社員が会社を辞めるとき
パソコンや社員証を返してもらえば
それで安心でしょうか?
実は
退職時こそ「営業秘密」が外部に
持ち出されるリスクに注意が必要です。
今回は
旭化成の元社員による情報漏洩事件から
会社がやっておくべき対策を考えます。

(今日の「棒人間」 秘密情報の持ち出しがバレた??)
<毎日更新1963日目>
会社にとって大切な「企業秘密」
これを社員が退職するときに持ち出され
他の企業に渡ってしまったら・・・。
旭化成の元社員が
半導体製造などに使われる接着剤に関する
秘密情報を中国企業に漏えいしたとして
不正競争防止法違反の疑いで
逮捕されたとの報道がありました。
半導体関連情報を中国企業に漏洩か 愛知県警、旭化成元社員を逮捕
報道によれば
この元社員は同社の在職中
電子材料関連の工場長や開発責任者
などを務めていた人物とのことです。
この社員は
2018年に退職していますが
在職中に入手した「潜在性硬化剤」に
関する機密情報を不正に持ち出し
退職後に中国企業に流出させた
疑いが持たれています。
ちなみに
この「潜在性硬化剤」というのは
簡単に言えば
加熱するとスイッチが入ったように反応し
接着剤を硬く固める材料のことで
半導体や自動車部品などの製造などに
使われているそうです。
で
話を戻しますが
この事件は現在まだ捜査中であり
この元社員が実際にどのような
行為をしたのかについては
今後の操作や裁判を待つ必要があります。
ただ
この事件は決して大企業だけの
話ではありません。
というのは
中小企業においても
当然外部に漏れたら困る
情報はたくさんあります。
たとえば
顧客名簿
仕入れ先の情報
商品の原価、見積価格、設計図
製造ノウハウ、営業マニュアルなどなど。
こういった会社の重要な情報は
不正競争防止法上の「営業秘密」
として保護される場合があります。
ただし
会社が勝手に「これは営業秘密だ!」と
言えばよいというわけではありません。
不正競争防止法上
「営業秘密」として保護されるためには
① 秘密として管理されていること(秘密管理性)
② 事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であること(有用性)
③ 公然と知られていないものであること(非公知性)
の3つの要件を満たす必要があります。
この中でも
中小企業が特に注意したいのが
①の「秘密管理性」の要件です。
たとえば
社員なら誰でもアクセスできる
共有フォルダに重要な顧客情報が入っている。
「社外秘」などの表示もなく
コピーや持ち出しについて
特にルールもない。
こういう状態では
「会社として秘密にしている情報」
だということが
社員から見ても
明確ではありません。
ですから
この「① 秘密管理性」を満たすためには
たとえば
その情報にきちんとパスワード
がかけられていて
特定の社員にのみアクセスの権限を付与する。
あるいは
紙のファイルなどであれば
「社外秘」などの表示をして
やはり特定の社員のみしか閲覧できない
ような状態にしておくなどの対策が
必要でしょう。

そして
今回の事件から学んでおきたいのは
社員が会社を退職する際の
情報管理についてです。
今回の事件を受け
旭化成も再発防止策として
機密情報へのアクセス権限の見直しに加え
退職予定者について
誓約書や貸与PCの管理などを
厳格化するとしています。
中小企業でも
社員が退職するときには
少なくとも次のようなことは
チェックしておくべきでしょう。
どうでしょう?
一つ一つのことはそれほど手間暇が
かかるものではないと思いますが
意外に忘れていたり
おざなりになっていることも
少なくないのではないでしょうか?
面倒でも
こういったことをマメに行っておくことが
将来「営業秘密」をめぐるトラブルや
「裁判沙汰」を予防する大きなポイントに
なってくるものです。
さらに
社員との間で
実は社員には退職後も一定の
秘密保持義務があることを確認する。
そして
必要に応じて
退職時に秘密保持に関する誓約書を提出
してもらうことも検討すべきでしょう。
一度重要な技術情報や顧客情報が
外部に流出してしまうと
後から損害賠償を請求したとしても
その情報を完全に回収することは
簡単ではありません。
コトが起こる前の段階で
しっかりと対策を立てて
おきたいものですね。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。