社員が自社の大事な
顧客を奪って独立、
というトラブルはよく
見聞きする話です。
こうしたトラブルを
予防するためには、
あらかじめ社員の
「競業避止義務」を
きちんと定めておく
ことが有効です。
(今日の「棒人間」 社員が会社の顧客を奪って独立??)
<毎日更新849日目>
あの野郎!
うちの会社の顧客を奪って独立しやがって。
訴えてやる!!
A建設会社の社員のBが、
会社を辞めて
独立起業しました。
Bは、
A社での経験と人脈を活かし、
同じく建設会社を設立し、
A社と競合する仕事を
していました。
Bは、
A社にいた頃、
営業を担当していて、
A社の顧客とも顔馴染みに
なっていました。
Bは、
A社を退職するにあたり、
A社の顧客に対して
挨拶回りをしました。
その際、
Bは、
A社の顧客に対して
いやぁ、今度A社を退職して独立起業することになったんです。
今後は私のところと取引してもらえませんかね〜
と言って、
自分の独立後に仕事の受注を
希望する旨を伝えて回った、
ということです。
その後、
A社の顧客の一部は、
A社との取引をやめて、
独立起業したBと
取引を始めました。
そこで、
A社の社長は怒り浸透。
Bを相手に裁判を起こし、
損害賠償を請求しました。
これに対して、
最高裁判所の判断があります。
最高裁は、
結論的には、
Bの行為は、
社会通念上自由競争の範囲を
逸脱した違法なものとはいえず、
不法行為にはあたらないと判断して、
A社の損害賠償の請求を
退けました。
最高裁がこの件で
このように判断した
要素としては、
などが考慮された
ようです。
今回、
A社の損害賠償請求が
裁判所によって退けられた
1つの要素として、
A社は社員の「競業避止義務」の
定めをしていなかった、
という問題があります。
「競業避止義務」というのは,
自社の業務と競業する
会社に転職したり,
競業する企業を新たに
設立したりしてはならない
義務のことです。
「競業避止義務」が
定められた場合には,
社員は,
その会社を辞めても,
競業会社に転職したり,
競業する会社を設立したり
することができなくなります。
社員が競業避止義務に
違反した場合には,
会社は,
その競業行為の差し止めを
請求したり,
損害賠償を請求することが
できるとされています。
具体的には,
「就業規則」であらかじめ
社員の競業避止義務
を定めておく。
さらに、
個別に入社時に社員から
競業避止義務の
「誓約書」を書いてもらう
という方法がとられることが
多いです。
これにより,
社員が会社の取引先
を奪って独立することを
防止する対策に
なるわけです。
ですから、
上記のA社のケースでも、
A社がきちんとこうした
社員の競業避止義務を
定めておけば、
Bに対する損害賠償請求が
認められた可能性が
高いと考えます。
ただ、
この「競業避止義務」は,
なんでもかんでも
禁止できるものでは
ありません。
一応,
この社員にも
職業選択の自由
という憲法で保障された
権利があります。
ですから,
たとえば,
一生涯,
日本国内で競業する
ことを禁止することを
内容とするような
競業避止義務。
このようなものは、
たとえ就業規則や
誓約書に根拠があったとしても,
そのような定めは
公序良俗違反で無効と
なってしまいます。
つまり,
競業避止義務の定め
を置くとしても,
時間と場所には
制限を加える必要が
あります。
具体的には,
たとえば3年間,
会社の本店支店のある
市町村において
競業を禁止する,
といったような
定めにしておくことです。
今回のA社のケースでも、
社員の競業避止義務が
きちんと定められていれば、
そもそも社員Bとのトラブルや
「裁判沙汰」を防ぐことが
できた可能性が高いでしょう。
なぜなら、
A社の就業規則で社員の
競業避止義務があり、
さらに競業避止義務の
誓約書をBが書いて
いたとします。
そうであれば、
BもさすがにA社を
辞めてから、
A社と同業の起業をして、
A社の顧客と取引をするような
ことは差し控える可能性が
高いからです。
そう考えると、
やはり早い段階からA社に
法律の専門家が入って、
「競業避止義務」に関する
アドバイスができていれば、
そもそもこうした「裁判沙汰」を
防ぐことができたでしょう。
この点、
私のミッションは、
ということです。
そして、
そのための行動理念(パッション)は、
ということです。
この、
小規模企業が「裁判沙汰」を
避けるためには、
弁護士と「顧問契約」を結ぶ
という方法が効果的な
場合があります。
顧問弁護士がいれば、
こうした社員の「競業避止義務」
に関するアドバイスを
受けることができます。
会社の就業規則にそうした
法的に有効な「競業避止義務」が
きちんと盛り込まれているかどうか、
リーガルチェックを
してもらうことができます。
また、
社員に書いてもらう競業避止義務の
誓約書の内容なども
一緒に考えてもらえます。
社員が自社の取引先を
奪って独立起業する、
というトラブルは結構よく
見聞きする話です。
社員との間で
「裁判沙汰」になった挙句、
A社のように裁判で負けて
しまっては、
たまらないでしょう。
こうした「裁判沙汰」を
避けるためには、
常日頃からのトラブル予防の
対策が欠かせません。
そうした対策のために、
ぜひ顧問弁護士サービスを
ご活用いただければと思います。
それでは、
また。
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今日は、辞めたいのに辞められない「雇われ社長」をどう辞めるか、というテーマでお話ししています。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。