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渋谷の弁護士吉田悌一郎

【取締役解任】解任した取締役の損害を賠償しなければならない場合とは?

会社法関係

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取締役は

株主総会でいつでも解任する

ことができるとされています。

 

 

しかし、その場合

解任した取締役に対して損害を賠償

しなければならない場合があります。

 

(今日の「棒人間」 賠償の負担が重い??)

 

<毎日更新1105日目>

株主総会での取締役「不意打ち解任」

先日のブログで

社長が会社の中の気に入らない

取締役を解任したい。

 

 

事前にアレコレ画策される

のを防止するために

 

 

株主総会でいきなりその

取締役を解任したい

という話を書きました。

 

【取締役解任】株主総会での「不意打ち解任」はアリか?

 

この点

株主総会を開催するに先立って

 

 

株主に対して総会の「招集通知」

というものを送る必要があります。

 

 

ただ

取締役会を設置していない会社

(取締役非設置会社)の場合

 

 

この株主総会の招集通知は

口頭でもよいとされています。

 

 

また

招集通知に議題等を記載しなければ

ならないといった規制もありません。

 

 

ですから

理屈の上では

取締役会非設置会社の場合には

 

 

株主総会での不意打ち的な取締役解任も

できてしまう

ということになります。

 

 

しかし

「取締役会設置会社」の場合には

 

 

総会の招集通知に

総会の日時、場所、議題提出議案などを

記載する必要があるとされています。

 

 

取締役解任に関する議題を

招集通知に記載しないで

 

 

株主総会本番で

いきなりその取締役を不意打ち的に

解任してしまった場合です。

 

 

この場合には、

株主総会の招集の手続きに

法令違反があるということで

 

 

株主は

その株主総会決議の取り消しの訴えを

起こすことができるとされています。

 

 

ですから

「取締役会設置会社」において

 

 

この取締役の不意打ち

解任をやってしまうと

 

 

後で「裁判」を起こされて

総会決議が取り消されてしまう

リスクがあるわけです。

 

 

 

 

 

取締役を解任したその先は??

 

さて

いずれにしても

 

 

株主総会で適法に取締役を

解任できたとしても

実はもう1つ問題が残ります。

 

 

取締役の解任自体は

株主総会の決議(多数決)

行うことができます。

 

 

しかし

安易に取締役を

解任すると

 

 

後々多額の損害賠償

を請求されることがあるのです。

 

 

というのは

会社法339条2項では

解任された取締役は、

その解任について正当の事由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる

と定められています。

 

 

そこで問題となるのが

その取締役を解任するにあたり

 

 

「正当の事由」が

あったかどうかです。

 

 

それでは

どのような場合に「正当の事由」

あると言えるのでしょうか?

 

 

基本的には

次のような場合

とされています。

・その取締役が職務執行上の法令・定款違反の行為をした場合

→ 簡単に言えば不祥事

 

・その取締役の心身の故障のため職務執行に支障がある場合

→ 健康問題などで仕事ができない場合

 

・その取締役の職務への著しい不適任

→ 経営能力が著しく低い場合など

 

逆に言えば

解任される取締役にこのような事情が

ない場合には

 

 

損害賠償をしなければ

ならないということです。

 

 

単に

その取締役と仲が

悪くなったとか

 

 

信頼関係が失われたとか

他に適任者がいるといった事情は

 

 

「正当の事由」には

あたりません。

 

 

 

 

 

取締役への賠償額が高額になるリスク

それでは

損害を賠償しなければ

ならないとして

 

 

どのくらいの金額に

なるのでしょうか?

この点

基本的には

 

その取締役の任期途中で解任した場合には

残っている任期分の役員報酬が損害となります。

 

 

また

任期満了時に退職慰労金が支払われる

ことになっていた場合には

 

この退職慰労金も

損害となります。

 

 

この点

株式会社の取締役の任期は

原則2年とされています。

 

 

しかし

中小零細企業などの非公開会社については

 

任期を最長で10年と定める

ことができるとされています。

 

 

そうすると

解任される時期によっては

残りの期間が非常に長くなり

 

 

その期間分の役員報酬を賠償

しなければならないことに

なってしまいます。

 

 

その場合には

取締役への賠償額がかなり高額になって

しまうことが予想されます。

 

 

このように

解任の時期などによっては

 

 

後でその取締役から高額の損害賠償請求

をされるリスクがありますので

注意が必要です。

 

 

会社の取締役を解任する場合には

株主総会の手続き的な面だけでなく

 

 

こうした損害賠償のリスクについても

きちんと検討した上で行う必要がある

ということです。

 

 

そんなわけで

こうした場合には

 

 

株主総会で安易に取締役を

解任してしまうという手段は

お勧めできません。

 

 

可能であれば

自ら取締役を辞任して

もらうように話し合いを尽くす。

 

 

その上で

経営の精算という意味で

 

 

その取締役に対して一定の解決金を

支払うという解決方法も

あろうかと思います。

 

 

もし判断に迷われる場合には

弁護士にご相談いただければと思います。

 

 

それでは

また。

 

 

 

 

 

 

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最新動画 

今回は、「契約不適合責任とは?建物再築不可の土地を買ってしまった??」というテーマでお話ししています。

 

 

 

 

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 昨日は、午前中は自宅でオンラインで速読(楽読)のレッスンを受講。
午後は、家族で近所に食事に行くなどしてのんびり過ごしました。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
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Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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