従業員の給料は、直接、通貨で全額を支払わなければ
ならないという労働基準法上の原則があります。
また、例外的に振り込みによる支払いも認められていますが、
あくまで従業員の同意を得て、従業員が指定する口座でなければ
ならないことになっています。
今日はその辺のお話をしています(^ ^)
<毎日更新561日目>
昨日、私のブログの師匠である板坂裕治郎さんの元で
一緒に毎日ブログを書いているお仲間から連絡がありました。
この人は、愛知県の小牧市で小規模保育を経営している
園長の三輪栄さん。
三輪さんのブログ
⏬⏬⏬
なんでも、労働基準監督署へ行った際に、若い職員さんに
質問したところ、その答えが要領を得なかったようです。
そこで、私に質問のメッセージが。
あのさ〜、ちょっと聞きたいことがあるんだけど。
え〜、めんどうくさいな〜
あ、どうぞどうぞ、お安い御用で!
従業員に給料を支払う振込先の銀行をこちらで指定して、従業員にその銀行の口座を作ってもらうことってできるの?
給料の振り込みにつきましては、従業員の方の同意があることを前提に、その従業員が指定する金融機関の口座に送金するということになっています。
じゃあ、こちらが一方的に銀行を指定して、そこで口座を作ってもらって、その口座に給料を送金するってことはできないんだ?
そういうことですね。
会社が指定する口座にするように従業員の方に協力を求める、ということはできますが、会社指定の口座を強制する、ということはできません。
従業員への給料の支払いは、労働基準法という法律で、
従業員に直接、通貨で支払うこととされています。
ただ、今どき給料が現金で手渡し、というところは少なく、
多くの会社では銀行振り込みになっていると思います。
この点、例外的に、労基法施行規則第7条の2第1項第1号というところで、
労働者の同意を得た場合には、
によって支払うことができる、とされています。
その際、会社としては、振り込み手数料の経費削減や業務効率
などを考えて、会社指定の銀行口座に送金したい、と考える場合が
多いようです。
しかし、あくまで上記のとおり、
「労働者が指定する銀行その他の金融機関」
ということになっています。
ですから、会社としては、指定する口座にするように従業員の方に協力を求める、
ということはできますが、会社指定の口座を強制する、ということはできない、
という結論になるわけです。
三輪園長の質問はまだ終わりません。
じゃあ、従業員からあくまで現金で支払ってくれ、って言われたら現金で支払うってこと?
そういうことになりますね。
まあ、今どきあまりそんな人いないでしょうけど・・・。
じゃあ給料を「りんご」で欲しいって言われたら、「りんご」で払えばいいの(笑)?
な、何を言ってるんだろうこの人・・・
いや、給料というのは「通貨」で支払わなければならないので、「りんご」ではダメです。
ふ〜ん、じゃあ給料を日本円じゃなくて、ドルで支払うのはどうなのよ?
いつまで続くのかな、この質問(^ ^)
「通貨」というのは,日本国内において強制通用力のある貨幣のことなので、日本円でなければダメなんです。
この点、労働基準法24条1項で
と定められています。
ここでいう「通貨」というのは、
で定義されていて、要するに、日本において強制通用力のある貨幣及び
日本銀行券を意味します。
ですから、基本的には給料は日本円で支払わなければならず、アメリカの
ドルで支払うことはできません。
まして、「りんご」など「通貨」以外のもので支払うことも、原則として
できないこととされています。
あと、給料を銀行振り込みにする場合に、振り込み手数料を天引きして
支払うということは、上記の「全額を」支払うという点に反しますので、
これもNGです。
というわけで、
今日のポイントは
ということです。
というわけで、今日のブログのネタを提供してくれた
ブログ仲間の三輪園長、ありがとうございました!
やはり仲間というのはありがたいですね(^ ^)
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
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中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。