11月1日にフリーランス保護法が施行され
発注業者には契約条件などを通知する
義務が課されています。
しかし
実際にはまだまだ「口約束」が
横行しているようです。
「契約書面」を作成することは
実は事業者側にとってもトラブル予防
「裁判沙汰」予防となり
メリットがあるのです。
(今日の「棒人間」 口約束は危険??)
<毎日更新1294日目>
フリーランス保護法が施行されましたね。
実は私、新聞社と契約書を交わしたことがないんです。
ドヒャ!!!
フリーランスの実態を
調査する団体である
「一般社団法人フリーランスリーグ」
(名誉会長・やくみつる氏)
ここが
フリーランスが契約条件に求める
調査結果を公表しました。
この調査は
ちょうど「フリーランス保護法」が
施行される直前の時期に
イラストレーターや漫画家
映像系などクリエイター系
の24団体に行い
1236人から回答が
あったそうです。
調査結果によると
発注者側の都合で発生するキャンセル料
著作権の取り扱い
作業のやり直し回数の上限設定
などを希望するとの声が
上位に上がったそうです。
その背景には
フリーランスに仕事を発注する
業者側の無償のキャンセルや
やり直しが横行し
著作権に関する正当な対価が支払われず
作業期間が超過しても泣き寝入り
する現状があるようですね。
私もビックリしたのは
この団体の名誉会長を務める
漫画家のやくみつるさんの
次のセリフです。
なんと
「新聞社」が漫画家に原稿を依頼する際も
「口約束」で
契約書は作られて
いなかったのですね。
フリーランス法施行、当事者の要望は?…口約束も横行 やくみつるさん「私も新聞社と交わしていない」
以前もこのブログで取り上げた
ことがありますが
「フリーランス保護法」が適用される場合
事業者はフリーランスに仕事を発注する際に
「3条通知」を行うことが求められています。
この「3条通知」には
フリーランスに委託する
仕事の内容や報酬の額
支払期日などを
書面または
電磁的記録(メールなど)に
記載して交付(ないし送信)
しなければならない
とされています。
これは
いわば契約書に取って代わる
ものとして機能します。
事業者側が
この「3条通知」を怠り
「口約束」ですましてしまうことは
実は事業者側にとっても
不利益があります。
フリーランス保護法や下請法では
フリーランス側に落ち度
がないにも関わらず
仕事の完成品の受領を拒んだり
報酬を減額したり
返品したりやり直しさせたり
することが禁止されています。
逆に
事業者側で受領を拒否したり
報酬の減額や返品
あるいはやり直しをさせるには
フリーランス側の「落ち度」を
指摘しなければなりません。
この点
「3条通知」によって
フリーランスに依頼した仕事の
内容が明確になっていれば
もしフリーランスの仕事が
その水準に満たなかった場合
事業者側はフリーランスの
「落ち度」を指摘しやすくなります。
逆に
事業者側がきちんと
「3条通知」を行わず
それまで通り(?)「口約束」のみで
仕事を発注していたら
どうなるでしょうか?
フリーランスの仕事のどこに
「落ち度」があるのか
事業者側で証明するのが難しくなります。
そもそも
フリーランスに頼んだ仕事の内容が
はっきりしていないことが多く
「口約束」では後で「言った言わない」の
水かけ論になりがちです。
結局
事業者の側でフリーランスの
「落ち度」を証明できなければ
上記の通り
事業者は受領拒否や報酬減額や返品
やり直しを求めるなどの
「対抗措置」がとれなく
なってしまうのです。
このブログでもよく
指摘していますが
世の中のトラブルや「裁判沙汰」
に発展するケースは
もともと当事者間で何を約束したのか
それが明確になっていないことから
発生することが少なくありません。
「契約書」を作成することで
当事者間で何をどんな条件で約束
したのかがある程度明確になります。
そうすることで
本来怒らなくても良いトラブルや
「裁判沙汰」を予防する
ことができるのです。
そういう意味で
今般施行された「フリーランス保護法」が
発注事業者側に求めている
上記の「3条通知」
これは
何もフリーランス側を保護する
だけの意味があるのではなく
事業者側にとってもトラブル予防
という観点から意味のある規制なのです。
なお
「3条通知」や「契約書」の
作り方がよくわからない。
あるいは
作ったけれども
それが果たして法律の要件を
満たしているのが不安である。
そんな方は
ぜひ弁護士に相談する
ようにしてください。
◼️「裁判沙汰」を予防する、契約書作成・リーガルチェックサービス
しかし
冒頭のやくみつるさんの話ですが
大手企業である新聞社までが
契約書を作っていない
というのは驚きです。
日本の社会にはまだまだ
「契約書」という習慣が根付いて
いないということなのかも知れませんが。
それでは
また。
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今回は、「社員が独立!顧客引き抜きリスクに備える方法」というテーマでお話ししています。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。