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渋谷の弁護士吉田悌一郎

【雇用か、業務委託か】業務委託契約なのに、「雇用」と判断される危険性

業務委託契約

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雇用契約を結んで社員を雇うと

会社には社会保険の加入義務がありますし

解雇も簡単ではありません。

 

 

そこで最近

社員を雇う代わりに業務委託契約を

結ぶというケースが増えています。

 

 

しかし

業務委託契約でも実態が雇用と変わらない場合には

 

 

雇用契約と判断されるリスクがありますので

注意が必要です。

 

 

(今日の「棒人間」 どっちに転ぶ??)

 

<毎日更新1533日目>

ホテル支配人らの主張は認められず

 

ホテルチェーンの「スーパーホテル」

で働いていた元支配人2人が

会社に対し

 

 

労働者としての地位確認と

未払残業代などの支払いを求めた

裁判の判決がありました。

 

 

元々

この元支配人ら2人はホテルとの間で

業務委託契約を結んでいたそうです。

 

 

しかし

この2人は

会社との契約の実態は労働契約だったと主張して

 

 

労働者としての地位確認や未払い残業代

などの支払いを求めたわけです。

 

 

この2人は

提訴した時に記者会見を開き

 

 

会社によって長時間労働を

強制されたなどと主張していました。

 

 

しかし

東京地方裁判所でこの裁判の判決があり

 

 

実態は労働契約であったという

この2人の元支配人の主張は認められず

敗訴しました。

 

ホテル元支配人らの請求棄却 業務委託契約結ぶも労働契約は認めず 東京地裁

 

 

そもそも業務委託契約を結んでいたのに

実態は雇用契約だったというのは

一体どういうことなのでしょうか。

 

 

実は最近この手の

トラブルが増えています。

 

 

 

 

 

業務委託契約と雇用契約の違い

 

そもそもここで

雇用契約と業務委託契約について

法律上の整理をしておきたいと思います。

 

 

雇用契約とは

労働者が使用者(会社)との間で

労働に従事することを約束し

 

 

使用者がそれに対して賃金を

支払うことを約束する契約です。

 

 

他方で

業務委託契約とは

 

 

企業や組織が行っている業務の一部を

外部の企業や個人に委託する際に

結ぶ契約の総称のことです。

 

 

「雇用契約」と「業務委託契約」の

法律上の違いはどこにあるのでしょうか?

 

 

その一番の違いは

「使用従属性」 

 

 

にあると言われています。

 

 

簡単に言えば

「雇用契約」の場合は

 

 

労働者が事業主に対して

従属的な立場にあることが多い。

 

 

これに対して

「業務委託契約」の場合は

 

 

仕事の依頼を受けた人が

発注者に対して従属的な立場に

あるのではなく

 

 

ある程度対等で自由な立場

にあるということが前提です。

 

 

そして

この「使用従属性」が認められる

かどうかの要素としては

 

 

次のようなものがあります。

 

 

まず

仕事の依頼や指示に対して

 

 

それを受けた人が断る自由を

持っているかどうか。

 

 

これがなければ

「使用従属性」があるとして

「雇用契約」になりやすい。

 

 

また、同じく

業務内容や

仕事の仕方に対して

 

 

依頼する方が指揮命令権を

持っている場合も

「雇用契約」になりやすいでしょう。

 

 

さらに、働く場所や

働く時間が決まっていて

仕事を受ける方がそれに拘束される場合

 

 

これも「雇用契約」になりやすい

要素です。

 

 

また

仕事をしてくれた人に対して支払う報酬が

仕事の結果を基準に支払われるのか

 

 

(たとえば、1件いくらというように

決まっている場合)

 

 

それとも

働いた時間を基準に支払われるのか

(時給いくら、という感じ)。

 

 

働いた時間を基準に報酬が支払われる

ということであれば

 

 

やはり「雇用契約」になりやすい

と言えるでしょう。

 

 

 

 

 

形式ではなく、「実態」を見て判断される

上記の雇用契約と業務委託契約

の違いを表にすると

次のようになります。

 

 

比較項目 業務委託契約 雇用契約
基本的な立場関係 発注者に対して対等で自由な立場 事業主に対して従属的な立場
使用従属性 使用従属性が弱い 使用従属性が強い
仕事の依頼・指示に対する拒否権 断る自由がある 断る自由がない(拒否しにくい)
業務内容・仕事の仕方 自由度が高い 依頼者が指揮命令権を持つ
働く場所 自由に選択できる 決まった場所で拘束される
働く時間 自由に決められる 決まった時間で拘束される
報酬の基準 仕事の結果を基準
(成果報酬:1件いくら等)
働いた時間を基準
(時給、月給等)

 

 

ここで大切なことは

雇用契約か業務委託契約かは

形式的な契約書の名称ではなく、

 

 

実際の業務内容の実態を見て

判断されるということです。

 

 

冒頭のスーパーホテルの事例ですが

この事例では

 

 

元支配人2人は

ホテル側が詳細なマニュアルを遵守させ

担当社員らが業務を指揮監督していた点を捉えて

 

 

業務委託ではなく雇用契約ではないかと

争われたわけです。

 

 

元支配人側の主張は

要するに自分たちは会社に対して

従属的な立場であって

 

 

会社から指揮命令を受けていた

と主張したわけです。

 

 

しかし

今回の判決はこの元支配人らの

主張を認めませんでした。

 

 

すなわち

ホテル側が遵守させたマニュアルは

サービスの質を一定に保つためのもので

 

 

支配人らの指揮監督も業務委託契約の目的に

沿うとして雇用契約であるとは

認めませんでした

 

 

雇用契約を結ぶと

会社には社会保険の加入義務がありますし

 

 

雇用契約の解約

すなわち解雇も簡単ではありません。

 

 

そこで

最近では社員を雇う代わりに

 

 

フリーランスなどと業務委託契約を結ぶ

という形態をとる会社が増えています。

 

 

しかし

上記のように

雇用か業務委託かは

 

 

形式的な契約で決まる

ものではありません。

 

 

あくまで働く業務の

実態によって判断されるのです。

 

 

私は

今回のスーパーホテルの東京地裁の判決は

 

 

ある意味ではちょっと限界事例

ではないかと思っています。

 

 

すなわち

 

 

この判決を根拠に何でも業務委託契約に

すれば良いと考えるのは

大変危険だということです。

 

 

あくまで

上記の基準に照らして

 

 

業務の実態を見てケースバイケースで

判断されるということは

覚えておかれた方が良いと思います。

 

 

それでは

また。

 

 

 

 

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早朝に3.5キロほどランニング。少し週末の遊び疲れが残っていました。午前中は自宅で仕事、午後は事務所で仕事。夕方はボクシングの練習でした。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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