風邪引いて欠勤は労働契約違反?
有給休暇は社員の権利ではなく
会社の配慮??
今どき
こんなことをつぶやいている人が
いたのでビックリです。
(今日の「棒人間」 これは労働契約違反??)
<毎日更新1288日目>
風邪をひいて会社を休むなんて、なってない!
そんな社員は、雇用契約違反じゃないか??
ある経営者と思しき方の
Xのとある投稿を見かけました。
そこには
と書かれていました。
う〜ん
なるほど。
まぁ
常日頃から体調管理をきちんとして
仕事に備えるべき
というのはわからなくもありません。
社員に体調不良で休まれて
ばかりいては困る
という会社側の事情も
もちろんわかります。
ただ
どんなに気をつけていても
風邪を引くときは引くものです。
問題なのは
の冒頭の部分。
これは
法的にはまったく間違いであると
言わざるを得ません。
そもそも
働く社員が絶対に欠勤しては
いけない労働契約など
公序良俗違反とされて
しまうでしょう。
しかし
この方の投稿はこれでは
終わりません。
上記の投稿に続き
次のように述べています。
う〜ん
有給は社員の権利ではなく
あくまで会社の「配慮」
なんだそうです。
本当ですか???
すみません、昨晩から風邪をひきまして、熱が出てるので、本日の業務は欠席したいのですが・・・。
ダメざんす!労働契約違反ざんす!
早く出社するざんす!!
熱が出て休みたいと
言っている社員に対して
会社が出社を強要しらたどうなるか?
労働基準法第5条では
次のように規定されています。
使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。
なんか
大昔の強制労働とかあった時代を
彷彿とさせるような規定ですね。
実際
今の労働基準法が作られたのは
戦後すぐの時期ですので
その時代の名残の
ようなものを感じますね。
いずれにしても
「契約違反」をチラつかせて
社員の出社を強要することは
この規定に違反する行為です。
さらに
もし社員が風邪を押して出社し
さらに体調が悪化した場合には
会社は社員に対する
安全配慮義務違反となります。
安全配慮義務というのは
会社が社員に対して労働契約上
負っている義務です。
ですから
体調の悪い社員の出社を強要することは
逆に会社側の「契約違反」
となる行為なのです。
また
上記のXの投稿で
有給休暇は社員の権利ではなく
あくまで会社の「配慮」である
という投稿はどうでしょうか?
これも
法的に見ると大きな間違いです。
有給休暇とは
一定期間勤続した労働者に対して
心身の疲労を回復し
ゆとりある生活を保障するために
付与される休暇のこと。
これは
「有給」で休むことができる
すなわち取得しても賃金が
減額されない休暇のことで
れっきとした社員の「権利」です。
すなわち
この有給休暇は
社員の側からいついつ休みたい
という時季を指定して
なされることになり
会社は原則として
社員からの有給休暇の請求を
断ることはできません。
それどころか
今では
一定期間の有給休暇を社員に与えることは
会社の「義務」となっています。
すなわち
会社は
有給休暇の付与日数が
10日以上である社員に対し
その有給休暇のうちの5日については
その時季を指定する義務を
負うこととされています。
要するに
社員からの有休取得の
求めがなかったとしても
有給のうちの5日間については
会社の側からその時季を
指定しなければならない
ということが義務づけ
られているのです。
そして
違反企業には
労働基準法で「罰則」も
定められてます。
そんなわけで
有給休暇は会社の「配慮」
であるなんていうことは
法律的には大間違いです。
それにしても
会社経営者を名乗る人が
堂々と冒頭のような投稿を
しているのはいかがなものですかね?
法律を甘くみていると
社員との間で思わぬ労働トラブルが発生し
それが「裁判沙汰」の泥沼に発展し
会社経営の足元をすくわれる
ことになります。
気をつけたいものですね。
それでは、また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。