ある日
突然パソコンに表示された
「危険」の警告。
慌てて指示に従った結果
会社の預金が一瞬で消えました。
これは特別な話ではなく
企業を狙った「サポート詐欺」の
典型例です。

(今日の「棒人間」 それは危険??)
<毎日更新1813日目>
都内で建設会社を営む
A社長の会社で実際にあった話。
この会社で経理事務を
担当しているBさん。
年配のベテラン女性社員ですが
パソコン操作は得意で
この会社の経理処理はすべてBさんが
パソコンを使って日々行っていました。
ある日
Bさんが会社のパソコンで仕事をしていると
突然パソコンの画面が真っ暗になりました。
こんなことは初めてなので
パソコンが壊れたのではないかと
驚くBさん。
すると
と画面に表示され
電話番号も表示されました。
ビックリして
藁にもすがる思いで表示された
番号に電話をかけるBさん。
電話口にて

あなたの会社の口座からお金が引き出されている可能性がありますので、すぐにパソコン上から口座残高を確認して下さい。
と言われます。
Bさんは
言われたとおり同じ会社の
パソコンを使って
会社の口座がある銀行支店の
ネットバンキングの口座の
残高を確認しました。
そのとき
Bさんは
ネットバンクの口座残高を確認する際に
ワンタイムパスワードをキーボードに
打ち込みました。
そうしたところ
特に口座からの不正な引き出しは
ありませんでした。
そして
Bさんはさらに
電話口での指示にしたがって
パソコンの復旧作業を行いました。
作業には20〜30分ほどかかりましたが
無事にパソコンは元通りに復旧し
Bさんはお礼を言って電話を切りました。
ホッとしたのも束の間
Bさんの頭には「もしや!」
と不安がよぎります。
慌てて
先ほど残高を確認した会社の口座のある
銀行の支店のコールセンターに電話をかけ
口座の残高を確認したところ
なんと残高がほぼゼロ
になっていたのです。
調べてみると
勝手に何者かによって
会社の預金全額がまったく知らない
他人の名義の他銀行の口座に
送金されていたのです。
上記は
昨今問題になっている
いわゆる「サポート詐欺」
と呼ばれるものです。
その詐欺の典型的な手口は
次のとおりです。
まず
上記のように
パソコンを使っていて
突然警告音が出たり
画面が真っ暗になったりという
謎の現象が生じます。
これは
一般的なニュースサイトやブログに
表示される「広告枠」に
詐欺師が一時的に悪質な
広告を紛れ込ませます。
しかし
その中に「特定の条件
(特定の時間帯や地域など)で
詐欺サイトに強制的に移動させる
プログラムを忍び込ませます。
さらに
広告が表示された瞬間に
自動的に詐欺ページへ強制移動
(リダイレクト)させるコードを
埋め込んでいます。
そして
誰かがそのサイトの記事を
読んでいる最中に
画面が勝手に切り替わり
上記の謎の現象が生じる
というわけです。
ここで多いのが
ブラウザの枠(URLが表示されるバーや
「×」ボタン)が消えてしまうため
利用者は「プラウザの中の出来事」ではなく
パソコン本体が異常を起こしたと錯覚
してしまうというパターンです。
しかし
その画面というのは
実は「パソコンが壊れた通知」ではなく
映画のワンシーンのように
「壊れたふりをしたWebページ」が
表示されているだけなのです。
こうした手口で利用者の不安を煽り
画面に記載されたサポート窓口
(もちろん偽物)に電話をかけさせ
遠隔操作によってID
パスワード
ワンタイムパスワードなどの認証情報を
入力させて盗み取るというわけです。
さてさて
冒頭の件ですが
可哀想なのは
こうしたサポート詐欺にかかり
会社に損失を与えてしまった
経理担当のBさんです。
この場合
会社の口座のある銀行に対して
詐欺に遭って被った被害金額について
補償を求めることができるのでしょうか?
この点
偽造カードや盗難カード等を用いて
不正に預金が引き出されたという場合
預金者保護法という法律で
保護される場合があります。
しかし
今回のようなインターネットバンキング
による不正送金は
基本的に預金者保護法の
対象になりません。
とはいえ
こうしたインターネットバンキング
による不正送金被害が
急増していることを受け
多くの金融機関では補償に関する
自主ルールを設けています。
ですから
銀行に補償を行う法的な義務はないですが
こうした自主ルールに基づき
個別のケースで補償の可否や範囲が
判断されることになります。
ただし
冒頭の事例のように
ワンタイムパスワードなどの
認証情報を第三者に教えたり
自ら入力したような場合は
「重大な過失」に当たると
判断されるようです。
そうなると
気の毒ではありますが
今回のようなケースは補償の対象外
とされる可能性が高いでしょう。
さて
今回の件で
A社長の会社として何を
教訓とすべきでしょうか?
こういったケースでは
ワンタイムパスワードを打ち込んだ
経理担当のBさんを叱責しても
何の解決にもなりません。
それよりも
今後二度とこうした被害に遭わないよう
会社としてしっかり対策を
とることが重要です。
できる対策はいろいろありますが
信頼できない広告を表示させない
フィルタリングソフトの導入
セキュリティソフトの最新化などの
技術的対策が考えられます。
さらに
会社のネットバンキングについて
振込担当者がデータを作成し
承認者が別の端末から承認して
初めて送金が実行される
「ダブルチェック体制」を導入する。
また
1回に送金できる金額を
業務上必要な最小限の範囲に設定する
などの組織的対策の検討も必要でしょう。
そして
こういった詐欺の手法を社内でシェアし
従業員教育を徹底する。
また
パソコンの画面に異常が出た場合には
すぐに電源を切るとか
画面に出た電話番号に安易に電話を
しないなどのルール化も重要です。
詐欺というと
今まではお年寄りとか
個人が被害に遭うケースが大半でした。
しかし
最近の詐欺は
今回のように企業を狙ったものも
珍しくなくなっています。
被害を被る前に
こういった情報を共有し
対策をとっておきたいものです。
それでは
また。
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Profile
中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。