中小零細企業でも
社員さんが横領事件を
起こしてしまった
という話はときおり
耳にします。
そうした社員さんの一定割合は
いわゆる「ギャンブル依存症」
になっていることがあります。
今回は
社員の横領事件を防ぐ
仕組みづくりについて
考えてみました。
(今日の「棒人間」 ギャンブル依存症は怖い)
<毎日更新1053日目>
昨日は、
大谷選手の通訳を務めて
いた人が解雇された
というニュースで
持ちきりでしたね。
報道によれば
この通訳の男性は
違法賭博をやっており
多額の借金があったとか。
大谷選手の口座から
7億円近いお金がその借金の
返済のために送金された
という話もあります。
大谷選手側の弁護士は、
との声明を発表しています。
大谷選手自体が
どこまでこの通訳の男性の
違法賭博に関与していたのか
それは現時点では
定かではありません。
ただ
この通訳の男性は
いわゆる「ギャンブル依存症」
であったようですね。
「ギャンブル依存症」になり
人生が破滅に向かう。
これは割とよく聞く話です。
会社の社員でも
それまでは真面目に
働いていたのに
ある時期から
ギャンブルにハマり
借金をするように。
結局
会社のお金にも手をつけて
横領で逮捕
会社も解雇される
といったケースです。
中小零細企業においても
社員が会社のお金を
横領するという事件は
あちこちでよく耳にします。
私自身は
弁護士として
会社からそうしたご相談を
受けたことがありますし
横領してしまった社員の
刑事弁護をしたこともあります。
会社として
こうした社員による多額の横領事件
が発生したらどうするか?
言うまでもなく
社員が継続的に会社のお金を
着服していた場合
刑法上の「業務上横領罪」
という犯罪になります。
ですから、まず
社内で社員の横領事件が
発覚した場合には
警察への被害申告や刑事告訴を
行うかどうかを検討する
必要があります。
さらに、会社として
その横領事件を起こした
社員の地位をどうするか
具体的には
その社員を解雇するかどうか
を判断しなければなりません。
その上で、
この社員が横領したお金をどうするか
という問題があります。
この点は
横領は民事上の不法行為
に該当しますので
会社としては
その社員に対して
不法行為に基づく損害賠償請求として
この横領したお金の返還を
請求することができる
ことになります。
しかし
社員による横領事件が
ひとたび起きてしまうと
警察への対応や
損害賠償請求の手続など
事後的な対応に
追われることになります。
それだけではなく
社内にも不穏な空気が漂ったり
社員間で不信感が生じてしまったりと
様々な悪影響が出てきます。
さらに
横領された金額を加害者に
請求できるといっても
実際にはその加害者の
資力などの問題もあり
回収できない場合も
少なくありません。
そうなると
横領された金額の大きさによっては
中小零細企業の場合は
会社の経営にも重大な支障が
生じる可能性が出てきてしまいます。
そこで
やはり常日頃から
社員の横領事件などが
起きないように体制を
整備しておくことが
何よりも重要になってきます。
具体的には
社員の横領を防ぐような
「仕組み化」をどう作るか?
です。
こうした横領事件
が起きる背景には
1人の社員が会社のお金を
扱う大きな権限を与えられて
いることが多いです。
ですから
社員の横領事件を
防ぐための第一歩は
必ず会社のお金を
複数でチェックできる体制
を作ること。
たとえば
社員の立替金なども
請求書ですぐに支払うのは
やめた方がいいでしょう。
必ず出金伝票を書かせ
上司の決裁を得た上で
支払うようにするなどです。
また
会社の経理に関しても
1人に任せずに複数つけるとか
いろいろあります。
ただし
難しいのは、
中小零細企業の場合
そのような人的なリソースが
十分に確保できないことです。
そこで
日常は経理担当者1人に
任せざるを得ないとしても
必ず定期的に預金通帳履歴を
確認するとか
支出については資料と共に
確認するなどといったことは
最低限必要だろうと思います。
さらに
中小零細企業の場合は
社長や上司が
部下の日常にきちんと
関心を持って観察
することが大切です。
もちろん
プライバシーや個人情報の問題が
あって限界はありますが。
ただ
その社員の家族関係とか
健康状態とか
交友関係とか
趣味とか
生活が突然派手に
なったりしていないかとか
そういったことに
関心を持つことは重要
ですね。
ギャンブルそのものが
悪いわけではありませんが
度を超えた頻度でやっている
明らかにハマっている
という場合は
要注意かも知れません。
やはり
会社のお金に
手をつける人は
心の奥深くで闇を
抱えていることが
多いです。
重大な事件になるのを
防ぐためにも
こうした心のケア
といった問題も含めて
経営者としては
社員の日常の行動に関心を持って
観察する必要があるでしょう。
会社側としても
長年信頼していた社員に
裏切られることのないような
「仕組みづくり」
これが大切だと思います。
それでは
また。
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Profile
中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。