白黒はっきり
させた方が良いケースもあります。
しかし
日本人には古来から
「和をもって尊しとなす」という
文化があります。
だから
トラブルが起こってもおいそれと
「裁判」は起こしません。
なるべく話し合いで穏便に
解決しようとします。
万が一「裁判」になっても
判決まで行かずに途中で「和解」で
終わるケースも少なくありません。
こうした日米の「裁判」というものの
捉え方の違いをどう見るべきか?
確かに
アメリカのように積極的に
自分の権利を主張し
裁判で法にしたがってきちんと
白黒はっきりさせることも
大切ではあります。
しかし
アメリカでは
たとえば
交通事故で停車している車に
後ろから追突したとしても
追突した方は決して
謝らないと言います。
自分が悪いかどうかは「裁判」で
争ってみないとわからない。
むしろ
停車させている車の位置が悪い
それが原因だとか加害者が
主張したりするそうです。
事故を起こしても
簡単には謝らない文化がある。
ここまで行くと
ちょっとどうかと思いますよね。
あと
日本人は
欧米人と比べて人と争うということに
慣れていません。
だから
「裁判」などで長期間人と争っていると
ものすごいストレスを受けるのです。
こうなると
「裁判」をとてもクールに捉えている
アメリカ人とは異なり
「裁判」手続きには負の
オーラが漂うことになります。
日本においては
「裁判沙汰」は大きなコストと
捉えられることが多い。
やらずに済むならやらない方が良い
ということになってきます。
私が弁護士でありながら

というミッションを掲げているのは
日本社会のこうした現実を
見ているからに他なりません。
日本の企業は
まさに
「裁判沙汰」にコストをかけるよりも
「裁判沙汰」の予防にこそコストを
かけたほうが良い。
あらゆる面でリソースが限られた
中小企業ならば尚更です。
私も
もしアメリカの弁護士だったら
と言われてしまうでしょうね。
日本の弁護士でよかった
とつくづく思います(笑)
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。