
株主提案が過去最多になった
との報道がありました。
株主提案権とは何か?
それを無視した場合の会社側のリスク
などについてお話ししています。
(今日の「棒人間」 モノ言う株主??)
<毎日更新1501日目>
ここは、言わせてもらいまっせ!
・・・・・
おい、ダンマリかい?なんとか言わんか!
上場企業が6月に開く定時株主総会。
株主から株主提案を受けた企業が
過去最高の113社になった
との報道がありました。
これは
三菱UFJ信託銀行が集計したもので
株主から出された株主総会
での議案も398となり
過去最高を更新したそうです。
この中で
投資ファンドなどの機関投資家
からの提案も52社
137議案でこちらも過去最多。
株主から提案される議案の内容としては
従来から多かったのが
配当など株主に利益を還元しろというもの。
ただ
それに加え
取締役などの役員の選任・解任
に関する議案も増えたそうです。
有名どころでは
例のフジテレビの親会社である
フジ・メディア・ホールディングスが
アメリカのファンドである機関投資家から
取締役の選任案が提出されているようです。
株主というのは
会社の所有者であり
取締役などの会社役員に
会社の経営を任せている立場にあります。
そこで
日常の会社の業務執行は
取締役などの会社役員が行います。
そして
株主総会はまさに会社の所有者である株主が
会社の基本的事項に関する
意思決定を行う場でもあります。
この点
株主総会の開催は
取締役等が決定し
各株主に株主総会の招集通知を
送るのが原則です。
これに対して
各株主は
株主総会の目的である事項について
議案を提出することができるとされています。
これを「株主提案権」と言います。
たとえば
特定の取締役を選任すること
あるいは解任すること
定款を変更して株式の譲渡の制限を緩めること
株主への配当をより多くすることなどを
内容とする株主提案が考えられます。
問題となるのは
株主からこうした株主提案権が
行使されたにもかかわらず
取締役など会社役員がこれを無視し
株主総会の議題にしないで
スルーしてしまった場合です。
この場合は
会社法上
取締役などの役員が
というペナルティーが
定められています。
それだけではなく
株主提案を無視した場合
その株主から損害賠償請求の
民事裁判を起こされる危険もあります。
実際の裁判例でも
株主提案があったにもかかわらず
それを役員が株主総会の議題に
しなかったという事例で
損害賠償が認められたものがあります。
実は
中小企業において特定の株主が
株主提案権を行使する場合
その株主は役員等から見て敵対している
関係にある株主である可能性があります。
いわば
少数派の株主が
社長らの執行部に対してイチャモンをつける
手段として株主提案権を行使する
というケースです。
とは言え
上記のとおり
敵対する株主にも株主提案権はありますので
これを無視するというやり方は得策ではありません。
この点
株主提案権というのは
あくまで株主総会において
議題や議案を提案できる
というものにすぎません。
その提案された議題が実際に株主総会で
通るかどうかはまったく別問題です。
というのは
株主総会の決議は
過半数ないし3分の2以上といった
多数の議決権によって決まります。
ですから
役員側が株式の過半数ないし3分の2以上
といった多数を押さえているのであれば
少数株主から株主提案権を行使されても
何ら恐れることはありません。
ただし
実際に開催される株主総会において
その提案した株主がやってきて
いろいろ意見を述べることが想定されます。
やり方を間違えると
いわゆる「荒れた総会」となってしまい
株主総会自体が混乱して
しまう危険もあります。
そこで
やはり役員側としては
株主総会の準備はきちんと
やっておきたいものです。
具体的には
当日の議事進行のスケジュールを
きちんと決める
株主からの発言時間や
議題以外の発言がなされた場合の
取り扱いをルール化しておく
株主との間の想定問答集を
作って練習するなどです。
もし慣れていない場合には
こうした株主総会の対応を弁護士に
相談するのも1つの方法です。
いずれにしても
もし株主提案権が行使された場合
会社側がこれを無視するべきではなく
それなりに真摯な対応が求められます。
それでは
今日のダジャレを1つ。
株主提案、無視すると役員が責任をカブる羽目に??
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
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私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。