裁判で国側の代理人が秘密録音
をしていたとの疑惑が持たれています。
一般的に、相手方の同意を得ないで
会話を録音することは、法律的に
許されるのでしょうか?
今日はこの辺のことを深堀してみたいと
思います(^ ^)
<誰の顔かナイショ>
<毎日更新527日目>
先日、国を被告とした労働事件で、
国側の代理人が密かに録音をしていた、
ということで、ニュースになっています。
これは、弁論準備手続といって、いわば非公開で
当事者と裁判所が進行などについて協議を
行う場でした。
そもそも、裁判所の庁舎管理規程というもので、
裁判所の中で許可なく録音することは禁止されています。
さらに、この弁論準備手続は、非公開の手続きであるからこそ、
当事者が和解に向けての率直な意見交換などが可能となる
手続きとされています。
このような手続きを、秘密で録音していたということは、
こうした弁論準備手続の制度の趣旨を害する行為
でもあるわけです。
ちなみに、過去には同様の録音行為をおこなった弁護士が、
業務停止3ヶ月という重い懲戒処分を受けています。
ですから、裁判所内で許可なくこうした秘密録音を行う行為は、
かなり悪質な行為であるといえます。
ところで、こうした秘密で録音する行為は、
一般的には違法な行為なのでしょうか?
たとえば、建設業などでは取引の際に契約書が
作られないことがあります。
正式な契約書を作るのは面倒だけど、後でモメるのも
嫌なので、打ち合わせの内容などを相手にナイショで
録音しちゃえ!
まぁ、こういうこともあるかも知れません。
このように、相手の許可なく、相手との会話を
録音する行為は、果たして合法なのでしょうか?
この点、会話の内容を相手方に無断で録音する
こと自体を禁止する法律はありません。
ただ、秘密録音は、やり方次第では、民事上の
不法行為となって、損害賠償義務が発生することも
理論上はあり得ます。
この点、相手方との会話を録音することは違法ではない、
という趣旨の最高裁判決があります。
ただ、秘密録音自体は違法ではなくても、それを第三者に
公開したりすると、名誉毀損とかプライバシー侵害で
違法となる可能性があります。
さらに、仮にナイショで録音自体が違法ではないとしても、
その録音した記録(音声データなど)が裁判で証拠として
使えるか、という問題があります。
この点も裁判例があり、
というような例外的な場合には、裁判の証拠とすることが
できないとしています。
というわけで、ナイショで録音が違法か合法かは、
ケースバイケースということになります。
ただ、対等な取引相手との関係であれば、通常は
ナイショで録音したとしても、違法とされる可能性は
低いでしょう。
場合によってはナイショで録音、ということもアリだ
ということです。
ただ、ナイショで録音は、相手方にバレてしまった場合、
取引において信頼関係が壊れてしまいます。
ですから、よほどの事情がない限り、ナイショで録音
はやめておいた方が良いでしょう。
やはり、それなりの工事を請け負って、それなりの金額を
いただく仕事の場合、簡単でも契約書を作る、という王道
を行くべきだろうと思いますね。
というわけで、
今日のポイントは
ということです。
まぁそれにしても、冒頭の事件は、
裁判所という公正さが求められる場所で、
まして国側の代理人が秘密録音をしていた、
ということが驚きですね。
今後、2度とこういうことが起こらないように
厳正に対処してほしいものです。
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今回はちょっと息抜き回ということで、なぜ弁護士になったのか?という私自身の過去に遡った話をしてみたいと思います。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
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私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。