
SNSで自社の社員が誹謗中傷を受けるという
タイプの「カスハラ」が問題になっています。
この問題は
会社が本気で向き合うことが大切で
その覚悟が問われています。
今やカスハラ問題は
社員の採用にも大きく影響する
可能性があります。
(今日の「棒人間」 ネット上の誹謗中傷は許さない?)
<毎日更新1604日目>
フリマアプリの大手のメルカリが
同社の社員に対してSNS上で誹謗中傷等の
ハラスメント行為を繰り返していた
人物について刑事告訴。
警察が捜査の結果
告訴状を受理し
書類送検がなされたということで
メルカリが自社のHPにて
公表しています。
ソーシャルメディア上での誹謗中傷事案の書類送検に関する報道について
同社のホームページによると
とのこと。
このように
いわゆるカスハラ行為を繰り返す人物に対し
社員を守るため
毅然とした対応を行う企業が増えてきており
このこと自体は非常に望ましいことだと考えます。
カスハラ行為の一つの態様として
SNSで社員などに対して誹謗中傷を繰り返す
というものがあります。
こうしたカスハラ被害が発生した場合
会社はまずどのように対応したら
良いのでしょうか?
まず、このような書き込みは、
たいてい匿名で書かれていることが
多いと思われます。
その場合には、
プロバイダー責任制限法
という法律に基づいて
発信者情報の開示を求める
手続きがあります。
そして
行為者が特定された後
民事上
不法行為に基づく損害賠償請求を
行うという方法があります。
ただ
今回のメルカリの対応のように
悪質なカスハラ被害の場合は
刑事告訴を行うこと検討しても良いでしょう。
ここで
SNSでの誹謗中傷は
刑事上どのような犯罪に当たる
のかが問題となります。
SNSでの誹謗中傷の場合
一般的には名誉毀損罪と侮辱罪が
問題となります。
名誉毀損とは
簡単に言えば
公の場に事実を示されることで
他人の社会的評価を低下
させる行為のことを言います。
たとえば
SNSなどネット上で
などと書き込んだりすることが
これに当たります。
他方で
侮辱罪は
「事実を摘示せずに
公然と人を軽蔑する行為」
を言うとされています。
名誉毀損との違いは
簡単に言えば「事実を示す」行為が
あるか否かという点です。
具体的には
「バカだ」「無能だ」などと罵ったり
「死ね」などと言ったりすることが
これに当たります。
なお
侮辱罪については
つい先日のこのブログでも
取り上げましたね。
なお
こうした刑事告訴まで行うかどうかはともかく
カスハラに対する具体的な対策を行うことは
会社の責任です。
すなわち
会社は
そこで働く社員の生命・身体等を危険から
保護するように配慮する義務(安全配慮義務)
を負っています。
また
「労働施策総合推進法」という法律が改正され
すべての企業・事業所にカスハラ対策が
義務づけられています。
具体的には
などが求められています。
上記のメルカリのホームページ
においても
当社は、当社で働くすべての人々の人権を尊重することを約束しており、あらゆるハラスメントと差別を容認しません。また、すべての従業員等が安心して働くことのできる環境を守ることが、企業としての重要な責務であると考えております。
と宣言しています。
さらに
今後も、ソーシャルメディア上における誹謗中傷等のハラスメント行為に対しては、従業員等を守る責務を果たすことを目的に、発信者情報開示請求や刑事・民事訴訟等の法的措置を含め、毅然とした対応を行ってまいります。
として
カスハラの対応方針が
明らかにされています。
一番よくないのは
会社がカスハラ被害を放置し
現場の社員の対応任せに
してしまうこと。
カスハラ被害に現場で
対応する社員が精神的に疲弊し
休職や退職に追い込まれてしまう
ケースもあります。
空前の人手不足の今の世の中では
このような会社は嫌厭され
離職率も高くなってしまうでしょう。
また
社員の採用にも大きな影響を
与えてしまいます。
上記の刑事告訴なども含めて
会社としてどこまで本気で
カスハラ被害と向き合うか
その覚悟が試されていると言えるでしょう。
なお
カスハラ被害への対応に
苦慮されている場合は
ぜひ弁護士にご相談下さい。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。