
インターネット上のブログやSNSで
新聞記事を撮影して投稿
しているものを見かけます。
これは
「著作権侵害」に
当たらないのでしょうか。
この点
著作権法では「引用」という
例外が認められています。
(今日の「棒人間」 スマホで撮影して投稿、は許される?)
<毎日更新1248日目>
新聞紙をスマホで撮影して、SNSに投稿したいんですが、著作権法違反になりますか?
著作権法32条1項の「引用」に当たると言えれば、例外的に著作権侵害にはなりません。
創価学会員の男性が
「聖教新聞」に掲載された
写真をスマホで撮影して
それをTwitter(現X)に投稿。
これが「著作権侵害」にあたるとして
創価学会側がこの学会員の男性を
相手に損害賠償を請求する
「裁判」を起こしました。
報道によれば
この学会員の男性は
2018年10月から2019年10月にかけて
聖教新聞の記事をスマホで撮影して
その記事に対する批判を
Twitterに投稿していたそうです。
この裁判で
判決は
学会員の男性の投稿は、公正な慣行で、引用の目的上、正当な範囲内のものと認めるのが相当である
として
著作権法で定められた「著作物の引用」
にあたると判断しました。
創価学会が学会員に敗訴、「聖教新聞」掲載写真のSNS投稿めぐる著作権侵害訴訟…東京地裁
一般的に
著作権法で保護された「著作物」を
著作者の承諾を得ないで利用した場合
「著作権侵害」となります。
ここで
「著作物」というのは
思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの(著作権法2条1項1号)
を言うとされています。
具体的なイメージとしては
小説、音楽、絵画、写真、映画
などが浮かぶと思います。
新聞記事や
新聞に掲載された写真も
基本的にこの「著作物」
にあたります。
「著作物」を創作した人を
著作者と言いますが
この著作者は
著作権侵害をした人に対して
その行為の差し止めや
損害賠償請求を行うことができます。
ただし
これには例外があり
公表された著作物の「引用」であれば
著作権法違反にはなりません。
すなわち
著作権法32条1項では
公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
と定められています。
この著作権法上の「引用」
に当たるかどうかは
次の要件を満たさなければなりません。
すなわち、まず
その「著作物」が公表された
著作物であることが必要です。
さらに
引用した部分と
自己の著作物の区分が明瞭
であることが必要です。
具体的には
引用部分にカギ括弧をつけるなど
して区別する方法が用いられます。
また
書籍なら書籍名
作者、出版社を示すとか
新聞紙なら掲載紙名を示すなど
その出所を示すのも
この明瞭区分のためには必要です。
また
主従関係といって
自分の著作物が「主」であり
引用部分が「従」である
ことが必要です。
ほとんど引用部分ばかりで
自分の著作物がほとんどないような
場合は「引用」にあたりません。
いわゆる「丸パクリ」は
引用ではないわけですね。
さらに
「引用」がその目的上正当な範囲内
にあることも必要とされます。
これは
たとえば
そもそも引用の必要性があるか
引用の量や範囲が
必要な範囲内か
引用の方法が適切か
などといった要素
から判断されます。
ちなみに
冒頭の裁判で
創価学会側は裁判の中で
などと主張していたようです。
しかし
これは
判決においては、
として退けられています。
この辺は
あくまでケースバーケースで
新聞記事を引用してそれを論評する
批判する目的の場合には
正当な範囲内と言えるでしょう。
しかし
それを超えて
誹謗中傷や名誉毀損に当たる場合には
正当な範囲内とは言えない場合も
出てくるものと考えます。
インターネット上を見ていても
ブログやXなどのSNSで
新聞記事やそこに掲載された写真
の引用がなされる場合があります。
これも
やり方を間違えると
「著作権侵害」として「裁判沙汰」に
陥る危険があります。
「裁判沙汰」を避けるためにも
この著作権法上の「引用」のルールは
知っておいた方が良いと思われます。
ちなみに
冒頭の事例では
創価学会側は
とコメントしているようです。
「裁判沙汰」は
まだまだ長引きそうですね。
それでは
また。
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昨日は、久しぶりに渋谷区倫理法人会の経営者モーニングセミナーに参加。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。