
カスハラ行為の典型例として
よくあげられる
「土下座して謝れ」
これは
場合によっては強要罪という
犯罪が成立します。
また
土下座しろと言っただけで
実際に相手が土下座しなかった場合でも
強要未遂罪として処罰の
対象となることもあります。
(今日の「棒人間」 土下座させるは犯罪??)
<毎日更新1375日目>
カスハラ罪で逮捕します!
なんじゃそりゃ〜〜
先日
とある経営者のお客様と
お話ししていたときのこと。
世の中で、これほどカスハラが問題になっているのに、カスハラって犯罪じゃないんですか?
警察に言って捕まえてもらうことはできないんですか?
いきなり固い話になりますが
法律の世界では
「罪刑法定主義」と言って
あらかじめ法律で決まっていること以外は
犯罪にはならないという原則があります。
そして
日本の法律では
「カスハラ罪」というものは
存在しませんので
カスハラ自体が犯罪と
なるわけではありません。
ただ
具体的なカスハラ行為の内容によっては
その行為が刑法などで定められている
何らかの犯罪に当たる
ということは十分にあり得ます。
たとえば
お客が店の中で暴力を
振るって暴れれば
暴行罪や傷害罪
になり得ます。
「殺す」などと脅した場合は脅迫罪
脅してお金をとったり
代金をまけさせたりすれば
「恐喝罪」になり得ます。
誹謗中傷などをネットに書き込めば
名誉毀損罪になり得ます。
それでは
カスハラ行為の1つの典型とされている
あの
おりゃ〜!!土下座して謝れ!!
というのはどうでしょうか?
これは
何らかの犯罪に当たるのでしょうか?
この点
刑法で強要罪という
犯罪が定められていて
脅迫や暴行などによって
他人に義務のないことを行わせると
これに当たる可能性があります。
すなわち
たとえば店の中で大声で店員を脅し
「土下座して謝れ!」と迫り
実際に店員に土下座をさせたりすれば
この強要罪に当たり得るわけです。
実際
裁判例となった事案で
ボウリング場の店員に対して
土下座せえへんのやったら、店のもん壊したろか!
と怒鳴り
店員に土下座をさせたという事案で
裁判所は強要罪の成立を
認めたというものがあります。
注目すべきは
この強要罪という犯罪は
「未遂」の段階でも
処罰の対象となる
という点です。
「未遂」というのは
犯罪行為の一部に着手したものの
その犯罪行為の完成には
至らなかった場合を意味します。
たとえば
殺人未遂というのは
人を殺す行為
(たとえばナイフで人を刺すなど)
に着手したものの
人の死という殺人罪の結果発生には
至らなかった場合を指します。
この点
上記のように「土下座して謝れ!」
と怒鳴った時点で
強要罪という犯罪の一部の
実行に着手したと考えられる
場合もあります。
そのような場合は
実際に店員がそれに応じて
土下座をしなかったとしても
強要未遂罪という立派な
犯罪が成立する
ということです。
ですから
極端な話
「土下座して謝れ!」と怒鳴っただけで
強要未遂罪が成立し
処罰される可能性があるわけです。
冒頭で申し上げたとおり
カスハラ=犯罪にはなりません。
しかし
具体的なカスハラ行為が
刑法などの犯罪に該当する
可能性は十分にあります。
その場合には
躊躇なく警察を呼ぶなど
対応することをお勧めします。
ちなみに
具体的にどんなカスハラ行為が
犯罪になり得るのか
という点については
以前書いたこのブログを
参考にしてください。
どんな状況にあっても
相手に土下座をさせて
謝らせるなどというのは
尋常な事態ではありません。
まして
それに屈して土下座をするなどと
いうこともすべきではないでしょう。
相手のやっていることは
犯罪になり得る悪質な行為だと
自信をもって
毅然と対応して
いただきたいと思います。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
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私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。