誰でも簡単に情報発信
ができるSNS
会社にとっては、
社員のSNS投稿によって
損害を受けるリスクが
あります。
こうしたリスクを
予防するためには、
「ソーシャルメディア利用規程」
を作っておく必要があります。
(今日の「棒人間」 SNSで炎上するリスク)
<毎日更新948日目>
社員が、SNSを利用して、炎上などするリスクに対して、会社としてどのように対処したらよいでしょうか?
昨今では、
このようなことをご心配に
なる社長さんがおられます。
少し前のことになりますが、
飲食店のアルバイト店員が、
店内で悪ふざけしている
様子を写真や動画に撮影し、
それをSNSに投稿して炎上
するような事件がありました。
それによって、
会社は大きな損失を被り、
最悪のケースでは、
店舗が閉鎖したり、
会社が倒産に追い込まれる
こともあり得ます。
そこまで行かなくとも、
会社が失った信頼を
回復させるために、
多大な労力を割くことを
余儀なくされます。
SNSは、
誰でも簡単に
インターネットを使って、
全世界に情報を
発信できます。
会社としては、
社員がSNSを悪用した場合に、
予想もできないような損害を
受けるリスクがあるわけです。
そこで、
いっそのこと、
社員のSNS使用を
全面的に禁止したい、
と考える社長さんも
出てきそうです。
ただ、
誰もが憲法で保障された
表現の自由というものが
あります。
ですから、
当然、
社員のSNS使用を会社が
全面的に禁止することは
できません。
このような場合に有効なことは、
社員がSNSを利用
することを前提に、
禁止すべき投稿の種類や
内容をあらかじめ定めておく、
ということです。
いわば、
会社の中で、
社員のSNSの利用に
関するルールを作る、
ということです。
この点、
社員が守るべき
社内のルールは、
法律的には、
基本的に「就業規則」
という形で定めておく
必要があります。
「就業規則」の根拠がないのに、
社員に一定の行為を禁止したり、
まして処分を下したりすることは、
基本的にはできません。
その場合、
「就業規則」の本体とは別で、
社員のSNS利用に関するルールを
「ソーシャルメディア利用規程」
という形で定める、
という方法があります。
これは、
社員がSNSを利用するにあたり、
禁止すべき投稿の種類や内容を
ある程度具体的に定めたものです。
具体的に、
どんな投稿の禁止を
定めるべきかというと、
まず、
発信してはいけない
「情報」があります。
たとえば、
などです。
さらに、
他人の権利を侵害するもので、
たとえば、
などがあります。
また、
会社に損害を与える
ようなもので、
たとえば、
などがあります。
「ソーシャルメディア利用規程」
でこれらの禁止行為を
定めておきます。
そして、
もし社員がこの規程に
違反した場合には、
「就業規則」本体に定める
懲戒処分に処することを
規定しておく必要があります。
この点、
この「ソーシャルメディア利用規程」も、
法的には「就業規則」の一種ですから、
「就業規則」が法的効力を
生じるための要件を満たす
必要があります。
すなわち、
まずは、
その作成した就業規則を
労働基準監督署に
届け出ることが
必要とされています。
その上でさらに、
作成した就業規則は、
社員に「周知」させる
ことが必要です。
「周知」とは、
要するに作成した「就業規則」を
社員の知り得る状態におく
ということです。
「知り得る状態におく」というのは、
一番わかりやすいのは、
「就業規則」をコピーして、
各社員に配ること、
これが一番確実です。
また、
パソコンなどでデジタルデータ
として記録し、
社員がいつでもアクセスし、
閲覧できるようにすることでも
OKとされています。
それ以外では、
「就業規則」を各事業所の
見えやすい場所に掲示し、
または備えおくことでも
良いとされています。
いずれにしても、
大事なポイントは、
作っただけでは
意味がない、
ということ。
「ソーシャルメディア利用規程」
も就業規則の一種であり、
社員に「周知」させなければ
法的な効力が認められない、
ということです。
実質的に見ても、
「ソーシャルメディア利用規程」は、
社員が誤ったSNSの利用
をすることにより、
会社の利益が害されることを
予防することが目的です。
ですから、
せっかく作っても、
社員がその内容を知らなければ、
こうしたリスクを予防する
ことにつながりません。
逆に、
「ソーシャルメディア利用規程」
を社員に周知させることで、
社員にとってもやってよい投稿と
やってはいけない投稿が
ある程度明確になります。
いわば、
社員の方に自覚をうながす
ことにもつながるでしょう。
いずれにしても、
SNSは誰でもお手軽に
投稿できるだけに、
会社にとってはコントロール
不可能な社員の投稿によって、
思わぬ損害を被るリスクが
あります。
こうしたリスクを予防するためには、
やはり自社の
「ソーシャルメディア利用規程」
をきちんと整備して
おきたいものです。
それでは、
また。
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今回は、フリーランスは「労働者」?フリーランスに労災が認定される場合、というテーマでお話ししています。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。