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渋谷の弁護士吉田悌一郎

有期雇用の契約社員、期間途中で辞めてもらいたい場合

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有期雇用で社員を採用したものの

いろいろとトラブルが。

 

 

期間の途中ではあるものの

どうしてもこの社員には辞めてもらいたい。

 

 

そんなときは

どうしたら良いのでしょうか?

 

(今日の「棒人間」 道半ばで残念な人??)

 

<毎日更新1490日目>

期間の途中だけど、辞めてほしい??

先日

都内で不動産会社を経営するA社長から

ご相談をいただきました。

 

 

どういうご相談かというと

 

1年間の有期雇用契約で雇った社員に

どうしても期間の途中で辞めて欲しい

というもの。

 

 

どうして辞めて欲しいのかと言えば

その理由がA社長から

山のように出てきました・・・。

 

 

 不動産の営業経験ありというから採用したのに、営業の成果がまったくあがらない

 先輩からアドバイスを受けても、「私には自分のやり方がありますから」と言って聞く耳を持たない

 時々始業時刻に遅刻することがあるが、悪びれる様子もない

 協調性がなく、他の社員とも険悪な雰囲気

 

 

1年間の有期雇用なのですが

この社員はまだあと半年期限が

残っているとか。

 

 

しかし

他の社員からも

 

 

「あの人を辞めさせてください」

と非難轟轟。

 

 

期間満了を待たずに

今すぐ辞めてもらわないと

 

 

どうにも会社の業務にも支障が

出てしまう状態らしいのです。

 

 

なんとか

今すぐ辞めてもらう方法はないでしょうか

というのがA社長のご相談でした。

 

 

 

 

 

解雇の「やむを得ない事由」とは?

 

有期雇用の社員について

 

 

期間の途中で会社がその社員を

辞めさせることについては

法律に規定があります。

 

 

すなわち

労働契約法17条では

使用者は、期間の定めのある労働契約(・・・)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。

と規定されています。

 

 

そもそも

有期の契約社員であろうが

無期の正社員であろうが

 

 

会社が社員を解雇するのは

法律上非常に高いハードルがあります。

 

 

すなわち

社員を解雇するには

 

① 解雇の客観的合理的理由
② 解雇の社会通念上の相当性

 

という2つの要件を

満たす必要があり

 

 

これを満たさない解雇は

「解雇権の濫用」として

解雇が法的に無効とされます。

 

 

そして

実際に裁判などで

 

 

この2つの要件を満たした解雇

であると判断されるためには

 

 

会社側のハードルが極めて

高いのが現実です。

 

 

ところが

有期雇用契約の社員の場合は

 

 

それに加えてさらに

やむを得ない事由がある場合」

という要件が課されている。

 

 

すなわち

通常の正社員の解雇よりも

 

 

有期雇用契約の社員の期間中途での解雇の方が

さらに要件が厳しくなっている

ということになるわけです。

 

 

 

 

それでは

どのような場合が

 

 

やむを得ない事由がある場合」

にあたるのでしょうか?

 

 

具体的には

 

・天災等により事業の継続が難しくなった
・社員側の事情で働けなくなった
・ 懲戒解雇に匹敵するような重大な規律違反や非行があった
・経営難で雇用の継続が難しくなった

などなど。

 

 

ですから

上記のA社長の事例のようなケースでは

 

 

到底「やむを得ない事由がある場合」

にはあたらないと考えます。

 

 

 

 

 

 

 

 

具体的な解決方法

というわけで

このケース

 

 

契約期間の途中での解雇は

法的に難しいと言わざるを得ません。

 

 

安易に解雇してしまうと

 

 

後々「不当解雇」の裁判を起こされる

リスクが極めて高いので

注意が必要です。

 

 

それでは

こうしたA社長のような事例は

どうすればよいのでしょうか?

 

 

まず第一は

この社員とよく話し合って

 

 

途中で会社を辞めてもらうように

説得するという方法。

 

 

このように

 

 

会社が社員に対して退職してもらうように

説得する行為を「退職勧奨(かんしょう)」

と言います。

 

 

退職勧奨では

あくまでその社員に期間途中での

退職に同意してもらう必要があります。

 

 

しかし

社員の側も

 

 

あと6ヶ月雇用契約上の期間が残っているので

そう簡単に途中で辞めることに同意は

しないでしょう(こういう人であればなおさら)。

 

 

そこで

どうしても辞めてもらいたい場合には

 

 

残り6ヶ月分の給料を「解決金」という形で

支払って辞めてもらうことを

検討すべきだと考えます。

 

 

たしかに

残り6ヶ月分の給料を支払うことは

会社にとって痛手ではあります。

 

 

しかし

無理な解雇をして「裁判沙汰」になれば

 

 

おそらくそれ以上のコストの負担を

余儀なくされるでしょう。

 

 

ここは

冷静な経営判断が必要です。

 

 

それから

残りの期間分の給料を払う

という条件を提示しても

 

 

それでもその社員が退職に応じない

ということもあり得るでしょう。

 

 

その場合は

「残り6ヶ月だから」とある意味割り切って

 

 

期間の満了まで我慢してやり過ごす

しかありません。

 

 

ただし

ここでも注意点があります。

 

 

有期雇用契約において

期間満了で更新しないことを

「雇止め」と言います。

 

 

しかし

会社がその社員に対して

 

 

契約更新を期待させるような

言動をしていた場合には

 

 

雇止めが法的に無効とされる

ことがあります。

 

 

具体的には

採用面接時や雇用契約書などに

「更新ありき」とされていたのに

 

 

合理的な理由がなく雇い止めに

されるようなケース。

 

 

ですから

A社長の事例でも

 

 

くれぐれも雇止めが無効とされないように

注意をする必要があります。

 

 

具体的には

その社員の営業成績が悪い

 

 

勤務態度が悪い

就業規則違反などがある場合には

きちんとエビデンスを残しておくこと。

 

 

具体的には

業務指導書のようなものを残して

おくべきであると考えます。

 

 

いずれにしても

今の時代は中小企業において

人(社員)のトラブルは増えています。

 

 

経営者として最低限の法的ルールは理解し

準備をしておく必要はありそうです。

 

 

それでは

また。

 

 

 

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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