(今日の「棒人間」 暗雲立ちこめる中、ぬるま湯に浸かる?)
<毎日更新1336日目>
「多重債務問題」→
過払いバブル到来で
皮肉なことに
私の弁護士人生の始まりは
順調な船出であった。
おかげで
私の新人時代は
売上やお金にまったく
苦労することはなかった。
将来に危機感を
持つこともなかった。
ひたすら目の前に降ってくる
仕事をこなすだけの毎日だった。
だから
日々の仕事以外に
営業やマーケティングなど
長期的に食べていくために必要な
経営者としての勉強をする
機会はほぼ皆無であった。
また
これは言い訳になるが
当時の我が業界の環境として
誰も営業やマーケティングなどを
教えてくれる人はいなかった。
それどころか
当時はまだ
弁護士が営業やお金のことを正面から
考えたり議論したりすることは
「品のないことだ」という
空気感が蔓延していた。
実際に私も
先輩から
「弁護士は目の前の依頼者のために
一生懸命仕事をしていれば
仕事に困ることはない」とか
「新人のうちから金のことを
考える奴は大成しない」などと
よく言われたものだ。
そんなわけで
私の新人時代は
営業の勉強など
まったくすることはなく
ただひたすら目の前の仕事を
こなす忙しい日々に明け暮れていた。
そして
働けば働くだけお金になったので
モチベーションも上がったし
事務所経営などについて危機感を
持つことなどまったくなかった。
また
今にして思うのは
この当時の私は
自分が何のためにこの仕事をしているのか
という感覚にも乏しかったと思う。
自分がどんな弁護士になりたいのか?
自分の使命は何なのか?
そんなこともあまり考えずに
日々を過ごしていたように思う。
いずれにしても
儲かっているときや
順調にいっているときというのは
これがこの先もずっと続くと
錯覚してしまいがちである。
私が弁護士になってしばらくの間
経営というものに危機感を
持たずに来てしまったことが
後年どん底を経験する
一因になっていたと思う。
さて
この当時
徐々に弁護士を取り巻く経済的な
環境が悪化しつつあったことは
すでに書いた。
1つの要因は
法律の改正による
過払いバブルの終焉。
もう1つは
司法制度改革による
弁護士の増員だ。
今日は
この後者の
司法制度改革について
少し書いておきたい。
1990年代頃から
弁護士や裁判官
検察官といった我が国の法曹人口が
他の先進国と比較して極端に少ない
ということが問題視
されるようになった。
そこで
司法制度改革が推し進められ
大幅な法曹人口の拡大が計画された。
具体的には
司法試験の制度が大きく変えられ
全国に法科大学院が設置された。
司法試験の合格者も
年間3000人まで増員することが
目標として掲げられた。
その結果
2000年代の後半あたりから
弁護士の数は急激に増加していった。
実際
私が弁護士になった2004年当時は
全国の弁護士の数は2万人余りであった。
それが
今では全国の弁護士数は4万5000人
ほどになっていて
この20年で倍以上の
数になっている。
しかも
結果的には増えた弁護士は
そのほとんどた首都圏や大阪といった
大都市圏に集中することになった。
さらに
皮肉なことに
弁護士の数が足りないということで
司法制度改革が進められたわけだが
過払いバブルが終焉する頃から
裁判所の民事事件の件数は
逆に減り始めた。
簡単に言えば
仕事は減っているのに
弁護士の数は増え続ける
という状況になったのだ。
そんなわけで
主に大都市圏では
弁護士の過当競争の時代に
入っていったのである。
弁護士になりさえすれば
一生食いっぱぐれることはない
と言われてきたし
私もそれを信じていた。
しかし
世の中は変わり
そういう時代ではなくなってきた。
実際に
過払いバブルが終わった2010年頃から
徐々に私の売上も落ちてきた。
とは言え
急激に仕事がなくなる
ということはなかったし
売上が下がったとはいえ
それなりになんとか
食べられてはいた。
だから私は
相変わらず危機感を
持つことができなかった。
心の中では
「まぁ、なんとかなるだろう」
とたかを括っていた。
やはり
苦労なく育った者の
危機感は薄い。
バブルによって苦労なくお金を
稼げた経験というものは
時に人をダメにする。
思えばこの時
謙虚になって営業や
マーケティングをきちんと学び
経営者としての勉強をきちんと
しておけば良かったと後悔もする。
しかし
当時の私は
いわば「ぬるま湯」に浸かっていて
経済環境が悪化することを
想像できなかった。
私という人間の本性は
やはり「痛い目」に遭わないと
目が覚めないようである。
だがこの当時
私の事務所経営が破綻に向かう
1つの大きな転機が起こる。
2011年3月11日に発生した
東日本大震災と福島原発事故である。
(つづく)
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
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私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。