「お客様と仲良くなること」は
特にBtoCビジネスでは
大切なことでしょう。
しかし
その「距離の近さ」が
思わぬ個人情報トラブルに
つながる可能性も?
今回は
起こりがちな「個人情報漏えい」の問題
について考えてみたいと思います。

(今日の「棒人間」 個人情報が・・・・)
<毎日更新1840日目>
エステサロンに勤務する
ベテランスタッフのCさん。
このサロンでは
顧客の管理は店舗のPCで
行うことになっており
就業規則にも
と書かれていました。
しかし
Cさんとしては
という熱心さから
お客様の同意を得た上で
自分の個人のスマホのLINEに
複数のお客様を友達追加。
カルテのメモ(肌の悩み)などを
スマホのノート機能に控えて
管理していました。
ところが
ある日
なんとCさんは自分のスマホを
紛失してしまいます。
その結果
店舗の複数のお客様の個人情報と
施術歴や悩みの内容など
デリケートな情報が流出する
事態となってしまいました。
この点
お客様の「個人情報」が流出して
しまったということで
「個人情報保護法」という
法律が問題となります。
この個人情報保護法では
「個人情報取扱事業者」は
個人データの漏洩、滅失または毀損の防止その他の安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない。
と定められています。
この「個人情報取扱事業者」とは
簡単に言えば
ビジネスや活動で個人情報を
データベース化して使っている
ほぼすべての会社や個人事業主
のことを意味します。
ですから
今回のエステサロンも当然
「個人情報取扱事業者」にあたり
個人情報保護法の
上記規制を受けます。
さらに
個人情報保護法では
社員に個人データを扱わせる場合には
当該個人データの安全管理が図られるよう、当該従業者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。
と定められています。
そして
この個人情報保護法によって
万が一情報の漏洩などが発生した場合
事業者が速やかに
個人情報保護委員会へ報告し
かつ被害を受けたお客様本人に対して
「漏洩した事実」を個別に通知する
義務があります。
これは
すべての個人情報が対象に
なるわけではありませんが
エステサロンのカルテに記載された
病歴や治療歴などは
プライバシー性の高い情報ですから
この報告・通知義務の対象となる
と考えられます。
また
個人情報保護委員会から改善を求める
指導・助言や勧告・命令などが出される
可能性もあります。
さらに
被害を受けたお客様から
損害賠償請求を受けるリスクもあります。
また
こうした問題が起こってしまうと
その事業者の社会的な信用が低下
してしまうというリスクもあります。

上記のように
事業者としては
社員に個人情報を取り扱わせる場合には
「必要かつ適切な監督」
をしなければなりません。
このように
社員が起こした情報漏えいの
問題であっても
会社が重い責任を負うことに
なりますので
注意が必要だということです。
では
事業者としては
「必要かつ適切な監督」とは具体的に
どのようなことを行う必要が
あるでしょうか?
ここではやはり
個人情報を取り扱う社員に対して
適切な「教育」を行うことが欠かせません。
具体的には
「個人データ」の取り扱いに関する
注意事項などについて
定期的に社員の研修などを行う。
また
「個人データ」の秘密保持に関する事項を
就業規則などに盛り込むことです。
この点
就業規則に
単に
と抽象的に書くだけでは
不十分と言えます。
より具体的に
・私的デバイス(スマートフォン、タブレット、PC、USBメモリ等)への、顧客の個人データ(氏名、連絡先、画像、施術記録等)の保存、転送、書き写しの禁止。
・会社の許可なく、個人の連絡ツール(LINE、InstagramのDM等)を用いた顧客との業務上の連絡の禁止。
などを定めておくこと。
その上で
こういった就業規則の規定に
違反した場合には
就業規則に基づく懲戒処分
(けん責、減給、出勤停止、懲戒解雇など)
の対象となることも明確にしておくべきです。
エステサロンなどBtoCの事業では
「お客様と仲良くなること=正義」
という感覚になりがちです。
これが間違っているとは思いませんが
法的な観点では
どんなに仲が良くとも
お客様の情報は
「会社がお預かりしているもの」であり
個人の私物ではありません。
その辺のケジメは必要で
この点を社員にもきちんと理解
してもらう必要があるでしょう。
仕事に熱心なのは大変すばらしいですが
それによって顧客の個人情報が漏えいし
会社の責任を問われる可能性が
あることも厳然たる事実です。
ですから
やはり事業者としては
「ここまではOK
ここから先は法律違反」という明確な
境界線を社員に示すことが大切ですね。
「個人情報」の取り扱いについては
世間の見方も厳しくなっていますし
それに伴って法的な規制も強まっています。
この辺はきちんと
注意したいものですね。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。