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渋谷の弁護士吉田悌一郎

社員が申告なしで副業→残業代は払うべき?ダブルワーク時代の落とし穴

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働き方が多様化する一方で

ダブルワークの残業代トラブルも

増えています。

 

 

社員が別の会社で仕事をしていて

労働時間が通算で8時間を超えたら

残業代は誰が払うのでしょうか?

 

 

 

(今日の「棒人間」 スポットワークで掛け持ち??)

 

<毎日更新1674日目>

副業によって時間外労働(残業)が発生?

 

あの〜、残業代をください!

え、残業?だってうちでは3時間しか働いてないでしょう?

実は、ここで働く前に別の会社で8時間働いてきたんです。

は???

通算すると私の今日の労働時間は11時間、だからオタクで働いた3時間は、実は時間外労働なんです。

そ、そんな!アンタがよその会社で働いてるなんて知らなかったよ!

Aさんは
B会社で正社員として午前9時から夕方5時まで

 

 

間に昼休み休憩1時間があって
8時間労働しました。

 

 

そして午後6時から午後9時までC会社で
契約社員として3時間勤務しました。

 

 

この場合
残業代はどうなるのでしょうか
という問題があります。

 

 

つまり
この日AさんはB会社で8時間

 

 

C会社で3時間働いていますので
合計11時間働いています。

 

 

つまり3時間分が時間外労働になっているので
法定の割増賃金を支払わなければいけない。

 

 

その場合割増賃金はB会社とC会社と
どちらが支払うんでしょうか。

 

 

 

 

残業代はどちらが払う?

 

この点

労働基準法では原則として

 

 

労働時間の上限として1日8時間以内

1週間で40時間以内と

定められています。

 

 

複数の職場で働く場合でも

労働時間は通算して扱われます。

 

 

ですから

勤務先が複数でも1日8時間

 

 

週40時間の上限の規制は

変わらないとされています。

 

 

今回のケースでは

Aさんは本業8時間勤務した後に

 

 

副業で3時間勤務していますから

1日合計11時間労働しています。

 

 

ですから法定労働時間8時間を超える

3時間分の残業時間が発生します。

 

 

労働基準法の解釈では

複数の職場での労働時間の通算により

法定の労働時間を超えた場合には

 

 

それぞれの使用者が自ら労働させた

法定外労働部分について割増賃金を

支払う必要があるとされています。

 

 

今回のケースでは

B会社での本業は

 

 

労働時間はちょうど8時間という

法定内に収まっています。

 

 

超過分の3時間は副業である

C会社で働いた時間にあたりますので

 

 

残業代の支払い義務は副業先である

C会社にあるという結論になります。

 

 

 

 

 

 

会社がダブルワークを知らなかった場合

ところが

冒頭のように

副業先であるC社において

 

 

Aさんが他社であるB社で

働いていたという事実を知らなかった

場合はどうなるのでしょうか?

 

 

その場合にも

C社が割増賃金を支払わなければならないのは

さすがにC社に酷な感じがします。

 

 

この点

割と最近

 

 

この点に関する裁判例が出されたので

ご紹介しておきます。

 

 

スーパーでレジ打ちの仕事をしていた人が

そのスーパーでの勤務の前に

別の整骨院で働いており

 

 

法定時間を超えたとして

スーパーに割増賃金(残業代)を

請求したという事案です。

 

 

ちなみに

この事案でも

この人は勤務先のスーパーに対して

 

 

整骨院で働いていることを

申告していませんでした。

 

 

この事案で

判決は

労働者が他の事業主の下でも労働しており、かつ、同所での労働時間数と通算すると労基法32条所定の労働時間を超えることを当該事業主が知らなかったときには、同事業主の下における労働に関し、当該事業主は、労基法38条1項による割増賃金の支払義務を負わない

と判断しました

(東京地裁令和7年3月27日判決)。

 

 

大前提として

会社など事業主には

 

 

社員の労働時間を把握する

義務があるとされています。

 

 

これは

社員が1つの会社で働いている場合には

あまり矛盾はありませんが

 

 

副業のように複数の会社で

働いていた場合はどうか。

 

 

社員が副業を会社に申告していない限り

会社は社員が他の会社でどのくらい

働いているかを把握できません。

 

 

申告がなく

会社が社員の副業を知らなかった場合には

その会社での労働に関し

 

 

割増賃金(残業代)の支払義務を

負わないとしたもので

妥当な結論だと考えます。

 

 

ですから

上記の事例でも

C社側が

 

 

AさんがB社においてすでに8時間働いて

いたことを知らなかった場合には

 

 

C社は割増賃金(残業代)を

支払う義務はない

という結論になります。

 

 

このように

社員の副業が増えてくるにつれて

 

 

複数の職場を巡る労働時間や

残業代などのトラブルも発生してきます。

 

 

会社としても

現場で戸惑わないよう

 

 

正確な知識を身につけておく

必要がありますね。

 

 

それでは

また。

 

 

 

 

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活動ダイジェスト

午前中は自宅で仕事。オンラインでの打ち合わせや会議などが2件ほど。
午後は事務所で仕事。
新規のお客様の法律相談などでした。
夕方帰宅途中、事務所近くのTSUTAYA書店にて本を購入。
帰宅後は息子の習い事(美術教室)の送迎、合間に自宅で仕事でした。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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