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渋谷の弁護士吉田悌一郎

【裁量労働制】法律上の要件を満たさずに導入するリスクとは?

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実際の労働時間ではなく、

あらかじめ会社と社員で

定めた時間を働いたもの

とみなす「裁量労働制」

 

 

しかし、

要件を満たしていない

「裁量労働制」は無効であり、

後で社員から未払い残業代を

請求されるリスクがあります。

 

(今日の「棒人間」 裁量労働制は自由??)

 

<毎日更新962日目>

裁量労働制が違法として、未払い賃金を命じた判決

 大学が定めた「裁量労働制」は違法!

松山大学の教授らが、

大学側が導入した

「裁量労働制」に

問題があるとして、

導入後に支給されなく

なった残業代の

支払い等を求めて提訴。

 

 

松山地方裁判所は、

これに対し、

松山大学が定めた

「裁量労働制」は

違法だとして、

大学側に未払い賃金

など合計約1800万円の

支払いを命じました。

 

 

この「裁量労働制」を

導入するためには、

「労使協定」を結ぶ

必要があるのですが、

大学側がこの「労使協定」を

締結する手続きに

問題があったようです。

 

 

判決では、

裁量労働制の採用に当たっては労働者の過半数を代表する者と書面で協定を締結する必要があるが、代表者の選出手続きは有権者全体の25%に過ぎない

と指摘して、

この「労使協定」が無効

であるとの判断をしました。

 

 

「裁量労働制」が適用されると、

原則として残業代は

発生しなくなります。

 

 

しかし、

判決では、

松山大学が導入した

裁量労働制は違法だとして、

大学側に未払い賃金など

約1800万円の支払いを

命じたということです。

 

「裁量労働制」とは?

この点、

社員の労働時間に関して、

労働基準法の原則は、

1日8時間,

1週間で40時間

とされています。

 

 

そして、

これを超えて

働かせた場合には、

法律の定める

割増賃金(残業代)

支払う必要があります。

 

 

これに対し、

「裁量労働制」とは、

実際の労働時間ではなく、

 

 

あらかじめ会社と社員で

定めた時間を働いた

ものとみなし、

その分の賃金を

支払うという制度です。

 

 

たとえば、

簡単に言えば、

労働したとみなす時間

(みなし労働時間)

8時間と定めた場合、

 

 

実際の労働時間が

1時間であっても、

10時間であっても、

同じ8時間分の賃金を

支払えばよい、

というものです。

 

 

原則として勤務時間

の制限がなくなり、

社員の裁量で勤務時間

を管理できる、

というものです。

 

 

この「裁量労働制」は、

必ずしも働いた時間で

給料を支払うことが

妥当ではない職種について、

その働き方の実態に

合わせて給料を支払う

ことができる制度です。

 

 

たとえば、

研究・開発や設計など

専門性の高い職種では、

労働時間で働く人を

管理するのが適切ではない

場合があります。

 

 

むしろ、

労働時間や出勤・

退勤の時間などの管理を

社員自身に任せて、

自由度の高い労働環境

を与える方が、

 

 

実態に合っていて、

効率的な場合も

あるわけです。

 

 

この「裁量労働制」が

適用できる職種は、

法令で決められており、

下記の専門的な職種が

これにあたります。

  • 1 新商品や新技術などの研究業務
  • 2 情報処理システムの分析又は設計の業務
  • 3 新聞、出版、放送などにおける取材、編集などの業務
  • 4 服飾、広告などのデザイン考察の業務
  • 5 放送番組や映画などの制作におけるプロデューサー又はディレクターの業務
  • 6 広告、宣伝等における文章案(キャッチコピーなど)考案の業務
  • 7 情報処理システムなどのシステムコンサルタントの業務
  • 8 インテリアコーディネーターの業務
  • 9 ゲーム用ソフトウェア創作の業務
  • 10 証券アナリストの業務
  • 11 金融商品の開発の業務
  • 12 大学における教授研究の業務
  • 13 公認会計士の業務
  • 14 弁護士の業務
  • 15 建築士の業務
  • 16 不動産鑑定士の業務
  • 17 弁理士の業務
  • 18 税理士の業務
  • 19 中小企業診断士の業務

 

そして、

こうした専門業務型の

裁量労働制を導入

するためには、

 

 

対象とする業務や

労働時間としてみなす時間、

有効期間などなどについて、

 

 

労使協定で

決めなければならない、

とされています。

 

 

この「労使協定」というのは、

正確には、

労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定 

とされています。

 

 

その会社に

労働組合がないときは、

社内で労働者の過半数を

代表する人を選出する

必要があます。

 

 

この人を「過半数代表者」

といったりします。

 

 

そして、

この「過半数代表者」を

選出するにあたっては、

どのような内容の労使協定を

結ぶための代表を選出するのか、

を明確にする必要があります。

 

 

そして、

選び方も投票や挙手などの

民主的な方法によって

選ぶ必要があるとされています。

 

 

会社が特定の社員を指名するなど、

会社側の意向によって

選出した場合には、

その労使協定は無効

とされます。

 

 

さらに、

「過半数代表者」を選ぶための

「労働者」の分母には、

正社員のみならず、

パートや契約社員なども

含まれるとされています。

 

 

法律上の要件を満たさずに裁量労働制を導入するリスク

冒頭の松山大学のケースは、

この「過半数代表者」を

選ぶ手続きに問題が

あったとされて

いるようです。

 

 

すなわち、

代表者の選出手続きは

有権者全体の25%に

過ぎなかったということで、

これでは「過半数代表者」とは

いえないでしょう。

 

 

もし労使協定が無効とされると、

「裁量労働制」がそもそも

適正な手続きを経ていない

違法なものとなってしまいます。

 

 

その場合には、

もともと「裁量労働制」が

なかったものとして、

社員の労働時間を計算

しなければなら

なくなります。

 

 

その場合、

上記の労働時間の

原則に戻りますので、

1日8時間、

週40時間の原則が適用されます。

 

 

そして、

それを超過した場合には

割増賃金(残業代)

発生することに

なるわけです。

 

 

このように、

法律上の要件を満たさずに

「裁量労働制」を採用した場合には、

後からそれが無効とされて、

社員から未払い残業代を

請求されるリスクが

あります。

 

 

そうなると、

そもそも「裁量労働制」

の有効性や、

未払い残業代の有無

などをめぐって、

 

 

社員との間の泥沼の

「裁判沙汰」に陥る

可能性があります。

 

 

この点、

私のミッションは、

ということです。

 

 

社員との間の「裁判沙汰」を

避けるためには、

安易に法律上の要件を

曖昧にしたままで

「裁量労働制」を導入

するのは避けるべきです。

 

 

もし要件を満たしているかどうか、

不安がある場合には、

必ず専門家である弁護士に

相談するようにして下さい。

 

 

この点、

会社が弁護士と顧問契約を

結んでいる場合には、

こうしたことも気軽に相談し、

アドバイスを受けることが

できるので、

安心です。

 

 

必要があれば、

ご検討いただければと

思います。

 

 

それでは、

また。

 

 

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最新動画 

今回は、Google口コミサイトに、事実無根の書き込みをされた場合、どうするか?というテーマでお話ししています。

 

 

 

 

活動ダイジェスト

昨日は、六本木のビジネスホテルのデイユース(日帰り)プランを利用して、1人ビジョン合宿を。今月2回目です。主に来年のアクションプランの策定などでした。
夕方は息子の習い事(空手)の送迎、合間に夕食作りなどでした。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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