マイホームとして、
建売の中古物件を買ったら、
なんと敷地が建物の再築が
できない土地だった!
こんなとき、
この物件を売った売主に対して、
法的責任を追及できる
場合があります。
(今日の「棒人間」 建物再築不可の物件を買って悔し泣きする人)
<毎日更新1008日目>
家族で住むためのマイホームを購入したいと思い、都内で中古の建売住宅を購入したAさん。
この物件は駅から近くて便利だし、住み心地も良いし、少し高かったけど、購入してよかったと満足していました。
ところが、この物件を購入してから3年後、Aさんにとって衝撃的な事実があきらかになりました。
それは、Aさんが購入した土地は、法律上建物を再築することができない土地でした。
どういうことかと言うと、Aさんが購入した土地は、土地の入り口が下記のような形で行動に接しています。
この点、
建築基準法という法律で、
原則として、
建築物の敷地は、
道路に2メートル以上
接していなければならない、
という規制があるのです。
これを、専門的には
「接道義務(せつどうぎむ)」
と言います。
なぜこのような規制が
あるのかと言うと、
入り口が2メートル以上ないと、
火事や災害の際に、
消防車や救急車といった
緊急車両が入ることができず、
消火活動や救助活動を
スムーズにできない
可能性があるからです。
ところが、
Aさんが購入した土地は、
入り口部分が
1.8メートルしかなく、
要するに道路に2メートル以上
接していない土地である、
ということが判明したのです。
そうなると、将来、
今の建物が古くなったときに、
今の家を取り壊して、
新しい家を建てることが
できなくなります。
というのは、
この土地に新しい家を
建てようとしても、
それは接道義務を
果たしていないので、
建築基準法に適合
していない建物である、
ということになります。
そうなると、
建築確認をとることができず、
その結果、
建物を再築することが
できない土地、
ということになって
しまうわけです。
そこで、
Aさんとしては、
こんな制限のある土地を
自分に売った売主に、
何か文句を言いたい
わけです。
この点、Aさんは、
売主との間で、
今回の建売住宅の土地と
建物の売買契約を結んだ、
ということになります。
この点、
売買の目的物(今回の事例だと土地と建物)が、
契約の内容に適合しない
ものであるときは、
代金の減額請求をしたり、
あるいは損害賠償請求や
契約の解除ができる、
とされています。
問題は、
今回Aさんが購入した土地建物は、
Aさんが売主との間で行った
売買契約の内容に適合しない
ものであると言えるかどうか?
という点です。
この点、Aさんは、
家族で住むためのマイホーム
を購入しようと思って、
売主との間でこの土地建物の
売買契約を結んだのでした。
これは、
表面的に見れば、
売買の対象となった土地建物は、
Aさんと売主の契約の内容に
適合しているようにも
見えます。
ただ、
契約の内容というものは、
その契約を結んだ目的や、
取引における社会常識などを
考慮して判断されます。
そうすると、
居住用の建物に住むために
土地を購入する場合、
通常は将来建物が古くなって
再築することも想定して
土地を買うのが通常です。
そうであれば、
売主としては、
買主に対して、
法律上建物を再築する
について支障のない土地を
引き渡すことが、
契約の内容となっていた
と考えることができます。
そこで、
その土地が、
建築基準法上の接道要件
を満たさず、
建物を再築できない
土地であった場合には、
Aさんとしては、
売主に対して、
代金の減額請求や損害賠償、
あるいは契約の解除を
行うことができるわけです。
売買契約の目的物が、
当事者が結んだ契約の内容に
適合しない場合には、
買主は売主に対して、
上記のように責任追及を
行うことができます。
これを、
専門的には
「契約不適合責任」
と言ったりします。
この契約不適合責任
で重要なのは、
当事者の契約の内容、
もっと言えば、
当事者が契約をした目的は
いったい何だったのか?
ということです。
たとえば、
上記のような接道要件を
満たさない土地であっても、
もともと建物再築不可という
ことを買主が承知の上で購入
することもあります。
あくまで、
今ある建物が古くなるまで
住めればよくて、
特に将来建物を建て替えて
住むつもりはない、
そんな人の需要も
あるわけです。
あるいは、
不動産業者などが、
周囲の土地も合わせて
買うことで、
接道義務のある土地にして、
開発をすることを計画する
場合もあります。
ただ、
そのような場合は、
建物再築不可の
土地ということで、
かなり価格が安くなるのが
通常です。
上記の事例の場合は、
当事者間で契約時にその辺の
契約の目的をもっとはっきり
させておいた方が良かった
事案かも知れません。
ただ、
不動産の価格が上記のように
建物再築不可を見込んで
安くなっている
という事情がなく、
しかも売主が建物再築不可の
土地であることを知って
いたような場合は、
かなり悪質な売主
ということになります。
その場合は、
さらに売主は
「説明義務違反」
ということで、
買主に対して
損害賠償義務を負う
場合があります。
いずれにしても、
いざというときにこの
「契約不適合責任」を問える
ようにする前提として、
当事者間で契約の目的を
具体的にはっきりさせておく
ことは重要です。
そうしておけば、
そもそもトラブルや
「裁判沙汰」を予防することにも
つながるからです。
不動産という
大きな買い物の場合、
やはりその辺は慎重に
いきたいところですね。
それでは、
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。