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渋谷の弁護士吉田悌一郎

【個人事業主に労災認定】Amazon配達員が「労働者」とされる場合とは?

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労働災害補償保険法によって

労災の補償がなされるのは、

あくまで「労働者」に対してです。

 

 

しかし、

場合によっては、

独立事業者やフリーランスが

「労働者」と認定される場合が

ありますので、

注意が必要です。

 

 

 

 

 

(今日の「棒人間」 Amazon配達員は「労働者」?)

 

<毎日更新885日目>

Amazon配達員に労災認定

 

Amazonの配達員の男性が、

神奈川県横須賀市内の配達を

担当していたところ、

昨年9月、

階段から落ちて腰を

骨折しました。

 

 

この男性について、

横須賀労働基準監督署(神奈川)

「労災認定」を行なった

との報道がありました。

 

 

労災というのは、

労働災害補償保険法

という法律に基く制度。

 

 

要するに、

会社の業務によって

怪我をしたり、

病気になったり、

亡くなったりした場合に、

保険金が支給される

という制度です。

 

 

Amazon配達員というのは、

いわゆる雇用契約を結んだ

「労働者」ではなく、

いわゆるフリーランスの

立場の独立事業者です。

 

 

ただ、

今回、

横須賀労基署は、

この男性が、

指揮命令を受けて働く

「労働者」に該当し、

補償を受ける権利が

あると判断しました。

 

 

 

独立事業者には原則として労災の適用はない

この点、

上記の労災保険法において、

労災認定の適用がなされる

対象となるのは、

「労働者」と明記

されています。

 

 

「労働者」というのは、

通常は会社と雇用契約を結び、

会社から「給料」をもらって

働く立場の人を言います。

 

 

もともと、

この労災制度の趣旨というのは、

会社の事業が原因で災害に

あった労働者を保護し、

労働者の福祉の増進を

はかるための制度です。

 

 

いわば、

「労働者」というのは、

事業主である会社に従属した

弱い立場にあるので、

会社の業務が原因で

負傷などした場合には、

国の税金できちんと補償しよう、

というものです。

 

 

ところが、

厳密に言えば、

Amazon配達員などの

「フリーランス」と

言われる人たちは、

会社と雇用契約を結んだ

労働者」ではありません。

 

 

一応独立事業者の立場で、

会社との間で請負契約や

業務委託契約を結んで

仕事をしているわけです。

 

 

形式論を言えば、

独立事業者であるフリーランスは、

会社に従属する立場ではなく、

自由な立場であるから、

労災補償の対象とする

必要はない、

ということになります。

 

 

ただ、

世の中の実態を見ると、

形式的には請負や業務委託

という契約形態がとられていても、

その働き方が会社に従属

していて自由がなく、

実質的には「労働者」と

変わらないというフリーランスも

少なくありません。

 

 

こういった人たちについて、

形式的に雇用契約ではない

という理由だけで、

労災の保護から排除して

しまって良いのか、

かねてから問題視されて

いました。

 

 

今回の横須賀労基署の判断は、

この点を一歩踏み込んだもので、

アマゾンの配達員が実質的に

「労働者」と扱われ、

労災認定されたのは初めて、

とのことです。

 

 

 

 

 

 

 

 

例外的に法律上「労働者」とされる判断基準

それでは、

法律上「労働者」と判断される

基準はいったい何なのか?

 

 

それは、

単に会社と「雇用契約」を

結んでいるか否かという

形式的な問題ではなく、

下記の要素を踏まえた実態で

判断されます。

 

 

まず、

大まかなイメージとしては、

働く人が、

会社などの使用者に対して「従属」しているか否か

というのがポイントです。

 

 

「従属」していれば、

「労働者」と判断されやすくなる、

ということです。

 

 

そして、

会社に「従属」しているかどうかは、

下記の具体的な要素で判断されます。

 

 

要素1)仕事の依頼を断る自由があるか

実態から見て、

使用者である会社から業務命令を

出される立場にあり、

それが断れない、

というのであれば、

それは会社に「従属」している

ということになります。

 

 

これに対して、

会社から仕事を頼まれても、

いつでも自由に断れる、

ということであれば、

「従属」しているとは

判断しにくくなるでしょう。

 

 

要素2)時間的・場所的拘束の有無やその強さ

働く場所、

時間がキッチリ決められていて、

裁量の余地がない、

ということであれば、

会社に「従属」していると

判断されやすいでしょう。

 

 

逆に、

その辺がある程度働く側に裁量が

あるような場合は、

「従属」しているとは

言いにくくなります。

 

 

たとえば、

頼まれた仕事が終わったら

早く帰れるとか、

空いた日に別の仕事を

入れることができる、

などですね。

 

 

要素3)業務に対する会社の具体的な指揮監督の有無

 

会社からの

細かい業務命令や指揮監督を

受けて働く、

ということであれば、

会社に「従属」していると

されるでしょう。

 

 

 

業務のやり方や手順などについても

細かい指揮監督を受けるとか、

使う道具や機材などもこと

細かく指定される、

などと言った場合は、

「従属」していると判断されやすく

なります。

 

 

今回のAmazonの配達員の場合も、

Amazonが提供するアプリから

配達ルートや荷物数など指示が

出ていたことが重視され、

「労働者」の認定につながった

ようですね。

 

 

要素4)報酬支払いの基準

仕事の対価として支払われるものが、

働いた日や時間を基準に

決められるような場合は、

会社に「従属」した立場と

とられやすいでしょう。

 

 

他方で、

あくまで出来高払いとか、

完成した仕事の対価として

支払われる場合は、

「従属」とはなりにくくなる

傾向があります。

 

 

 

要素5)その他の要素

その他にも、

下記のような要素があると、

会社に「従属」している

判断されやすくなります。

 

・仕事で使う器具や道具などが会社負担によって用意されている
・報酬の額が、一般の社員(雇用契約)と同一(手当や名称や額など)
・専属性がある(その会社の仕事しかしないような状態)
・就業規則や服務規律の適用がある
・給与所得として源泉徴収している
・報酬を「賃金」とか「給料」という用語で呼ぶ、「給与明細」が発行されている 

 

 

 

現在の中小零細企業の実務も、

外部のフリーランスに「外注」を

出す場面が増えています。

 

 

その際、

「外注」の形態ややり方によっては、

「労働者」と認定されてしまう

リスクがあります。

 

 

「労働者」と認定されると、

この労災の問題だけではなく、

実態が雇用契約だと認定されて、

会社に様々な責任が発生してきます。

 

 

残業代を支払わなければ

ならないかも知れないし、

解雇規制も適用されますので、

そう簡単に辞めてもらうことも

できなくなります。

 

 

このように、

会社にとっては、

「労働者」と認定されるリスクは

限りなく大きくなります。

 

 

ですから、

あくまで「労働者」かどうかは、

形式的に「雇用契約」を結んだか

どうかではなく、

その働き方の実態で判断される

ということは知っておかれた方が

良いでしょう。

 

 

それでは、

また。

 

 

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
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Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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